![]() ビットコインは8月14日に12万4000ドル台と最高値を更新しましたが、その後1割ほど値下がりするなど、相変わらず激しい値動きを見せています。利益が出ている人のなかには、利益額を正しく計算できるのか、申告漏れがあるとどうなってしまうのかと不安に思っている人もいるでしょう。 昨年、国税庁は仮想通貨の税務調査についての統計資料を発表しています。この内容から分かる「仮想通貨の税務調査の実態」について、仮想通貨専門の税理士が解説します。 ■仮想通貨は今も「重点監視対象」 国税庁は、毎年11月に「所得税及び消費税調査等の状況」という形で税務調査の統計資料を発表しています。特に2024年11月に公表された、令和5事務年度(2023年7月1日~2024年6月30日)の税務調査概要では、「インターネット取引を行っている個人に対する調査状況」という項目で、「暗号資産(仮想通貨)」が明確に取り上げられていました。 国税庁は次のように明記しています。 インターネット上のプラットフォームを介して⾏うシェアリングエコノミー等新分野の経済活動に係る取引や暗号資産(仮想通貨)等の取引を⾏っている個人に対しては、資料情報の収集・分析に努め、積極的に調査を実施しています。 つまり、仮想通貨は依然として国税庁の重点調査項目であり、今後も調査は継続される見込みです。 ■仮想通貨の税務調査の実態 2023年7月~2024年6月の1年間(令和5事務年度)における仮想通貨関連の税務調査の実績は図1のとおりです。 (図1:国税庁「令和5事務年度 所得税及び消費税調査等の状況」より) 前年(令和4事務年度)に比べて件数・金額ともにやや減少していますが、それでも依然として大規模な調査が継続されています。 1件あたりの申告漏れ所得金額が2,356万円と、多額の申告漏れを指摘しています。 特に注目すべきは次のデータです。 暗号資産等取引を⾏っている個人に対する調査の1件当たりの追徴税額は 662 万円と、所得税の実地調査(特別・一般)全体の 275 万円に⽐べ、2.4 倍となっています。 つまり、「仮想通貨=高額な脱税が発生しやすい」という認識で調査が行われているということです。 ■9割超!異常に高い脱税指摘率 仮想通貨関連の税務調査における脱税の指摘率は驚異的です。 ・令和5事務年度:調査535件中、491件で申告漏れを指摘(91.8%) 過去数年間を見ても、常に90%を超える指摘率を維持しています。 これは、国税庁が事前に仮想通貨取引所などから入手した取引データを徹底的に分析し、「ほぼ確実に脱税している」と判断した対象者のみに絞って調査を行っているためと考えられます。 ■カルダノ(ADA)バブルの影響 2022~2023年にかけて話題となったカルダノエイダ(ADA)バブルについても注目されています。日本人のADA投資家の中には、プレセールで購入し数十倍の利益を得たにもかかわらず、無申告状態でいた人が多かったとされており、そのリストが国税に渡っていたとの噂もあります。 この一連の調査が一巡したことで、2024年はやや調査件数が落ち着いた可能性が高いです。 ■AI導入で小口の無申告も逃さない時代へ 今後の大きな変化は、AIの活用です。 国税庁は資料内で「効率的な調査のためにAIを導入している」と明言しており、仮想通貨取引のデータをAIにより分析することで、小口の脱税(例:50万円程度)も対象にしていることがうかがえます。 これにより、以下のようなケースもリスクが高くなりました。 ・サラリーマンで仮想通貨利益が20万円超あるが申告していない ・利益50万円程度なら税務署は来ないだろうと放置 仮想通貨の税務調査については上記の通り1件あたり2000万円以上もの脱税を指摘しているため、数百万円程度であれば税務署が来ないだろう、とタカをくくる人もいるかもしれません。 ですが、今後はAIの活用により少額の脱税にも調査が入る可能性があります。 ■税務調査に入られたら…追徴税で税額30%増しも 仮想通貨の税金は元々高いですが、無申告状態で税務調査が入った場合は、追加で約30%の追徴課税が課されるケースが多いです。 仮に50万円の税金を逃れていた場合: ・通常の税額:50万円 ・追徴課税(約30%):15万円 ・合計:65万円 ただし、自ら修正申告をすることで、ペナルティとなる追徴課税を下げることが可能です。 過去の無申告や申告漏れに気が付いた場合、すぐに自身で修正申告をすることを推奨します。それにより、高い追徴課税を抑えることが可能となります。 ■仮想通貨投資家は必ず「申告・納税」を 今回の国税庁の発表を踏まえると、仮想通貨の税務調査は今後も以下のような特徴を持つと予想されます。 ・仮想通貨は依然として重点監視分野 ・脱税の指摘率は9割超と非常に高水準 ・少額でも無申告はAIによって発見される可能性が高い ・追徴課税により本来の税金より30%以上増えるリスク 仮想通貨で得た利益がある方は、正しく申告・納税を行いましょう。 村上ゆういち 仮想通貨専門の税理士・公認会計士 【関連記事】 ■仮想通貨の評価方法、総平均法と移動平均法はどう違う? (村上ゆういち 仮想通貨専門の税理士) https://sharescafe.net/62600637-20250829.html ■仮想通貨にも「出国税」?海外移住で大損する前に知っておくべき税制の動き (村上ゆういち 仮想通貨専門の税理士) https://sharescafe.net/62600585-20250830.html ■仮想通貨の税務調査は国税庁も苦戦中?その理由とは (村上ゆういち 仮想通貨専門の税理士) https://sharescafe.net/62600614-20250830.html ■世帯年収1560万円の共働き夫婦は、9540万円の湾岸タワーマンションを買えるのか? (中嶋よしふみ ファイナンシャルプランナー) https://sharescafe.net/61186482-20240125.html ■変動金利は危険なのか?(中嶋よしふみ ファイナンシャルプランナー) https://sharescafe.net/60041384-20221223.html 【プロフィール】 ![]() X https://x.com/Jeanscpa 公式サイト https://crypto-cpa.jp/ YouTube 魔界の税理士ちゃんねる https://www.youtube.com/@makai-tax シェアーズカフェ・オンラインからのお知らせ ■シェアーズカフェ・オンラインは2014年から国内最大のポータルサイト・Yahoo!ニュースに掲載記事を配信しています ■シェアーズカフェ・オンラインは士業・専門家の書き手を募集しています。 ■シェアーズカフェ・オンラインは士業・専門家向けに執筆指導を行っています。 ■シェアーズカフェ・オンラインを運営するシェアーズカフェは住宅・保険・投資・家計管理・年金など、個人向けの相談・レッスンを提供しています。編集長で「保険を売らないFP」の中嶋が対応します。 |



