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経営者をサポートする士業と呼ばれる専門家がいます。難関資格を保有する専門家として尊敬を集める一方、同じ資格保有者でも仕事内容や方針、そして能力も当然異なります。

「司法書士といえば登記、そんな印象をお持ちの方が多いと思います。しかし、プロ士業であれば他にも色々な業務を依頼することができるんです。」

そう語るのは士業向けの経営コンサルタントで自身も士業(特定行政書士)である横須賀輝尚氏。同氏の著書『会社を救うプロ士業 会社を潰すダメ士業』から、プロ士業の見抜き方を再構成してお届けします。



■登記と「高難度業務」
正直に言って、登記ができない司法書士はいない。そう考えて問題ありません。司法書士試験そのものが登記業務を知っていないとできないようになっていますし、登記の「出来」という点では、どの司法書士に頼んでも遜色ありません。そのため、通常の登記業務は相場感の報酬額で依頼すれば問題ないといえるでしょう。

では、どのような司法書士が優秀なのかといえば、登記を超えた実務上の業務をどれだけ知っているか。これに尽きます。別の言い方をすれば、単なる登記業務の依頼なら、あまり深く考えずに依頼しても問題はないということと、高度な会社業務を依頼するなら、それなりの司法書士を選ばなければならない、ということになります。

高度な会社業務といえば、わかりやすいのはスタートアップ企業の発足にかかる法務手続きや、上場支援、M&Aなどでしょう。このあたりは優秀な司法書士がいることで、事故も問題もなく進めることが可能になります。

例えば、株主総会議事録がつくれても、どのように株主総会を進めればいいかという相談に答えられる司法書士は極めて少ないということです。ですから、これを見分けるのはとても簡単で、「上場準備にかかる実務の経験はありますか?」で済みます。ほとんどの司法書士は取り扱ったことがありませんので。

ですから、あなたが会社を上場も含めて大きくするときには、優秀な司法書士が必要。そういう認識で問題ありません。

■顧問契約を持つ司法書士は優秀である可能性が高い
司法書士は、行政書士と並んで「スポット業務」中心と言われる資格です。ですから、普通に考えると、税理士や社労士と違って、「顧問先」を持つことはまずありえません。ですから、もしあなたが出会った司法書士が定期的な報酬が発生している顧問先を持っていたら、優秀な司法書士である可能性は極めて高いといえます。

なぜ、顧問先を持っていると優秀だといえるのかといえば、スポット業務中心の司法書士に「いつもいてほしい」と思われるほどの提案力、実務能力、企画力などの実力が備わっているからです。ですから、司法書士の見極めに「顧問先があるか」というのは、非常にわかりやすい目安となるでしょう。

それとともに、司法書士の優秀性をはかるには「顧問契約をお願いするとしたら、どのようなことをやってもらえますか?」と聞くのが手っ取り早い。ここで大した提案がでなければ、やはりそれまでの人だということになります。

■リアルを知っている司法書士は重宝する
前述のとおり、登記でミスる司法書士はまずいません。ですから、どの司法書士に依頼しても、遜色ない登記が仕上がります(というか、単純な登記なら誰がやってもほぼ同じ)。

では、どこに差があるかといえば、実態、それも最新のものを知っている司法書士でしょう。

例えば、会社設立ひとつとっても、いまはバーチャルオフィスでは、銀行口座をつくることができない可能性があります。かつては住所の差で銀行口座がつくれない、なんてことはなかったのですが、オレオレ詐欺等の事件が社会問題化し、銀行としてはできるだけ怪しい口座はつくらない方向になりました。

何も知らない司法書士は、バーチャルオフィスでも登記だけはできますから、その後口座ができなくても知らんぷり。そういう意味で、きちんと実態を知っている司法書士に依頼をすべきだといえます。

同様に、会社設立の際にも、株主構成、決算期、役員構成などのリアルな相談に乗ってくれる司法書士を選ぶべきです。

■優秀な司法書士は拡張性をもっている
優秀な司法書士はやはり司法書士業務だけでなく、多方面の知識を持っています。会社設立をする司法書士なら、許認可も知らなければならないし、会社を大きくして採用を拡大していくなら、社会保険や雇用保険のことも当然知らなければならない。

そして、会社をつくりたい起業家が司法書士のもとに集まっているのですから、顧客をきちんとコミュニティ化(リスト化、ニュースレターで顧客化)していれば完璧でしょう。その司法書士の人脈も効果的に活用することが見込めます。

■不動産のことで困ったら……
もし、あなたが不動産の売買等で困ったら、司法書士に相談するのもひとつの方法です。あなたが不動産の売買をする場合、その多くの相談先は不動産会社でしょう。不動産という大きな買い物、売り物に関しては、どんなに明確な説明があったとしても、不安なものです。

そんなとき、不動産の法律の専門家として司法書士を頼るのもひとつの選択肢。大きな売買で損をすることだけは避けたい。そういうあなたの頼れるパートナーになってくれるはずです。

横須賀輝尚 パワーコンテンツジャパン株式会社 代表取締役/特定行政書士

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【プロフィール】
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1979年、埼玉県行田市生まれ。専修大学法学部在学中に行政書士資格に合格。2003年、23歳で行政書士事務所を開設・独立。2007年、士業向けの経営スクール『経営天才塾』(現:LEGAL BACKS)をスタートさせ創設以来全国のべ2,000人以上が参加。著書に『プロが教える潰れる会社のシグナル』(さくら舎)、『会社を救うプロ士業 会社を潰すダメ士業』(さくら舎)、『資格起業家になる! 成功する「超高収益ビジネスモデル」のつくり方』(日本実業出版社)、『お母さん、明日からぼくの会社はなくなります』(角川フォレスタ)、他多数。

公式サイト https://yokosukateruhisa.com/
X(旧Twitter) https://twitter.com/pcjyokosuka

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