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仮想通貨で利益が出た場合、必ずついて回るのが損益計算です。しかし、「どうやって計算したらいいのか分からない」「どこまでデータが必要なの?」という方も多いのではないでしょうか?

本記事では、仮想通貨における損益計算の基本から、必要な資料、具体的な方法、注意点まで、仮想通貨専門の税理士が解説します。

■なぜ損益計算が必要なのか?
そもそも、何のために損益計算を行うのか。答えはシンプル。確定申告のためです。

株式投資の場合、証券会社が損益計算や源泉徴収を自動で行ってくれます。しかし、仮想通貨はそうはいきません。すべて自身で作業を行う必要があります。

・取引履歴の整理
・損益計算の実施
・確定申告書の作成および提出
・納税

この一連の作業を自分でやらなければならないため、正確な損益計算が不可欠になります。

■国税庁の「仮想通貨損益計算書」は使える?
国税庁は仮想通貨の計算書フォーマットを公開していますが、正直なところ使える人はごく一部です。

国税庁の計算書が使えないのは以下のようなケースです。

・平成29年以前から投資している
・海外の仮想通貨取引所を利用している
・メタマスクなどのウォレットを利用している
・NFT売買をしている
・ICO・IEOなどに参加したことがある

このような場合、国税庁フォーマットは非対応となっています。つまり、 多くの仮想通貨投資家は別の方法で計算する必要があります。

■損益計算に必要な資料
損益計算を行うには、以下の資料を準備しましょう。

・取引履歴:すべての取引の詳細が必要(取引所別に)
・年間取引報告書:国内取引所から取得可能(取引履歴の集計資料)
・DeFi取引履歴:メタマスク等を使っている場合に必要
・年末時点の保有コイン情報:保有ポジションの整合性確認に使用
・Airdropなどの記録:計上漏れ防止のために重要

■なぜ仮想通貨の損益計算は難しいのか?
仮想通貨の損益計算が難しいのには多くの理由があります。

(1)取引所ごとにフォーマットがバラバラ
利用している仮想通貨取引所ごとに、出力される取引履歴のフォーマットがバラバラになっています。CSVやExcelの項目名や形式が異なるため、このフォーマットを分析して計算するのが非常に煩雑です。

(2)取引所がいきなり倒産・閉鎖することがある
仮想通貨取引所はハッキングを理由にいきなり倒産することがあります。過去にはFTXなど海外の大手仮想通貨取引所が倒産しました。突然閉鎖されると取引履歴が取得できなくなります。

(3)DeFi取引の難解さ
仮想通貨取引は、取引所での取引のみならず、ウォレットといわれるものを個人で保有して取引を行うケースがあります。これをDeFiと言います。DeFiにおいては、ブロックチェーン上のトランザクション解析が必要で、英語の読解のみならず、技術的な知識も求められます。

(4)ウォレットと個人情報が紐づいていない
DeFiにおいては、KYCといわれる、身分情報の登録が不要となっています。そのため、DeFi上のトランザクションの相手が「誰か」その取引の内容が「何か」によって税務上の処理が変わるため、DeFi上の取引の把握が困難です。

(5)仮想通貨の時価情報の取得が必要
仮想通貨から仮想通貨への交換(スワップ)は課税対象、ということはよく知られていますが、その際は仮想通貨の時価で売却し、売却価額で交換先の仮想通貨を購入したという扱いがなされます。

そのために、スワップ時の時価を算定する必要があります。仮想通貨の時価は変動しやすく、また、どの時価を用いるか(仮想通貨取引所によって微妙に時価が異なっている)、どのタイミングの時価を用いるか(取引した際の何時何分までの時価にするか)などの論点が生じます。

■仮想通貨の損益計算の3つの方法
損益計算を行うには、主に3つの方法があります。各計算方法別のメリット・デメリットは下記の通りです。

(1)自力でExcel等で集計:コストは安いが、時間と労力が非常にかかる。

(2)ツールを使う(クリプタクト等):取引履歴をアップするだけで自動で集計・計算が可能。ただし、ツール代金が有料。DeFiを利用している場合は特に、完全に自動で計算が完了しないことが多い。

(3)専門家(税理士等)に依頼:信頼性が高くその他の税務相談も可能だが、コストが高い。DeFiについてはその性質上、丸投げが難しい。

取引の頻度、利益のボリュームなど自身の投資スタイルに応じて選ぶ必要があります。

■税理士おすすめの損益計算ツールは?
仮想通貨の損益計算ツールは様々な種類が存在します。主なものとしては、クリプタクト、G-tax、クリプトリンク、Zeibit、Crypto Xなどです。

どのツールを使うのが良いか、という点ですが、以下の点を考慮してください。

・自分が利用している仮想通貨取引所に対応しているか?
・自分が利用しているDeFiのチェーンに対応しているか?

なお、私は「クリプタクト」をメインで利用しています。

■損益計算は非常に重要なものの、非常に難しい
仮想通貨投資において、損益計算の煩雑さを避けては通れません。

・投資開始時からの履歴の管理
・DeFiやNFT、エアドロップの対応
・適切なツールや専門家の活用

これらを組み合わせて、正確かつ効率的な損益計算を行いましょう。確定申告で焦らないためにも、日頃から記録の整理とツールの活用を心がけてください。

村上ゆういち 税理士・公認会計士

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【プロフィール】
murakami
新日本監査法人(現EY新日本有限責任監査法人)、横河電機株式会社、アカウンティングフォース税理士法人での勤務を経て、2020年に村上裕一公認会計士事務所設立。現在は「魔界の税理士」としてSNSやyoutubeでも活躍し、仮想通貨(暗号資産)・NFT・ブロックチェーンゲーム領域を専門とする。

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公式サイト https://crypto-cpa.jp/
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