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大企業に勤めていても副業が推奨される今、起業に興味を持つ人は増えています。そんな中、常に注目されているのが資格の取得。すでに資格を持っている人はもちろん、資格を取って独立したい人や資格に興味がある人に必読のQ&Aを、経営コンサルタントで士業(特定行政書士)でもある横須賀輝尚氏の著書「資格起業バイブル」から、再構成してお届けします。



■マーケティングに「絶対」はない
『Q.税理士で開業しました。もうダイレクトメールは効果がないと聞きましたが本当でしょうか?

税理士で開業した者です。昔は新設法人向けにダイレクトメールを出すと顧問が取れたということですが、今では普通の方法になりすぎて効果がないと聞きました。本当に効果がないのでしょうか。コストもかかるので、効果がわからないとどうしても二の足を踏んでしまいます。』

最初にお伝えしておきますが、「誰かから聞いたうまくいかない話」を鵜呑みにして行動しないという段階からは早く脱却しましょう。もちろん、しっかりとした根拠のある話や実体験なら別ですが、「本当かどうかもわからない」話を信じて行動を鈍くすることだけは控えましょう。

マーケティングに絶対はありません。結局のところ、どんなプロフェッショナルなコンサルタントだとしても、結果はやってみないとわからないものです。どんなに当たらなそうなチラシでも反響が取れることがあります。これは当たるだろうというレベルのダイレクトメールでも、まったく反応が取れないこともあります。

知識と経験を積み重ねることによって失敗は減少していきますが、このようにマーケティングに絶対はないのです。つまり、あなたが可能性を感じたなら、やってみる価値はあるのです。

■税理士のダイレクトメールは今もなお有効である
本題の税理士が送る新設法人向けのダイレクトメールですが、現在でも効果はあり、実際に各地で顧問を取っている税理士はいます。ですから、早速取り組みましょう。

もちろん地域差はありますが、「もうマーケティングの手は施され尽くした」といわれる東京ですら効果は出ています。言い換えれば、「もうDMはダメだ」と思い込んでいる税理士がいるからこそ反応が取れるかもしれません。

実は私も最初は「もう紙媒体の広告やDMは当たらない」と先輩から教わりました。私は税理士ではありませんが、先輩のありがたい言葉だったために信じてしまったのです。今考えれば、本当に反響が取れなかったのか、それとも単なる噂話だったのか、その真偽はわかりません。

しかし、ダメもとでと試しに出した広告(記帳代行の広告)は予想を上回る反響があったのです。「もうダメだ」といわれる媒体でなぜ結果が出せたのか? それは実に「実際にやってみたから」の言葉に尽きます。ですから、ぜひ取り組んでほしいのです。

ここで、新設法人向けのダイレクトメールについて知らない人のために解説しておきましょう。株式会社などの会社が法務局に登記され、会社として認められることはいうまでもないことですが、この法務局では新しく設立された法人の情報を一般公開しているのです。

つまり、法務局に行けば、最近設立された法人の名簿を手に入れることができます。この名簿を元に、ダイレクトメールを出すことになります。

自力で集めることもできるのですが、一般的には新設法人の名簿を集めて販売しているいわゆる「名簿業者」と呼ばれる会社がありますので、そういった会社から買い取り、送付するのが一般的です。最近では、ダイレクトメールの配送まで代行してくれる会社もあります。

名簿は鮮度が重要です。会社をつくって何ヶ月も経てば、自然と税理士に相談するタイミングがやってくるでしょう。そのため、できる限り早めにアプローチする必要があります。毎月の営業の中で、自分の営業エリアの新設法人に対していつもダイレクトメールが送れるような仕組みをつくっておくことが、顧問を継続的に増やしていくために必要不可欠なことだといえます。

■営業に「正解」はなく、ただ確率があるだけである
冒頭でもお伝えしましたが、マーケティングに絶対はありません。とはいえ、周りの多くの人が「うまくいかない」といっていれば不安になるのも当然のことかもしれません。

また、広告費やダイレクトメールにかける経費のことを考えれば、一層不安は募るばかりです。そして、最終的には「失敗」することが怖くなり、行動を留保してしまうのです。私も辿ってきた道なので、気持ちは痛いほどわかります。「行動が重要だ」といわれてもやはり失敗は怖いものです。

そこでひとつ発想の転換をお教えします。次のように考え方を変えれば、マーケティングに取りかかる際に気持ちが楽になります。

それは、行動の結果に「成功」「失敗」のどちらかを当てはめないということです。DMの反響があれば成功、なければ失敗では、やはり失敗した時に心に痛手を負ってしまいます。そこで、「失敗」は単なる「結果」と置き換えます。「この方法ではうまくいかない」という結果がわかったという認識に変えて、次に進みます。こうすることで気持ちが少し楽になります。

私自身、行政書士としてもコンサルタントとしてもさまざまな経験をしてきました。行政書士専業の頃は、ダイレクトメールが当たらなかった経験や、広告反響ゼロということは本当に日常的で、ファックスレターを送っては怒られ、たくさんの失敗を繰り返してきました。

コンサルティング会社を経営する中でも何十万円も使った挙げ句、誰も採用できなかった採用活動があったり、まったく売上が伸びず潰してしまった事業もあったりしました。

私の軌跡は、成功と失敗という言葉でくくれば、明らかに失敗のほうが多いビジネス人生です。毎回落ち込んでいたら、そして失敗を恐れ行動をためらっていたらこのような本を書いてはいなかったでしょう。

このように、マーケティングに絶対も正解もありません。ただ結果があり、その結果を見直して次からもっと確率を高めていく。これがマーケティングの世界でいわれる「PDCAサイクル」というものです。プランをつくり、実践する。そして検証してもう一度行動する。この地道な行動を繰り返していった人だけが成功します。

これで今日からあなたのマーケティングには「失敗」の二文字はありません。出た結果を検証し、確率を高めていってください。

横須賀輝尚 パワーコンテンツジャパン株式会社 代表取締役/特定行政書士

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【プロフィール】
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1979年、埼玉県行田市生まれ。専修大学法学部在学中に行政書士資格に合格。2003年、23歳で行政書士事務所を開設・独立。2007年、士業向けの経営スクール『経営天才塾』(現:LEGAL BACKS)をスタートさせ創設以来全国のべ2,000人以上が参加。著書に『プロが教える潰れる会社のシグナル』(さくら舎)、『会社を救うプロ士業 会社を潰すダメ士業』(さくら舎)、『資格起業家になる! 成功する「超高収益ビジネスモデル」のつくり方』(日本実業出版社)、『お母さん、明日からぼくの会社はなくなります』(角川フォレスタ)、他多数。

公式サイト https://yokosukateruhisa.com/
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