![]() ■税理士として成功するには 税理士の仕事はその名のとおり、税金に関することで、個人や会社の税務、申告の代理をします。税務署を勤め上げた退職者が税理士資格を取得して開業するケースも多く、税理士の平均年齢は高いというデータもあります。 税理士の場合、試験が特殊です。受験資格はありますが、受験科目を選ぶことができ、しかも一度受かった科目は翌年以降も有効です。そのため、長い期間をかけても受験する余地があり、会社に勤務しながら、5年10年計画で受験される方もいるほどです。 毎年、確定申告の時期になると無料相談会などを街頭で実施していますし、数ある資格の中でも知名度が高く、営業活動がしやすい資格であると言えます。 ■税理士の戦略構築ポイント 税理士の場合は専業で成功する可能性があります。つまり、税理士のみで営業をしてもビジネスが成立する可能性は比較的高いのです。 なぜなら、納税というのは企業の申告をはじめとして、多くの場合、絶対に必要なものだからです。「会社をつくったら、税理士に顧問をお願いする。毎月顧問料を払い、決算の際には決算料を払う」という図式が成立しているため、資格内容の説明などをする必要も少なく、地道に人脈営業を続けていくだけで顧問が増える可能性は十分あるでしょう。 ただし資格の登録者数が多いため、競争は当然あります。また、顧問料のダンピングもありますので、ただ待っていればいいというわけではありません。 税理士の戦略ポイントは、地道な人脈営業を続け、毎月の仕事をきちんとする。そしてより重要なのが、顧問先の離脱を防ぐことです。現在のサービスに満足してもらって、顧問契約の継続率を際限まで高めていくことが重要となります。 税理士を変えるということは、これまでは比較的少ないケースでした。しかし、税理士のひとりひとりが、これまでの税務顧問業に加え、経営コンサルティングや個別節税診断をおこなうなど競争が激化し、税理士も選ばれる時代になっています。そのためには、サービスを充実させ、顧問以上の提案ができることが生き残りのポイントになります。 さらに、税務だけでなく、節税の提案やその他税理士の業務以外の付加価値が高まってくれば、より安泰でしょう。これも、自分自身が目指すゴール設定によって変わってきますので、あなたが税理士を目指す場合は、どこに向かっていくのか、しっかり考えてみてください。 ■社会保険労務士として成功するには 行政書士と並び、受験生が増加しているのが社会保険労務士です。仕事のアウトソーシング化が進むなか、これまで社内でおこなっていた労務管理を外注する企業が増えたこと、また年金に関する話題がマスコミで取り上げられたことなどから、注目されている資格です。 労働保険に関する手続き、就業規則の作成や労働トラブルについてのアドバイス、対応などが主な仕事内容になります。付随して給与計算もおこなっている場合が多いと言えます。 企業の総務・人事に在籍しながら社会保険労務士の資格を取得するケースも多く、比較的仕事内容はなじみのあるものが多いでしょう。独立した場合、多くは顧問先を抱えて、顧問先の社員の入退社の手続きや、各種の労働問題の相談に乗るような形で収益を上げています。 受験資格があり、誰でも受けられるわけではありませんので、事前のチェックが必要です。試験の難易度は難化傾向にありますが、試験範囲はある程度はっきりしており、そういう意味では努力が報われやすい資格であると言えます。 ■社会保険労務士の戦略構築ポイント 社会保険労務士の場合、顧問という形での収益が望めます。そのため、顧問先さえ獲得してしまえば固定収入になりますので、ある程度の安定収入は確保できるでしょう。 ただ、社会保険労務士に顧問を依頼するのは、一定の規模以上の会社になるため、地域によっては社会保険労務士の顧問が成立しないこともあります。また、顧問料の値下げなどが多く起こっている地域などでは、顧問が取れても仕事が多く、いわゆる「バタ貧」(バタバタ忙しいのに貧乏)になってしまうことも多いかもしれません。 では、社会保険労務士はどのような戦略を取るべきでしょうか。 結論から言えば、社会保険労務士の業務を堅実に取得していく。そのうえでコンサルティングの要素を取り入れていくことが、ひとつのポイントとなります。 自分自身がやりたいことにもよりますが、まずは顧問や給与計算の代行などで堅く仕事を取り、安定収益を数で確保します。そのうえで自分自身の能力を磨き、高付加価値のコンサルティングサービスを提供していく。こうしたやり方が社会保険労務士の場合、成功しやすい戦略だと言えます。 コンサルティングも、組織構築や社員教育など、さまざまなテーマがありますが、独自性を出せるかどうかが分かれ目になります。「社会保険労務士のできる範囲」以上のことができるようになると、経営者からの信頼はより厚くなるでしょう。 顧問を取る場合の営業は、アナログがベターと言えます。最終的に顧問を決めるのは、経営者であることがほとんどです。その場合、ネットからの問い合わせを増やすこともできますが、小さな規模で動く場合には、やはり「人」を売っていったほうがお互いにとってやりやすいでしょう。 ■コーチとして成功するには 最後はカラーを変えて、コミュニケーション系資格を見てみましょう。民間資格ではありますが、財団法人生涯学習開発財団の認定コーチに代表される「コーチング」は、ここ数年急激に注目度が高まっており、その効果には経営者も起業家も関心を寄せています。 コーチングとは、一般的な定義として、コーチとクライアントが一対一で対話(セッション)をし、その対話の中からクライアント自身の問題を解決していくことを指します。クライアントによっては、人生の悩みを解決するために活用したり、あるいはビジネス上の問題を解決したりするためにコーチを受けます。 コーチはコーチングスキルと呼ばれる質問や思考の技術を身につけており、クライアントに対して、ときに問いかけ、ときに承認し、クライアントを問題解決に向かわせます。 カウンセリングなどと違うところは、クライアント自身に自発的な行動を促すところで、クライアントは質問を受けることによって、自分自身の本当の悩みや才能に気づき、自分の人生やビジネスを前向きに考えられるようになるのです。 色々な団体の資格制度があり、受講料を支払い講義を受講することによって受験資格が得られ、試験に合格することで認定コーチになることができますが、この資格がないとコーチとして活動できないわけではありません。 ■コーチの戦略構築ポイント コーチの戦略は「メニューづくり」がポイントになります。 一般的にコーチで活動している人は、顧問のような形で月額一定額の報酬を得る形で契約をしています。そうすると、新たにコーチとして活動する場合には、コーチとして成功している先人の真似をするだけになりがちで、「有料のクライアントをつかまえる」以外の発想がなくなってしまうのです。 しかし、いきなり有料クライアントを獲得することだけを考えて行動しても、実績がない場合には、コーチの資格を持っているからといって、すぐにクライアントを獲得できるとはかぎりません。 そこで、コーチとしての戦略は、明確な料金表づくりと有料クライアントに至るまでのステップの構築、そして顧客事例。これがポイントになります。 また、国家資格のような権威性はないので、よりいっそう人間力が問われます。コーチングは一般的に広まってきたとはいえ、まだまだ弁護士や税理士といった資格に比べれば、仕事そのものが知られていません。 知らないものを売るには、まずは人として信用される必要があります。 そして、そのうえで安心して頼めるステップづくりをします。その後、顧客が増え、お客様の声が集められるようになれば、「顧問」という形式を取ることで、安定収益を得ることができます。 これにセミナーや書籍などを含めたコンテンツ提供をしていければ、コーチとしてのブランドも高まり、よりいっそうメニューが明確になり、仕事が増えやすくなるでしょう。 横須賀輝尚 パワーコンテンツジャパン株式会社 代表取締役/特定行政書士 【関連記事】 ■「食えない資格」行政書士・中小企業診断士・司法書士はどう稼ぐか?(横須賀輝尚 経営コンサルタント) https://sharescafe.net/62667398-20250927.html ■名刺の裏に取扱業務を羅列する士業がアウトな理由(横須賀輝尚 経営コンサルタント) https://sharescafe.net/62659662-20250923.html ■異業種交流会で仕事が取れるフリーランスが、初対面で必ず言っているセリフとは?(横須賀輝尚 経営コンサルタント) https://sharescafe.net/62641923-20250915.html ■変動金利は危険なのか?(中嶋よしふみ FP) https://sharescafe.net/60041384-20221223.html ■世帯年収1560万円の共働き夫婦は、9540万円の湾岸タワーマンションを買えるのか? その1・生活費は800万?(中嶋よしふみ ファイナンシャルプランナー) https://sharescafe.net/61186482-20240125.html 【プロフィール】 ![]() 士業専門の経営コンサルタント。2007年に日本では初めてとなる士業向けに経営スクール「経営天才塾(現LEGALBACKS)」を創設し、のべ全国3,000名以上の士業から相談を受け、相談件数は優に2万件を超える。主な著作に『会社を救うプロ士業 会社を潰すダメ士業』(さくら舎)、『資格起業BIBLE』(技術評論社)などがあり、25冊20万部超の著者。2023年から士業のための生成AI・ChatGPT活用研究を開始。最新刊『「ムダ仕事」も「悩む時間」もゼロにする GPTsライフハック』を2024年11月に技術評論社より刊行。週刊ダイヤモンド、毎日新聞などメディア掲載も多数。 X(旧Twitter) : @yokosuka_ai シェアーズカフェ・オンラインからのお知らせ ■シェアーズカフェ・オンラインは2014年から国内最大のポータルサイト・Yahoo!ニュースに掲載記事を配信しています ■シェアーズカフェ・オンラインは士業・専門家の書き手を募集しています。 ■シェアーズカフェ・オンラインは士業・専門家向けに執筆指導を行っています。 ■シェアーズカフェ・オンラインを運営するシェアーズカフェは住宅・保険・投資・家計管理・年金など、個人向けの相談・レッスンを提供しています。編集長で「保険を売らないFP」の中嶋が対応します。 |


