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仕事がいつも時間どおりに終わらず、毎日の残業や締め切りに追われている人は少なくありません。なぜ、仕事はスケジュール通りに終わらないのでしょうか?

今回は、時間に追われず余裕を持って働くためのスケジュールのコツについて、『賢い人の質と速さを両立させる時短100式(森田ゆき・かんき出版)』から再構成してお届けします。

賢い人の質と速さを両立させる時短100式
森田ゆき
かんき出版
2025-05-21



■「思考するための時間」を確保
いざ仕事に取り掛かろうとしたら、考えないと進められないことが結構あって想像以上に時間がかかってしまった……。このような経験がある人は、たくさんいるのではないでしょうか。「考える」作業は、思っている以上に時間がかかります。

しかし、思考のための時間を考慮したスケジュールを立てている人はほとんどいません。「もっと長く時間を確保しておけばよかった」「思ったよりも時間がかかったせいで全体の進行が遅れてしまった」と後悔しないためにも、あらかじめ定期的に「思考のための時間」をスケジュール上に確保しておくと、タイパを高められます。

ひとくちで「考える」と言ってもその内容はさまざまで、アイデア出しの時間にも使えますし、プロジェクトの全体像を把握してタスクを洗い出すための時間にも使えます。業務を外注したいときに、外注先をリストアップしたり比較したりといった作業に使ってもよいですね。やるべきことがたくさんあるときに、いったん紙に書き出して頭の中を整理するための時間にも使えます。

要は、「ちょっと落ち着いて考えたいこと」を、この枠の中でやってしまうわけです。このような時間の枠は、1回につき2時間程度確保するのが理想です。それが難しい場合は1時間でもよいので、なるべくまとまった時間を取るようにしてください。

毎日のスケジュールに組み込めれば理想的です。「そういうわけにもいかない」と思った人は、週に数回でも確保しておくと、かなりスムーズに仕事全体が進むようになるはずです。

なお、この思考のために使う時間は、突発的に起きる対応ごとや、仕事をする中で発生する雑務をこなすために使っても構いません。例えば、「ちょっと見てもらえますか?」と後輩に頼まれたレポートチェックや、急ぎの問い合わせ対応など、30分以内にできる作業は、この「考えるための時間」内でさくっとこなせると、人を待たせることも減り、雑用が溜まることもありません。

思考のための時間は「余裕」のための時間でもあり、何にでも化けることが可能なバッファの時間でもあるのです。

■所要時間は経験値の1・2倍で見積もる
所要時間、すなわち「作業にかかる時間」をぴったりと正確に見積もることができる人は、なかなかいません。なぜなら、「頑張ればこれくらいの速さでできる」と自分の作業スピードに対して楽観的に考えがちであることや、想定する工程に抜け漏れが発生することがあるからです。また、自分以外の何かが原因であることも多くあります。

例えば、急いで作業をしていたのに急に上司や取引先に呼び出されたり、後輩から相談事を持ちかけられたり、チームのメンバーが急に早退したりしたら、いったん作業の手を止めて対応せざるを得ませんよね。

また、せっかく集中して作業していたのに、緊急の電話がかかってきて10分ロスということもよくあります。しかも、いったん集中が途切れてしまうと、元の集中モードに戻るのはなかなか難しいものです。突発的な対応事項に奪われた時間を取り戻すために、「なんとか時間内に終わらせよう」と焦ると思わぬミスも発生しがちです。

たとえ予定通りに終わらせたとしても、やり直しや修正が発生するかもしれません。さらに、そのせいで次の作業の進行に影響が出てしまうと、雪崩のごとく予定が崩れていきます。まさに負のスパイラルです。

そのような状況を極力避けるために、最初から所要時間を多めに見積もっておきましょう。具体的には、経験値の1・2倍で見積もるくらいでちょうどよいでしょう。

例えば「この作業はいつもだいたい3時間くらいでやれている」と思ったら、スケジュールを立てる際は3・6時間分をブロックしておくのです(実際には、だいたいのきりのよい時間で構いません)。

このようにすることで、突発的な出来事が発生して少し時間が押したとしても直後の予定に響くことを防げますし、焦ってミスをすることも少なくなります。多めに時間を取ることに抵抗を感じる人もいるかもしれませんが、負のスパイラルが起きた際の時間損失を考えれば、この時間投資は決して無駄にはなりません。


森田ゆき Make Value Spirit 代表 時間の投資家・タイムインベスター

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【プロフィール】
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森田ゆき Make Value Spirit 代表 時間の投資家・タイムインベスター

バークレイズ証券、ドレスナー証券(現アリアンツ生命)、AIG損保等、外資系金融機関で役員秘書として20年以上勤務。時間と成果を求められる激務の中、仕事とプライベートを両立するエグゼクティブからタイムパフォーマンスの真髄を学ぶ。2018年に独立。「効率と充実」の両立を実現するオンライン起業サポートをスタート。述べ2000回のセッションを起業家に提供。2021年から自身のタイムパフォーマンスのスキルを活かしてオンラインイベントのプロデュース業も開始。主催イベントで延べ8000人以上を動員。美容系アンバサダー70名の活動サポートも行う。現在は時間の投資家「タイムインベスター」として、仕事とプライベートの両立を追求するビジネスパーソンに、やりたいことを実現し幸福度をアップするタイパ新習慣講座を提供。未来へ時間を投資することで「どんな状況からでも人生は変えられる・幸福になれる」独自のメソッドを提供中。女性の自己実現を応援することを目的としたイベントの企画・プロデュースも手がける。2025年、かんき出版より「賢い人の質と速さを両立させる時短100式」を初出版。プライベートでは75カ国旅行、ミセスコンテストにてグランプリ2冠受賞など、タイパライフを満喫中。1970年石川県生まれ。

公式サイト https://makevalue-spirit.com/
Instagram : @myuki4521
x : @myuki4521

賢い人の質と速さを両立させる時短100式
森田ゆき
かんき出版
2025-05-21

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