unnamed
大企業に勤めていても副業が推奨される今、起業に興味を持つ人は増えています。そんな中、常に注目されているのが資格の取得。すでに資格を持っている人はもちろん、資格を取って独立したい人や資格に興味がある人に必読のQ&Aを、経営コンサルタントで士業(特定行政書士)でもある横須賀輝尚氏の著書「資格起業バイブル」から、再構成してお届けします。



■顧客リストがないと、「待ちの法律家」になってしまう
『Q.顧客リストが重要と聞きましたが、どうもピンと来ません。なぜ大事なのでしょうか?

ビジネスでは「顧客リストが重要」だとよく耳にしますが、どうもピンと来ません。士業にとって顧客リストはどのような位置づけなのでしょうか? 本当に顧客リストは重要なのでしょうか? わかりやすく教えてください。』

まずは顧客リストの意味と重要性の解説から始めましょう。顧客リストはどのマーケティング関連書でも解説されているほど重要でかつ売上に直結するものなのですが、士業全体ではこのリストに関する意識がかなり希薄です。つまり、あなたが顧客リストについて少し理解を深めるだけで頭ひとつ抜け出すことができるようになりますので、神経を集中させて読んでください。

まず顧客リストとはその名通りお客様の名簿のことです。言い換えれば、企業または個人の情報になります。基本的な情報としては、(1)会社名、(2)代表者名、(3)住所、(4)電話番号、(5)メールアドレスなどがこれにあたり、細かいマーケティングを実施する場合はこれに性別や年齢などを加えていくことがあります。これらの情報が整備されているものを顧客リストと呼びます。

普段、士業は依頼を待つ必要があります。人脈をつくり、ネット集客をしたとしてもお客様に依頼の意思がない限り仕事は増えません。そこで、資格起業家というスタイルを採用し、セミナーやコンサルティングなどで積極的に営業活動をしていくことが重要だと解説しました。このときに顧客リストが生命線になるのです。

顧客リストがあれば、自分から案内を送ることができます。もしあなたがセミナーを企画し、開催しようとしたとき、顧客リストがなければひとりひとり会いにいってチラシを配るなどの時間がかかる営業をしなければなりません。しかし、顧客リストがあれば、紙媒体にしてもメール媒体にしても一度に多人数に送ることが可能になります。

今から顧客リストを集める努力をし、1年後500名のリストが集まっているとすれば、1年目はつらくても2年目からはセミナー集客などは飛躍的に簡単になります。もし、何の努力もせずに1年後顧客リストが集まっていなければ、いつまで経っても集客に苦労してしまうでしょう。今からでも遅くありませんので、今日この瞬間から顧客リストを集めるべきなのです。

■顧客リストの集め方
顧客リストの集め方は、アナログな手段で集める方法とインターネットを通じて集める方法があります。アナログでは普段から常識的に行っている名刺交換がリスト収集の手段です。名刺交換をした後は、ただ名刺収納ファイルなどにしまってしまう人も多いですが、ここは『ファイルメーカー』などに代表される顧客管理ソフトを使用しましょう。あまり高額なソフトは必要ありませんが、ラベル印刷に対応している顧客管理ソフトを入れておくべきです。

これは言い換えれば「いつでもダイレクトメールが出せるような準備をする」ことになります。こういった蓄積を普段からしておけば、いざセミナーを開催することになっても、すぐにダイレクトメールを出すことができます。いわれてしまえば当たり前のことですが、多くの士業がこういった顧客リストの整理ができていないのです。

アナログな手段に対して、インターネットを通じて顧客リストを集めるという方法もあります。これはホームページ上でメールマガジンの登録を促したり、小冊子をPDF化したものなどを提供するために請求フォームを設置したりすることで集めることができます。

ただし、ただ待っていてもメルマガの読者が増えることはありませんので、広告を打つなど読者を集める努力が重要です。さらに、もしできることならこの時点でメルマガ配信スタンドと契約をしておきましょう。メルマガの重要性は前述しましたが、もっとも多くの人が億劫になってしまうのは、この「最初にメルマガ配信スタンドと契約する」タイミングです。ですから、本書を読んだこの日を契機として、ぜひメルマガ配信スタンドと契約をしてください。

■さあ、今日から顧客名簿を整理しよう
顧客リストは事務所の財産です。この顧客リストが増えれば増えるほど、あなたがセミナーをしたいとき、新しい業務を取り扱うことになったときなどいつでも告知をすることができます。たとえ1日1人しか集められなかったとしても、1年で300名以上の顧客リストが集まるのです。これから開業する場合には、今から顧客リストを集めるための準備をしておきましょう。

ところで、開業してからすでに数年経過している場合、どこから手を着ければよいかというと、まずは既存客の名簿整理から始めるのがベストです。まずは優良顧客である「これまでのお客様」のリストをまとめ、その次に今まで名刺交換した人の名刺リストを整理してください。数年経っているとかなりの量の名刺があるかもしれませんが、ひとつひとつを顧客管理ソフトに入力することが、いつか売上につながると考え、ぜひ取り組んでみてください。

横須賀輝尚 パワーコンテンツジャパン株式会社 代表取締役/特定行政書士

【関連記事】
■駆け出しの士業こそセミナー講師の仕事を増やすべき理由(横須賀輝尚 経営コンサルタント)
https://sharescafe.net/62235241-20250322.html
■稼ぐ士業になりたいなら「資格起業家」であれ(横須賀輝尚 経営コンサルタント)
https://sharescafe.net/62232421-20250321.html
■資格業もダブルポジションで稼ぐ時代(横須賀輝尚 経営コンサルタント)
https://sharescafe.net/62209473-20250311.html
■士業が未経験の仕事を安心して引き受けるコツ(横須賀輝尚 経営コンサルタント)
https://sharescafe.net/62200818-20250307.html
■開業まもない士業がするべき正しい努力とは(横須賀輝尚 経営コンサルタント)
https://sharescafe.net/62182637-20250227.html

【プロフィール】
yokosuka2021-1
1979年、埼玉県行田市生まれ。専修大学法学部在学中に行政書士資格に合格。2003年、23歳で行政書士事務所を開設・独立。2007年、士業向けの経営スクール『経営天才塾』(現:LEGAL BACKS)をスタートさせ創設以来全国のべ2,000人以上が参加。著書に『プロが教える潰れる会社のシグナル』(さくら舎)、『会社を救うプロ士業 会社を潰すダメ士業』(さくら舎)、『資格起業家になる! 成功する「超高収益ビジネスモデル」のつくり方』(日本実業出版社)、『お母さん、明日からぼくの会社はなくなります』(角川フォレスタ)、他多数。

公式サイト https://yokosukateruhisa.com/
X(旧Twitter) https://twitter.com/pcjyokosuka

この執筆者の記事一覧

このエントリーをはてなブックマークに追加
シェアーズカフェ・オンラインからのお知らせ
シェアーズカフェ・オンラインは2014年から国内最大のポータルサイト・Yahoo!ニュースに掲載記事を配信しています
シェアーズカフェ・オンラインは士業・専門家の書き手を募集しています。
シェアーズカフェ・オンラインは士業・専門家向けに執筆指導を行っています。
シェアーズカフェ・オンラインを運営するシェアーズカフェは住宅・保険・投資・家計管理・年金など、個人向けの相談・レッスンを提供しています。編集長で「保険を売らないFP」の中嶋が対応します。