![]() ■展示会成功の鍵は「出展コンセプト」にあり 資金力や知名度、人材に限りがある中小企業にとって、展示会は「金なし・コネなし・人手なし」の状況を打開する突破口となり得る営業活動です。しかし、どんなブースをつくればよいのかわからない、とお悩みの方も多いのではないでしょうか。展示会出展で成果を出すには、まず「どんなブースにするか?」を考える前に、「誰のどんな悩みを解決するために出展するのか」を明確にすることが不可欠です。 私はこれを「出展コンセプト」と呼んでおり、この策定が展示会出展の全プロセスで最も重要なことはもちろん、企業運営そのものにおいても、長期ビジョンとして活かすことができます。今回は、そんな一挙両得となる出展コンセプトのつくりかたをお伝えしますので、あなたの会社を「儲かり体質」に変えるためにお役立てください。 ■「出展コンセプト検討シート」の活用 出展コンセプトの検討にあたり、以下4つの質問で構成された「出展コンセプト検討シート」を作ってみましょう。 (1)展示会で出会いたい相手は? まずはターゲットの設定ですが、 単に「建設業」や「組立製造業」といった業種でなく、「建設業の設計部門の責任者」や「組立製造業の社長」のように、「パーソン単位」で具体的に設定することが重要です。そして、その相手が実際に出展予定の展示会に一定数以上来場する人物であるかを必ず確認してください。 (2)その人が日ごろ心の中でつぶやいている悩みは? この質問こそが、出展コンセプト検討シートの中で最も重要です。 ポイントは、自社が解決できるか否かは問わず、その人に成り代わって、あらゆる悩みをできるだけ多く列挙することです。例えば、部品棚を売る会社が中小製造業の社長の悩みを考える際、「最近部品点数が増えて整理整頓が大変だ」だけでなく、「人手が足りなくて困る」「値引き圧力が強くて儲からなくなってきている」「品質にバラツキが多くなっている」といった、社長の生々しい心の声を表現してみます。これにより、来場者は「売り込まれた」と感じず、共感と信頼を抱くようになるでしょう。 (3)その人のためにうちの会社が役に立てることは? 次に、洗い出した悩みの中から優先順位の高いものに対し、自社がどう役立てるかを具体的に記載します。多少こじつけであっても、自社が解決できる可能性を示唆する柔軟な発想が求められます。 (4)お役に立てる根拠はなにか? 人によっては、「こんな風に役立ちますよ」と言われたところで、「本当かな?」と疑問を抱くことがあるでしょう。その疑問を払拭するために、商材の性能、実績、事例、顧客の声といった裏付け情報を具体的に提示します。 日頃の業務に追われていると、こうしたことをじっくり考える機会は多くないため、意外と難しいのではないでしょうか。 ■「何のブースか」を3秒で理解させる 次に、シートで可視化した内容からコンセプトを練りあげていきますが、その上で忘れてはならないのが、「1ブース=1アイテム=1ターゲット」の原則です。あれこれ欲張って多くの商品やサービスを紹介しようとすると、ブースのコンセプトがぼやけてしまい、来場者の関心を引くことができません。中小企業は特に、ターゲットと商材を絞り込みシンプルにメッセージを伝えることで、来場者に「何のためのブースか」を3秒で理解させることが重要です。 そして、この出展コンセプト検討シートの作成は、社長を筆頭に、営業、マーケティング、設計開発、製造、総務経理など、全部門を巻き込んだ部門横断的なプロジェクトチームで議論しながら作り上げることもポイントです。この共同作業を通じて、社員一人ひとりが顧客について深く考え、自社の強みを再認識し、コンセプトへの納得感と愛着が生まれます。これは、下手な研修の100倍以上の教育効果をもたらし、展示会当日やその後のフォロー活動において、全部門が主体的に関わる大きな推進力となるのです。 ■出展コンセプトを未来へ繋ぐ「20年ビジョン」 出展コンセプトが完成したら、次に「20年ビジョン」を策定しましょう。これは、もし今後、作成した出展コンセプトで20年間毎年出展し続けたとしたら、自社はその頃どんな会社になっているのかを、プロジェクトメンバー全員で自由に話し合うという取り組みです。この「20年ビジョン」の目的は、現在の「人手が足りない」「資金がない」「人脈がない」「強力なライバルがいる」といった制約条件から一旦離れ、できるだけ大きく、明るい未来を描くことにあります。 制約を取り払うことで、社員は「20年ビジョン」の議論を通じて「20年後、自分はそこでどう活躍したいか」と自分ごととして未来を考えることができるようになるでしょう。例えば、私のクライアントである介護施設向けの清掃サービスを手掛ける企業では、「介護施設の入所者やヘルパーがイキイキと暮らすことをサポートする会社」というビジョンが生まれ、それを受けて社員が自ら「健康運動指導士」の勉強を始めるという、素晴らしい変化が起こりました。 この話し合いは、メンバー間の相互理解を深めるだけでなく、社員が自らの能力開発目標を見出すきっかけとなり、会社の未来を明るく照らします。本来、企業にとって「20年ビジョン」は常に持つべきものですが、いわゆる「重要だけれども緊急性がないこと」に分類され、どうしても後回しになりがちです。展示会出展という具体的な機会を利用することで、経営にとって本質的なテーマを議論し、会社全体を変革する推進力として活用することができる、というわけですね。 「出展コンセプト」と「20年ビジョン」を基盤として、計画的な展示会出展に取り組めば、営業活動の機会と同時に長期的な成長のための視点を手に入れることができます。経営が苦しい中、ただ闇雲に営業活動を行っていては泥沼に足を踏み入れかねませんから、ぜひ展示会を「儲かる会社」へ生まれ変わる機会として、最大限に活用してみてください。 清永健一 株式会社展示会営業マーケティング代表取締役 中小企業診断士 展示会営業(R)コンサルタント 【関連記事】 ■ 新規開拓に悩む中小企業が年1回展示会に出展すべき理由(清永健一 中小企業診断士) https://sharescafe.net/62564365-20250813.html ■「営業は年1回で十分」中小企業を「儲かる体質」に変える秘策とは(清永健一 中小企業診断士) https://sharescafe.net/62530414-20250729.html ■「静かな退職」モードの人が展示会に行くべき理由 (中小企業診断士 清永健一) https://sharescafe.net/62438006-20250624.html ■変動金利は危険なのか?(中嶋よしふみ FP) https://sharescafe.net/60041384-20221223.html ■世帯年収1560万円の共働き夫婦は、9540万円の湾岸タワーマンションを買えるのか? その1・生活費は800万? (中嶋よしふみ ファイナンシャルプランナー) https://sharescafe.net/61186482-20240125.html 【プロフィール】 清永健一 株式会社展示会営業マーケティング代表取締役 中小企業診断士 展示会営業(R)コンサルタント 株式会社展示会営業マーケティング代表取締役。中小企業診断士、展示会営業(R)コンサルタント。奈良生まれ、東京在住。神戸大学経営学部卒。 展示会を活用した売上アップの技術を伝える専門家。支援先企業からは、集客・受注・売上が大幅に増加したと好評の声が多数あがる。「日経MJ」、「NHKラジオ総合第一」など多くのメディアで取材を受けている。支援実績は1300社を超え、ほぼ毎週、東京ビッグサイトに出没している。NHKラジオ総合第一で展示会の未来について言及するなど、展示会業界活性化にも尽力。展示会活用に関して、テレビ等出演のほか、行政、公益法人、金融機関などで講演多数。 著書の『最新版 飛び込みなしで新規顧客がドンドン押し寄せる展示会営業術』、『展示会のプロが発見!儲かっている会社は1年に1回しか営業しない』など合計7作はいずれもamazon部門1位を獲得している。 公式サイト https://tenjikaieigyo.com X(旧Twitter) @tenzikai シェアーズカフェ・オンラインからのお知らせ ■シェアーズカフェ・オンラインは2014年から国内最大のポータルサイト・Yahoo!ニュースに掲載記事を配信しています ■シェアーズカフェ・オンラインは士業・専門家の書き手を募集しています。 ■シェアーズカフェ・オンラインは士業・専門家向けに執筆指導を行っています。 ■シェアーズカフェ・オンラインを運営するシェアーズカフェは住宅・保険・投資・家計管理・年金など、個人向けの相談・レッスンを提供しています。編集長で「保険を売らないFP」の中嶋が対応します。 |


