30181055_s

急激な進化を続けるAIをどのように業務へ取り込むか? これは多くの企業やビジネスパーソンにとっての課題です。

「生成AIをより深く活用するには、"ユーザー自身の情報を前提とした出力"が重要です」と話すのは、経営コンサルタントで士業(特定行政書士)でもある横須賀輝尚氏。同氏が開発した「MyAI」は、生成AIにユーザーの情報を与えることで、より自分に適した回答を得られるようになる方法論です。

『「ムダ仕事」も「悩む時間」もゼロにする GPTsライフハック』(技術評論社)より一部抜粋・編集し、生成AIとの新たな付き合い方をお伝えします。



■生成AIにあなたのことを理解してもらうために
生成AIが一般的な回答しかしてくれないのは、あなたのことを知らないから。それなら、生成AIにあなたの内面、性格的な情報を教えてあげましょう。これは、特にキャリアや健康といった、あなた自身にまつわることについて相談したり、話したりする「MyAI」という新しい活用方法において入れたい情報になります。

少し詳しく解説すると、たとえば「経営者の方が、MyAIに経営戦略の相談をする」という場合に、自身の性格を大きな判断要素にすることは少ないでしょう。それよりは、「利益が出るかどうか」といったことのほうが、より重要な判断基準になるはずです。

また「SNSなどでの情報発信のサポート用」などの場合でも、重要になるのはあなたの性格情報よりは、あなたの業務情報や専門性などといったことになるはずです。ですから、「自分のことを相談する」場合に、特に入れるべき情報と考えておいてください。

「で、性格情報を入れるっていったって、何を書いたらいいの?」と思われるかもしれませんが、それはかんたんです。あなたの性格を診断した、テスト結果を入れればよいのです。

性格テストの代表例としては、MBTI診断、DISC診断、エニアグラムなどがあります。いずれも簡易的なものであれば、Web上で実施してくれるサイトがあるので、調べてみてください。こうした診断例を入れることによって、GPTsがあなたのことをより理解していくのです。

====
#性格診断結果

MBTI診断:

エニアグラム:

DISC診断:
====

補足になりますが、経営戦略や情報発信用の場合でも、性格情報を入れて特に問題があるわけではありません。また、「自分の性格も加味したうえで、経営戦略を考えてほしい」と感じているのであれば、もちろん入力しておくほうが、より「あなたに寄ったMyAI」ができると思います。

大事なのは、「何を入れて、何を入れるべきではないか」のルールを覚えるのではなく、「どうすれば私(自分)に特化したMyAIができるか?」を基準に、柔軟に考えてみることです。

■あなたの性格を踏まえた生成AIの回答例
ここでは、以下の通り簡易的にキャリアについても入力してみて、どのように会話が進むのかを見てみましょう。

====
#基本的なプロフィール

名前:あなたの名前やニックネーム、呼んでほしい呼び方を考えます 例:西村健(にしむらけん)

年齢:あなたの年齢を入れます 例:35歳

性別:あなたの性別を入れます(入れたくない場合は、入れなくても大丈夫です) 例:男性

#コミュニケーションスタイル

GPTsの口調のトーンやスタイルを指定します。例:フレンドリーで気軽、かつ生意気な口調

#雑談用にMyAIに入れる項目

趣味・興味:好きなことや趣味を入れます 例:ボルダリング。現在3級、中級者から上級者に挑戦中。歴は約半年。

#性格診断結果

MBTI診断:ISTJ(内向的、感覚型、思考型、判断型)

エニアグラム:タイプ1(改革者)

DISC診断:C(慎重型)

#仕事内容:

勤務先:クレストテクノロジーズ株式会社

役職:プロダクトマネージャー

概要:次世代AIソフトウェア「ミライマインド」の企画・開発・市場投入を担当。製品ライフサイクル全般を管理し、マーケティング戦略の策定、顧客ニーズの調査、チーム間の連携を行う。

責任範囲:製品仕様の決定、開発スケジュールの管理、リリース後の市場反応の分析と改善対応。年次売上目標達成に向けた戦略的イニシアティブの実行。
====

それでは会話を始めてみましょう。

====
私には、どういう人が友だちに向いていると思う?

健さんの性格と興味を考えると、友だちに向いているのは、以下のような人かもしれないね。

1.落ち着いた性格で誠実な人:健さんは慎重で計画的なタイプだから、同じように落ち着いていて、誠実に物事を考えられる人が一緒にいて安心できるんじゃないかな。

2.アウトドア好きな人:ボルダリングや登山が好きな健さんだから、アウトドアの活動を一緒に楽しめる友達はいい相棒になると思う。共通の趣味があると、自然と仲も深まるしね。

3.知的な会話ができる人:プロダクトマネージャーとして働いている健さんにとって、仕事や新しいアイデアについて話せる人も魅力的なんじゃない?時には意見を交換して、刺激を受けられる友だちがいるといいと思う。

4.信頼できる人:健さんは責任感が強く、約束やルールを守るタイプだと思うから、同じように信頼できる人が友達として相性がいいはず。困った時に頼れる存在って大事だよね。

どう?こういうタイプの人と友だちになると、楽しい時間が過ごせそうじゃない?
====

「落ち着いた性格で誠実な人」は性格診断から、「アウトドアが好きな人」は趣味から、「知的な会話ができる人」は、西村健さんの仕事を参照して回答してくれているようですね。

■プロンプトの入れ方に迷ったら生成AIに聞け
雑談用のMyAIに自分の性格情報を入れると、あなたの特性を踏まえた会話を楽しめることが伝わったと思います。ただし、

「入れる情報が意外と多くて大変だから、項目を減らせないかな……」

「もっと情報を入れたいけれど、どんな情報を入れればいいかわからない……」

と思った方は居ないでしょうか。そんな時はChatGPTと壁打ちしながら、ChatGPTに考えてもらうのがいちばんです。

たとえば、「もっと音楽の話をしたいんだけど、どんな情報を伝えたらいい?」などと、目の前のMyAIに聞いてみてください。すでに作ったMyAIではなく、一からMyAIを作りたい場合も、ChatGPTに「これから(やりたいこと)をサポートしてくれるGPTsがほしいんだけど、私のどんな情報を伝えたら、いい回答をしてくれる?」と相談すればよいのです。

悩んだらまず、ChatGPTに聞く。これが重要です。


横須賀輝尚 パワーコンテンツジャパン株式会社 代表取締役/特定行政書士

【関連記事】
■ChatGPTであなた専用の雑談相手を作る方法 (横須賀輝尚 経営コンサルタント)
https://sharescafe.net/61966121-20241125.html
■あなたにぴったりの回答を引き出す「GPTs」の使い方 (横須賀輝尚 経営コンサルタント)
https://sharescafe.net/61955672-20241121.html
■生成AIの「プロンプト集」が不要である理由 (横須賀輝尚 経営コンサルタント)
https://sharescafe.net/61955645-20241120.html
■「生成AIは一般論しか答えないから使えない」と言う人が見落としている使い方 (横須賀輝尚 経営コンサルタント)
https://sharescafe.net/61951022-20241119.html
■あなたを知り尽くす相棒AI、「My AI」とは? (横須賀輝尚 経営コンサルタント)
https://sharescafe.net/61950997-20241118.html


【プロフィール】
yokosuka2021-1
1979年、埼玉県行田市生まれ。専修大学法学部在学中に行政書士資格に合格。2003年、23歳で行政書士事務所を開設・独立。2007年、士業向けの経営スクール『経営天才塾』(現:LEGAL BACKS)をスタートさせ創設以来全国のべ2,000人以上が参加。著書に『プロが教える潰れる会社のシグナル』(さくら舎)、『会社を救うプロ士業 会社を潰すダメ士業』(さくら舎)、『資格起業家になる! 成功する「超高収益ビジネスモデル」のつくり方』(日本実業出版社)、『お母さん、明日からぼくの会社はなくなります』(角川フォレスタ)、他多数。

公式サイト https://yokosukateruhisa.com/
X(旧Twitter) https://twitter.com/pcjyokosuka

この執筆者の記事一覧

このエントリーをはてなブックマークに追加
シェアーズカフェ・オンラインからのお知らせ
シェアーズカフェ・オンラインは2014年から国内最大のポータルサイト・Yahoo!ニュースに掲載記事を配信しています
シェアーズカフェ・オンラインは士業・専門家の書き手を募集しています。
シェアーズカフェ・オンラインは士業・専門家向けに執筆指導を行っています。
シェアーズカフェ・オンラインを運営するシェアーズカフェは住宅・保険・投資・家計管理・年金など、個人向けの相談・レッスンを提供しています。編集長で「保険を売らないFP」の中嶋が対応します。