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アメリカでは「その髪型、素敵!」など、日常のなかで気軽に明るく、さりげない褒め言葉を交わす文化があります。アメリカ在住30年の起業プロデューサー・上野ハジメ氏は、これを「プチ褒め」として提唱しています。ポジティブな言葉のやり取りは豊かな人間関係の構築に役立ちます。今回は、「地の時代」から「風の時代」への変化に伴って、褒め方がどのように変わったかについて、『人づき合いが超ラクになる「プチ褒め」の魔法(上野ハジメ・プレジデント社)』から再構成してお届けします。



■「地の時代」VS.「風の時代」で褒め方も激変
大きな時代のシフトと共に、価値観の変容が進んでいます。占星術の世界では、2020年12月を境に、200年以上続いた「地の時代」から「風の時代」へと移行したと言われています。

この変化は、動きが遅く大きな影響力を持つ冥王星が、どの星座に位置するかによってもたらされるとされ、スピリチュアル業界だけでなく、オンライン起業家などの間でも盛んに語られてきました。

地の時代と風の時代は、それぞれ以下のような特徴的なキーワードで語られています。

・地の時代(〜2020年):物質的な豊かさ、安定、階級社会、権威を重視。
・風の時代(2020年〜):情報、共感、自由、ネットワークを重視。

インターネットが生活に根付き、個々の価値観も多様化。これまでの「常識」が変わり始めるのを感じていた頃、世界はコロナ禍でロックダウン。リモートワークの普及やライフスタイルの見直し、SNSでのつながりの深まりなど、壮大な規模でのリセットが行われていきました。

この変化は、褒め方にも大きな影響を与えています。地の時代の褒め方は、頑張りや我慢、義理、目に見える評価基準に重きが置かれていました。褒めるという行為自体、一般的ではなかったかもしれません。「褒めると調子に乗る」「甘やかしたくないから、褒めない」。そんな厳しい親たちに育てられ、歯を食いしばるのが当たり前の時代。

みなさんの中には、「褒められて育っていないから、褒め方がわからない」という方も多いに違いありません。私もかつてはそうでした。「あなたはちゃんとやればできるのに……」と子ども時代に何度、言われたことでしょう。

親としては、潜在的な可能性を信じているからこそ期待するわけですが、子どもにしてみれば、「常に親に満足してもらえない」「認めてもらえない」「これだけやってもまだダメなのか……」と落胆するばかり。「よく頑張ったね」の一言があれば、どれほど癒されたことかと思いますが、その想いが互いに通じない時代でもありました。

そして今、風の時代と言われるまでもなく、世の中の空気感が様変わりしたように感じている人も多いでしょう。

褒め方も、「共感」や「個人の創造性」をベースにしたものに変化しています。「昭和」に象徴される地の時代は、長時間労働のような見える努力や、出世、高学歴、高収入のようなわかりやすい成功のシンボルが褒める対象でした。

●地の時代の褒め方ポイント
・年齢や地位を尊重した褒め方
「さすが部長ですね!」(役職ありきの評価)
「上司に気に入られるなんて、出世コースだ!」(会社の論理が前提)

・努力や忍耐を重視した褒め方
「こんなに遅くまで頑張って偉いね!」(働きすぎを美徳化)

・性別ごとの役割を前提とした褒め方
「女性らしくて優しいね」「男らしくて頼もしいよ」

対する「風の時代」のキーワードは、自由・共感・創造性・つながり。それに伴い、褒めるスタイルも大きく変わっています。

●風の時代の褒め方ポイント
・共感を軸にした褒め方
「その視点、すごく新鮮で共感しました!」(意見やアイデアを尊重)

・行動や才能を認める褒め方
「プレゼンがとても伝わりやすかった!」(具体的な能力を評価)

・自由と個性を尊重する褒め方
「そのスタイル、〇〇さんらしくて素敵ですね!」(個性を前提にした評価)

・ふわふわした褒めではなく、行動へと導く褒め方
「〇〇さんの考え方は独自性があっておもしろい!もっとうかがいたいです!」(相手の才能や可能性を引き出す)

・結果ではなく過程にフォーカスした褒め方
「挑戦し続けることが素晴らしいです!」(努力の姿勢)
「そうやって前向きに捉えられるところが、さすがです」(ポジティブなマインド)

これらの言葉を表現する場も、今や口頭から文章(メールやチャット、SNSのコメント)に移行しています。

口で言うと、なんだかお世辞のように聞こえそうなことも、さりげなく「つい言わずにはいられなかった」という感覚で文字に落とすことで、相手も受け取りやすくなります。

すべてが風のようにふわっと軽いようでいて、プチ褒めは、決して上っ面ではなく、確実に心に届く表現手段。この時代を生きる私たちが、どんなふうに褒められると嬉しいのか心理を知り、適切な言語化の手法を理解すれば、誰でもできるようになります。

上野ハジメ 起業プロデューサー/NLPライフコーチ/イムア・プロジェクトLLC代表

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【プロフィール】
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上野ハジメ 起業プロデューサー/NLPライフコーチ/イムア・プロジェクトLLC代表

1980年代から10年間バブル全盛の広告業界で働いた後、1994年ハワイに移住。MBA(経営修士号)を取得。2001年、ウェブメディア&雑誌事業運営会社の社⻑・編集⻑に就任。2011年LAに移住し、世界No.1規模の在住日本人向け情報誌の社⻑・編集局⻑に就任。日米5拠点50名の社員と8億円事業を展開。性別や年齢を問わないフラットな社会で多様な価値観に触れ、ゲイであることをオープンにしながらコミュニティリーダーとして活躍。2018年より全⽶移住率No.1のテキサス州ダラスを拠点に「プロライター養成講座」「VA(バーチャルアシスタント)育成スクール」など人気講座を展開中。著書『3ケ月で自然と月5万円稼げるようになる〜世界一やさしい「プチ起業」の教科書』(プレジデント社)、『人づき合いが超ラクになる「プチ褒め」の魔法』(プレジデント社)。

公式サイト:https://lit.link/hajime_imua
公式ブログ:https://www.hajimeueno.com/
『人づき合いが超ラクになる「プチ褒め」の魔法』 https://www.amazon.co.jp/dp/B0FQN7RSBN
Instagram:https://www.instagram.com/hajime_writing/

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