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アメリカでは「その髪型、素敵!」など、日常のなかで気軽に明るく、さりげない褒め言葉を交わす文化があります。アメリカ在住30年の起業プロデューサー・上野ハジメ氏は、これを「プチ褒め」として提唱しています。ポジティブな言葉のやり取りは豊かな人間関係の構築に役立ちます。今回は、つい言ってしまいがちな「NG褒め」の例を挙げ、偏見なくフラットに相手を褒めるためのポイントをお伝えします。『人づき合いが超ラクになる「プチ褒め」の魔法(上野ハジメ・プレジデント社)』から再構成してお届けします。



■境界線を飛び越える自由な褒め方スタイル
占星術の世界では、2020年12月を境に、200年以上続いた「地の時代」から「風の時代」へと移行したと言われています。

風の時代を英語で言うと、実は(風)ではなく(空気)が正解。境界線や段差もなければ、色も匂いもない。ジェンダーや年齢、地位、仕事、収入、家柄や家の大きさなど、すべての違いを飛び越えて、つながり合える時代がやってきました。褒め言葉も、空気のように、あらゆる壁を飛び越えて自由自在に届けていくことが大切です。

褒めるというと、どうしても「上から下へ」というイメージを持ちがちです。「何かができたことを認めて褒める」「合格点を取ったから褒める」ということをしてしまうのです。

それはこれまで、何かで一人前になった、目標を達成した、資格を取得できた、良い学校に受かったなど、成果に対する「評価」として褒め言葉が用いられてきたからです。

でも、それはもう終わりにしましょう。これからの褒め方スタイルは、もっと自由に考えていい。

親を褒める、先生を褒める、上司を褒める、目上の方を褒める。以前なら、少し間違えると「失礼」とも取られかねなかったことが、今は適切な言葉さえ選べば無理なくできる時代になりました。そして、誰もが褒め言葉を必要としている、そんな時代にもなっていると感じています。

風の時代では、フラットな関係性が重視され、褒めることの意味も大きく変わってきています。上下関係ではなく、対等な関係の中で褒めること。評価ではなく、純粋な気づきや感動を共有することが、自然と褒めにつながる。互いに褒め合うことで、円滑な人間関係を作ることにつながります。

・「その発想、とってもおもしろいですね!」(純粋に感動を伝える)
・「〇〇さんの話、論理的ですぐ理解できました!」(行動やスキルを評価)
・「私もその考え方、共感します!」(目線を揃え、思いを表現)

これらは、まさに「共感とつながり」をベースにした風の時代の褒め文化の事例と言っていいでしょう。

先生だって、上司だって、どんな人でも褒められて嬉しくないはずがありません。ただし、敬語や丁寧語など、国語の原則はしっかりと織り込むことは忘れないでくださいね。

■無意識の偏見(アンコンシャス・バイアス)に気をつけて
プチ褒めは本来、ポジティブなものですが、無意識の偏見(アンコンシャス・バイアス)が含まれると、意図せず相手を傷つけたり、差別を助長してしまうことがあります。

少し、「難しい」と感じることがあるかもしれませんが、以下の事例を見れば納得していただけるかと思います。

1.ボディシェイム(BodyShaming)
×「痩せたね!すごくきれいになった!」
NGの理由:「痩せる=美しい」という価値観の押し付けになっている。
○「最近、すごく健康的な雰囲気だね!」(体型ではなく、雰囲気やエネルギーにフォーカス) 

×「ガリガリなのに意外によく食べるねえ!」
NGの理由:痩せている人に対する無意識の決めつけ。
○「美味しそうに食べるのでこちらまで嬉しくなります!」(体型に触れない)

2.年齢差別(Ageism)
×「若いのにしっかりしてるね!」
NGの理由:「若い=未熟」という前提が含まれている。
○「とても論理的な考え方だね!」(年齢に関係なく評価する)

×「まだまだ若いんだから挑戦できるよ!」
NGの理由:「年齢を重ねると挑戦できなくなる」という固定観念。
○「人生100年時代、いつからだって新しいことは始められるよ!」(年齢に関係なく奨励・応援する)

×「〇歳には見えない!すごく若く見える!」
NGの理由:若く見えること=良いこと、という価値観の押し付け。
○「若々しいエネルギーを感じます!」(年齢ではなく雰囲気を褒める)

3.性別によるバイアス(GenderBias)
×「女性なのにリーダーシップがあるね!」
NGの理由:「リーダーシップは男性的なもの」という前提がある。
○「決断力があって頼りになるね!」(性別に関係なくスキルを評価)

×「男性にしては、すごく気遣いができるね!」
NGの理由:「気遣い=女性的」というバイアスがある。
○「細かいところまで気を遣ってくださり、さすがです!」(性別は無視)

×「女性らしくて優しいね」/「男らしくて頼もしいね」
NGの理由:性別に基づいた役割の押し付けになっている。
○「優しいね」「なんか頼もしいなあ」(性別は考慮に入れない)

4.人種・国籍バイアス(Racial/NationalOriginBias)
×「日本人にしては英語がうまいね!」
NGの理由:「日本人は英語ができない」というステレオタイプを強化している。
○「発音がきれいで伝わりやすいね!」(前提をつけず、スキルを純粋に評価)

×「アジア人だから数学が得意なんでしょ?」
NGの理由:特定の人種に能力を結びつけるバイアス。
○「数学は得意でしたか?」(普通に得意不得意を尋ねればいい)

×「〇〇出身なんだ!じゃあ、辛いもの好きでしょ?」
NGの理由:文化的ステレオタイプを押し付けてしまう。
○「〇〇だと、辛い鍋の▲▲が美味しくて有名ですよね!やっぱりみなさん、お好きなんですか?」(決めつけずに話題の取っ掛かりにし、話を広げる)

5.障がい・健康に関するバイアス(Ableism&Health Bias)
×「すごいね、普通に生活できてるんだね!」
NGの理由:障がいがある人=自立できない、という前提がある。
○「〇〇さんの視点、すごくユニークで参考になるね!」(障がいの有無に関係なく、その人の価値を伝える)

×「車椅子なのに、会社で重要なポジションをこなしていて、すごいですね!」
NGの理由:「〇〇なのに」という表現はハンディキャップをネガティブなものと決めつけている。
○「会社で重要なポジションのお仕事を任されていて、すごいです〜」(車椅子のことは触れない)

×「全然そんな風に見えないよ!すごく元気そうじゃない!」
NGの理由:見た目で判断して病状を軽視していると見られかねない。
○「体のこと、信頼して教えてくれてありがとう。辛い時はいつでも言ってね」(ただ共有してくれた事実に感謝)

このように、アンコンシャス・バイアスは無意識のうちに根付いた価値観が影響しているため、自覚しにくいものです。しかし、プチ褒めをする時、「これは本当に相手を喜ばせる言葉か?」と意識することで、よりポジティブで時代に合った褒め方ができるようになります。

上野ハジメ 起業プロデューサー/NLPライフコーチ/イムア・プロジェクトLLC代表

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【プロフィール】
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上野ハジメ 起業プロデューサー/NLPライフコーチ/イムア・プロジェクトLLC代表

1980年代から10年間バブル全盛の広告業界で働いた後、1994年ハワイに移住。MBA(経営修士号)を取得。2001年、ウェブメディア&雑誌事業運営会社の社⻑・編集⻑に就任。2011年LAに移住し、世界No.1規模の在住日本人向け情報誌の社⻑・編集局⻑に就任。日米5拠点50名の社員と8億円事業を展開。性別や年齢を問わないフラットな社会で多様な価値観に触れ、ゲイであることをオープンにしながらコミュニティリーダーとして活躍。2018年より全⽶移住率No.1のテキサス州ダラスを拠点に「プロライター養成講座」「VA(バーチャルアシスタント)育成スクール」など人気講座を展開中。著書『3ケ月で自然と月5万円稼げるようになる〜世界一やさしい「プチ起業」の教科書』(プレジデント社)、『人づき合いが超ラクになる「プチ褒め」の魔法』(プレジデント社)。

公式サイト:https://lit.link/hajime_imua
公式ブログ:https://www.hajimeueno.com/
『人づき合いが超ラクになる「プチ褒め」の魔法』 https://www.amazon.co.jp/dp/B0FQN7RSBN
Instagram:https://www.instagram.com/hajime_writing/

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