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大企業に勤めていても副業が推奨される今、起業に興味を持つ人は増えています。そんな中、常に注目されているのが資格の取得。すでに資格を持っている人はもちろん、資格を取って独立したい人や資格に興味がある人に必読のQ&Aを、経営コンサルタントで士業(特定行政書士)でもある横須賀輝尚氏の著書「資格起業バイブル」から、再構成してお届けします。



■私が初めてセミナー講師をしたのは24歳だった
『Q.まだあまり実績はありませんが、セミナー営業などに取り組んでも大丈夫でしょうか?

私は話すことが好きなので、セミナーであればできそうです。ただ、まだあまり士業としての実績がないのですが、セミナーに取り組んでもよいものでしょうか?』

講師にふさわしい実績の基準というのは、ありそうでないものです。お客様の視点で考えれば、「役に立つ内容」であればよいのです。

私自身、初めてセミナー講師をしたのは24歳のときでした。幸運にも講演依頼を受けて講師をさせていただくことになったのですが、参加者は当然年上ばかりです。経営者もいれば士業の先輩もいます。私は額に汗をかきながら、ただただ一所懸命話すだけでした。

そんな私の初めてのセミナーを客観的に見れば、講師としての実績どころか社会人としての実績もあまり多いとはいえません。では、クレームの嵐だったかといえば、そんなことはありませんでした。営業をテーマに自分自身やってきた1年近くのことを話したのですが、おおむね好評をいただくことができました。肝心なことは内容なのです。

もう一度いいますが、「講師のふさわしさ基準」などないのです。たしかに講師は人前に立って話す仕事なので、年配の人あるいはトップレベルの専門家がやるべきものというイメージがあります。しかし、機が熟すのをのんびりと待っていられる方はよいですが、特に創業間もなければもっと積極的に取り組むべきなのです。

それ以前に、もう資格を持っているあなたは十分「講師のふさわしさ基準」を満たしているという事実に気づいているでしょうか?

■実績は「資格」で十分である
資格の最大の利点は「信用度が高い」ということです。そして、高度な知識を持っているというイメージも一般的には十分あります。つまり、資格を持っている時点であなたは専門家であり講師としてもうふさわしいといえるのです。

自分自身を過小評価しているのは、紛れもなくあなた自身です。すでにあなたは資格試験という難関をくぐり抜けているのですから、もっと自信を持つべきです。

もちろんベテランの同業者と比較すれば、まだまだ足りないところはあるかもしれませんが、重要なのは同業者と比較することではなく、お客様に満足してもらうことです。ですから、ぜひセミナーには積極的に取り組んでください。

特に、資格起業家(士業専業ではなく、セミナーやコンサルタント業などを積極的に仕掛け、先に利益を上げながら士業の営業も兼ねてしまう、筆者が推奨する営業スタイルのこと)のスタイルの中でもっとも最初に取り組んでほしいのがこのセミナーです。

コストは広告を打たなければ会場費のみで、あとはレジュメを印刷する紙代程度です。集客に失敗してもセミナーの開催を取りやめてしまえば大きな損害は発生しないのです。

CDやDVDを販売するとなると、制作費や売れ残った場合の在庫リスクがありますが、セミナーはこのリスクがありません。あとは集客、内容、話し方それぞれの精度を高めていけばよいのです。

■まずはセミナー依頼を増やしていこう
セミナーには集客、内容、話し方と3つの壁があります。自分でセミナーをつくり、自分で集客に成功し、自分で講師をできれば最高ですが、最初からこの3つをクリアすることはそれほど簡単ではありません。

そこで、最初のうちはセミナーを依頼してもらえるように活動してみましょう。私もセミナーを始めてから最初の1年はセミナーの依頼を受けて、講師をしていました。依頼を受ければ集客する必要もありませんので、あとは当日話すのみとなります。

(1)ホームページ、名刺、事務所案内などに講師可能なテーマを記載する
基本的なことですが、まずはあなたが講師であることを多くの人に伝えなければなりません。ホームページ、名刺、事務所案内などあなたのことを知ってもらえるような媒体・資料にはすべて「講演可能なテーマ」としてテーマを複数掲載しておきましょう。こうすることで、その媒体をみた人があなたを講師として認識することができます。

(2)講演実績ができれば、実績も掲載する
一度も講師をしたことがなければ掲載することはできませんが、1回でも講演実績ができたら必ず講演テーマと同じように媒体に掲載しましょう。実績が増えてくれば、セミナーを依頼しようと検討している人も安心して依頼することができます。ホームページやブログに掲載すれば、それを見た人から講演依頼がくることは決して低い可能性ではありません。ぜひ積極的に掲載してください。

(3)講師依頼のポータルサイトに掲載する
最近ではセミナーを開催する企業も増えてきており、講師依頼のポータルサイトなどもあります。『講師依頼ドットコム』など複数の講師依頼サイトに登録しておくとよいでしょう。もちろんこれに登録するだけで依頼が増えるわけではありませんが、より講師として認識されやすくなります。

(4)セミナーに参加して、主催者に提案する
セミナーに参加した場合、講師と名刺交換をして人脈をつくるという方は多数いますが、意外とセミナー主催者と結びつきをつくろうとする方は少ないものです。しかし、講師を決めるのは当然講師ではなく主催者です。そのため、セミナーに参加した場合には主催者とも名刺交換をし、自分が講師でお役に立てますという提案をするとよいでしょう。

横須賀輝尚 パワーコンテンツジャパン株式会社 代表取締役/特定行政書士

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【プロフィール】
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1979年、埼玉県行田市生まれ。専修大学法学部在学中に行政書士資格に合格。2003年、23歳で行政書士事務所を開設・独立。2007年、士業向けの経営スクール『経営天才塾』(現:LEGAL BACKS)をスタートさせ創設以来全国のべ2,000人以上が参加。著書に『プロが教える潰れる会社のシグナル』(さくら舎)、『会社を救うプロ士業 会社を潰すダメ士業』(さくら舎)、『資格起業家になる! 成功する「超高収益ビジネスモデル」のつくり方』(日本実業出版社)、『お母さん、明日からぼくの会社はなくなります』(角川フォレスタ)、他多数。

公式サイト https://yokosukateruhisa.com/
X(旧Twitter) https://twitter.com/pcjyokosuka

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