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毎日の子育てや家事に追われるなかで、どうすれば笑いある家をつくれるのか? 登録者数30万人以上のYouTubeチャンネルで5人の子どもとの日常を配信するお笑い芸人のエハラマサヒロ氏と、人材育成コンサルタントの大村亮介氏が語ります。

今回は、新米パパが知っておくべき産後の家事分担のポイントについて、『新米パパも子育てが楽しくなる 笑いある家のつくりかた(エハラマサヒロ 大村亮介・etolabopublishing)』から再構成してお届けします。



■どうする?ママの産後ケア
パパが絶対に知っておかなければいけないことがあります。それは、出産は人間の人生でトップクラスに「ヤバい」イベントだってことです。

ママの心と身体への負担は、パパの想像をはるかに超えるもの。よい夫婦関係を築いて、家庭に「笑い」をもたらしたい。そんな想いがパパにあるなら、ママの産後ケアは最重要項目として認識しておいてください!

■煩悩をすべて捨てて、ケアにあたれ!
出産による身体へのダメージは、「交通事故に遭ったレベル」ってよく言います。

でも、身体へのダメージだけじゃない。ホルモンバランスが崩れる影響で、ママは心も体もズタボロになっている場合がほとんどです。だからこそ、パパの出番です。

子どもが産まれたらすぐに、煩悩はいったんすべて捨ててください。「すべて」です。これが大事!できるかぎり仕事は早めに切り上げ、飲み会は全部スルーし、ママのサポートに全力投球しましょう!

幸いなことに、今は「パパも育児」があたりまえの時代。会社側も理解してくれるでしょうし、キャリアへの影響もそこまで大きくないはずです。

それに、大変な時期がずっと続くわけじゃありません。子どもの成長は親の想像以上に早く、成長するにつれて楽しいことが増えていきます。少ししたら、自分の時間もとれるようになります。

だから、産後が一番の頑張りどころ!ここでしっかりケアしておくと、「一生不満を言われ続けるリスク」を回避できます。

■「子育ては仕事より大変」なのか?
仕事をしているパパのなかには、ずっと家にいるママのことがうらやましいと思っている人もいるかもしれません。子どもが眠ったら、一緒に眠れるんだから、うらやましい……とかね。

でも、想像してみてください。言葉が通じない上司、しかも感情的で、ちょっと気に入らないと怒鳴り散らす。そんな上司と、一日中ふたりきりで過ごす状況を。どんなに我慢強い人でも、1週間もあれば発狂寸前になるはずです。子育ては、これと似たようなものです。

え?「赤ちゃんはかわいい存在だから、上司とは違う」って?それは、そうかもしれません……。でも、それ以上に神経をすり減らす場面も多いんです。

いくら話が通じない上司だって、会話の糸口くらいはあるでしょう?それに職場にはフォローしてくれる仲間がいて、自分ひとりの肩にすべての責任がのしかかってくるわけでもない(なかには、そういう立場の人もいるかもしれないけれど)。

産後の身体はボロボロ。しかも、ひとりで子育てをしていたら孤独です。「赤ちゃんの命は自分にかかっている」という重圧と戦いながら毎日子育てと家事に追われているママは、心身ともにヘトヘト。鬱っぽくなることだって珍しくない。

きっとパパがママと同じ立場だったとしても、そうなるはずだと思いませんか?だから、もし「育児なんて仕事より楽だ」と思っているパパがいたら、今すぐその考えを改めたほうがいい。

ママは、育児のつらさを一人で抱え込まないで、夫婦でしっかり分担してください。つらいときこそ、パートナーに頼ってほしい。夫婦なんだから。そして、あとから「こんな時期もあったね」って笑って振り返れたらいいよね。

■どうする?子育てと家事の分担
赤ちゃんが生まれたら、次から次へとやることが増える。

おむつ替えやミルク、沐浴、抱っこ、寝かしつけ……。そのうえ、パパは産後ママのメンタルケアという難しいミッションも加わってくるかもしれないし、仕事もしているかもしれない。──もう、目が回りそう!その気持ちは、よーくわかります。

でも、産後のママにケアが必要なことは、すでにお話ししたとおり。じゃあ、そんなママも無理できない状況で、どうやって子育てや家事を分担したらいいのでしょうか。

■最低3つの得意技を極める
結論からいえば、仕事をしているパパでも最低3つは得意技を持ったほうがいい。たとえば、「おむつ替え」「ミルク」「沐浴」の3つはパパが極めておく、とかね。

大事なのは、やったことがないことも、ひととおり経験してみること。一人目の子どもだったら、おむつ替えもミルクも沐浴も、初体験なはずです。

料理や掃除ならまだしも、初めてのことなのに得意かどうかなんてわかるはずがありません。だったら、経験してみるしかない。ひととおりやってみて、「これならできそう」「これは得意かもしれない」と思う仕事を担当させてもらいましょう。当然だけど、苦手なことより「得意」「楽しい」と思えることのほうが上達も早いものです。

担当になった仕事は極めていって、どんどん効率化していきましょう。ママとパパがそれぞれ得意なことをやったほうが、家のなかは効率よく回るはず。お互いの得意技を活かしつつ弱点を補いあうような、「最強のダブルスペア」みたいな夫婦になれることが理想ですよね。

大村「ぼくは料理が得意技になったので、ベトナムで飲食店を開業しちゃいました。」

■あいまいなルールが不満のタネになる
ひとつ注意点があるとすれば、役割分担のルールは明確にしておいたほうがいい。「気がついた人がやる」とか「そのときに、できる人がやる」っていうあいまいなルールだと、どうなるか?お互いを思いやれる余裕があるときはうまく回るけれど、余裕がないときは不満の種になってしまうんです。

「なんで自分だけが頑張っているんだろう?」「いちいち言わないとやってくれないの?」っていうふうに。

「自分はこんなにやっているのに!(パートナーは全然やってくれない)」っていう気持ちにならないように、あらかじめルールを決めておきましょう。ルールはざっくりでもいいんです。たとえば、「休日の掃除と洗濯はパパ担当、その代わり夜泣き対応はママ担当」みたいに決めてもいい。

もちろん、計画どおりにはいかないことだってあります。状況によって柔軟に対応することも、もちろん大切です。

■「どうすればできるか?」を考える
「やろうとしていたのに、どうしても時間内にはできなかった」ってことも、ありますよね。「子どもがなかなか離れてくれなくて……」「別のことに時間をとられてしまって……」うんうん、わかります。

でも、できない理由ばかりを考えていても、先には進めません。できない理由ばかり考えていると、自分でも気づかないうちに「人のせい」「環境のせい」にして、「じゃあ、仕方ないね」で話が終わってしまいます。

ものごとが思いどおりに進まないときこそ、発想を変えてみる。「できない理由」を考えるのではなく、「どうしたらできるか?」をよく考える。

たとえば、こんな感じです。

「子どもが離れてくれなくて……」
→アイデア1「自分でやるのではなく、お掃除ロボットにやらせよう」
→アイデア2「むしろ、子どもと一緒にやっちゃう?(一人でやるより時間はかかるけど、やらないよりはいいかな)」

「別のことに時間をとられてしまって……」
→アイデア1「突発的なできごとに対処できるように、余裕をもって時間を組んでおこう」
→アイデア2「そもそも、一日くらいやらなくても平気なんじゃない?(やらないという選択肢はないのか?)」

■お互いの心理的負担を把握するワーク
「得意」や「苦手」は数値化されていないので、比較が難しいことがあります。そんなときは、お金に換算してみるのもひとつの手です。

このように聞いてみましょう。「いくらもらったら、〇〇する?」たとえば、「いくらもらったら、トイレ掃除する?」と聞いて、「800円かな」と言われたとします。同じように、キッチン掃除や玄関掃除、ゴミ出しなども聞いていきます。ここでのポイントは、「どんな仕事か」をちゃんと説明すること。

「ゴミ出し」には、「各部屋のゴミ箱からゴミを集める」「ゴミ箱に新しい袋を設置する」「ゴミ収集所に持っていく」という内容を含んでいます。でも、相手が「ゴミ収集所に持っていく」だけだと思っていたりすると、噛み合いません。

いくつかの仕事について聞いていくと、「トイレ掃除は800円」「キッチン掃除は1500円」「玄関掃除は500円」「ゴミ出しは300円」……と、金額が出てきます。

そうすると、「この人は、ゴミ出しよりもキッチン掃除のほうに負担を感じているんだな。それなら、ゴミ出しと玄関掃除をお願いしたほうがいいな」とわかります。

この答え、人によってけっこう違う場合があります。お互いに値づけして比較してみると、おもしろいかもしれません。お互いを理解して、建設的に話し合うためのツールとして活用してください。

エハラマサヒロ お笑い芸人
大村亮介 人材育成コンサルタント/株式会社アールオージャパン 代表取締役

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【プロフィール】
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エハラマサヒロ お笑い芸人

1982年大阪府東大阪市生まれ。吉本興業所属のお笑いタレント。2009年、2010年「 R-1グランプリ」準優勝、現在はミュージカルなど俳優としても活躍中。モノマネ、ギター、ボイスパーカッション、ダンス、似顔絵、マンガが趣味であり特技。家族7人のYouTube「エハラ家チャンネル」が大人気。ほかに Instagram・TikTok・X(旧ツイッター)も好評。

Youtube エハラ家チャンネル
https://www.youtube.com/@eharakechannel
X @eharamasahiro
Instagram @eharamasahiro
TikTok @eharamasahiro

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大村亮介 人材育成コンサルタント/株式会社アールオージャパン 代表取締役

1980年埼玉県朝霞市生まれ。14歳と2歳の娘をもつ父。2008年に創業した会社では、人材開発や組織改革、事業再生等を手掛ける。なかでも人材育成に強く、これまで1万人以上の育成に携わった経験をもとに「エッセンシャル・コミュニケーション・メソッド」を提唱。現在は育児や夫婦関係にも活躍の場を広げ、「幸せな家族を創る」をテーマに活動中。著書に『 AI 新時代を生き抜くコミュニケーション術』(日本地域社会研究所)。

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