![]() 「タイパを良くする」ことは、単なる「時短」とは異なります。そこを見誤ってしまうと、せっかく時間を早く終わらせることができても、大事なことを見落としてしまうかもしれません。 今回は、時短とタイパの違い、本当に意味のある効率化のためのポイントについて、『賢い人の質と速さを両立させる時短100式(森田ゆき・かんき出版)』から再構成してお届けします。 ■「単なる時短」と「タイパのよいやり方」の違い 「スピードアップすれば同じ時間でこなせる仕事の量が増えるのだから、タイパは上がるはず」と考えて、ひとつの作業にかかる時間をとにかく短くしようと頑張る人がいます。それは間違いではありませんが、単に時間を短くするだけでは、ただの「手抜き」になってしまうこともあります。なぜなら、結果としてのパフォーマンスやクオリティ、相手の満足度が考えられていないからです。 ビジネスのシーンで重要視されるのは「結果」であり、「成果」です。所要時間がどれだけ短縮されても、相手が満足できる成果をアウトプットできなければ意味がありません。「質の低下」を理由にやり直しを命じられたり、こちらの意図が相手にきちんと伝わらずに目的からどんどんずれていったりすると、今度はそれをリカバリーするための時間が必要になります。せっかく時短しても余計な仕事が増えてしまっては本末転倒です。 仕事で求められるのは「質の伴った時短」であり、必要なのはクオリティをキープしたまま所要時間を短くするための工夫なのです。それが「タイパを上げる」ということです。 たとえ話をしてみます。大事な取引先の人が大の映画好きで、「○○という作品がすごく面白かった。ネットでも配信されているからぜひ見てみて」とあなたに言ったとしましょう。単に時短するだけなら、評論サイトやレビューをささっと見てすませるのもひとつの方法です。あるいは、2倍速で見れば時間は半分ですみます。 しかし、それは果たして、タイパのよい行為と言えるでしょうか?おそらく、大の映画好きの人との会話ではぼろが出て、「ちゃんと見ていないな」と見抜かれてしまいます。そのような印象を大切な取引先に与えるのは、賢いやり方でしょうか……? こういうときはきっちり時間を投資して、「そこまで時間をかけてくれたのか」と取引先に思ってもらうほうが、メリットは大きいかもしれません。ビジネスのシーンでは、単に時間を減らすだけでなくタイパの観点から物事を考えることが欠かせないのです。 ■タイパを上げる目的 「単なる時短」と、「質の伴う時短」である「タイパのよいやり方」の違いを見極めたうえで、もうひとつ考えておくべきことがあります。それは、「何のためにタイパを上げるのか」ということです。 タイパを意識した仕事のやり方をすると時間の密度が高まり、いつもと同じ労働時間内で以前よりたくさんの量をこなせるようになります。すると、定時で退社できたり、仕事の持ち帰りをせずにすんだりするので、自由な時間が増えます。 すると、中には、ネットニュースやYouTubeをだらだらと見続けたり、スマホゲームで時間をつぶしたりするようになる人も現れます。あるいは、せっかく手に入れた時間なのに人からの頼まれ仕事を引き受けるなど、さらに多くの仕事を抱え込んで忙しい毎日をキープし続ける人もいます。 せっかくタイパを高めて仕事を早く終わらせても、これではなんだか残念な感じがしませんか? どうせなら、もっと人生の充実を感じられるような、自分を幸せにできることに時間を使いましょう。それでこそ、タイパを高める甲斐があるというものです。 もちろん、ときにはのんびりベッドに寝転がってスマホを見ることが、気分転換やリフレッシュの時間として役に立つこともあるでしょう。しかし、それ以外にも自分や周囲を幸せにできるような時間の使い方はいくつもありそうです。その内容は人によってそれぞれですし、正解も不正解もありません。なんにせよ、あなたが幸せを感じられて、人生が充実することが大切です。 タイパを上げて仕事を早く終わらせたあかつきに、あなたは一体何に時間を使いたいですか? タイパを上げる目的と、余った時間の使い方について、ぜひ一度ゆっくり考えてみてください。それがタイパを高めるモチベーションにもつながります。 森田ゆき Make Value Spirit 代表 時間の投資家・タイムインベスター 【関連記事】 ■「いつも仕事が時間オーバーする人」が見落としているスケジュールの落とし穴 (森田ゆき 経営者) https://sharescafe.net/62431705-20250623.html ■仕事のタイパが大幅に上がる「A4プロジェクト設計図」の書き方(森田ゆき 経営者) https://sharescafe.net/62431691-20250620.html ■遊びを優先するだけで、タイパが劇的に変わる理由 (森田ゆき 経営者) https://sharescafe.net/62431626-20250618.html ■変動金利は危険なのか?(中嶋よしふみ FP) https://sharescafe.net/60041384-20221223.html ■世帯年収1560万円の共働き夫婦は、9540万円の湾岸タワーマンションを買えるのか? その1・生活費は800万? (中嶋よしふみ ファイナンシャルプランナー) https://sharescafe.net/61186482-20240125.html 【プロフィール】 森田ゆき Make Value Spirit 代表 時間の投資家・タイムインベスター バークレイズ証券、ドレスナー証券(現アリアンツ生命)、AIG損保等、外資系金融機関で役員秘書として20年以上勤務。時間と成果を求められる激務の中、仕事とプライベートを両立するエグゼクティブからタイムパフォーマンスの真髄を学ぶ。2018年に独立。「効率と充実」の両立を実現するオンライン起業サポートをスタート。述べ2000回のセッションを起業家に提供。2021年から自身のタイムパフォーマンスのスキルを活かしてオンラインイベントのプロデュース業も開始。主催イベントで延べ8000人以上を動員。美容系アンバサダー70名の活動サポートも行う。現在は時間の投資家「タイムインベスター」として、仕事とプライベートの両立を追求するビジネスパーソンに、やりたいことを実現し幸福度をアップするタイパ新習慣講座を提供。未来へ時間を投資することで「どんな状況からでも人生は変えられる・幸福になれる」独自のメソッドを提供中。女性の自己実現を応援することを目的としたイベントの企画・プロデュースも手がける。2025年、かんき出版より「賢い人の質と速さを両立させる時短100式」を初出版。プライベートでは75カ国旅行、ミセスコンテストにてグランプリ2冠受賞など、タイパライフを満喫中。1970年石川県生まれ。 公式サイト https://makevalue-spirit.com/ Instagram : @myuki4521 x : @myuki4521 ![]() シェアーズカフェ・オンラインからのお知らせ ■シェアーズカフェ・オンラインは2014年から国内最大のポータルサイト・Yahoo!ニュースに掲載記事を配信しています ■シェアーズカフェ・オンラインは士業・専門家の書き手を募集しています。 ■シェアーズカフェ・オンラインは士業・専門家向けに執筆指導を行っています。 ■シェアーズカフェ・オンラインを運営するシェアーズカフェは住宅・保険・投資・家計管理・年金など、個人向けの相談・レッスンを提供しています。編集長で「保険を売らないFP」の中嶋が対応します。 |