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仮想通貨専門の税理士として活動している筆者は「仮想通貨を長期に保有していますが、何か節税方法はありますか?」という質問をよく受けます。

税金の観点では、「売らなければ課税されない」(個人の場合)という点に着目し、長期保有で節税戦略として活用する動きが広がっています。

この記事では、仮想通貨を長期保有した際の税金の仕組みと、合法的に節税を実現する方法を解説します。

■仮想通貨の課税ルールの基本を理解する
まず、仮想通貨の課税ルールの基本である、所得区分と課税タイミングについて確認しておきます。

仮想通貨取引による利益は、原則として雑所得(総合課税)として扱われます。つまり、給与などの他の所得と合算され、累進税率(最大55%)が適用されます。

課税が発生するのは主に以下のタイミングです。

・仮想通貨を売却したとき
・仮想通貨で他の通貨・NFTなどを購入したとき
・仮想通貨で商品・サービスを支払ったとき
・ステーキング報酬やエアドロップを受け取ったとき

逆に言えば、ただ保有しているだけでは課税されません。

この「含み益は課税されない」という点こそが、長期保有戦略の最大の節税メリットです。

■長期保有による節税メリット
長期保有による節税メリットは次の3つです。

(1)含み益への課税繰延効果
仮想通貨の価値が上昇しても、売却しなければその利益は税金の対象外です。課税対象にはならず、税金の支払いを将来に繰り延べることができます。

そのため、所得が低い年や、仮想通貨以外の雑所得で損失がある年に売却することで、総合的な所得を下げることができ、税率を下げることが可能です。

(2)少しずつ利確して税率を下げる
仮想通貨の利益は、総合課税の対象となっているために、利益が多ければ多いほど税率が高いという仕組みになっています。

そのため、複数年にわたって、利益を少しずつ出していくことにより、税金を下げることが可能です。

(3)税制改正を待つ
「暗号資産(仮想通貨)の分離課税」導入が有力視されています。分離課税とは、株式と同じで税率20.315%固定になることであり、分離課税導入により、現在の総合課税(最大55%)から大きく税率が下がる可能性があります。今、売って課税されるより、「分離課税化を待つ」戦略も検討の価値ありです。

■長期保有の注意点とリスク
一方、長期保有には注意点とリスクもあります。

(1)価格下落のリスク
「税金を先送りするために売らない」戦略は有効ですが、価格下落時には含み益が消えるリスクがあります。特に仮想通貨はボラティリティ(価格の変動性)が高い資産であり、今年は含み益が出ているものの、次年度以降にその含み益が大きく減る可能性があります。

(2)相続税のリスク
仮想通貨は相続時に時価で評価され課税されます。

仮想通貨の相続は、相続税および所得税・住民税がダブルで課税されるために、最大税率110%になってしまいます。

(3)出国税のリスク
出国税とは、1億円以上の有価証券やデリバティブなどを保有した人が海外に移住する際、含み益に課税される制度です。

現在、仮想通貨には、出国税が課税されません。ですが、仮想通貨の税制改正に伴い、仮想通貨に出国税が課税される可能性が出ています。

■長期保有で使える節税テクニック2選
最後に、長期保有する際に使える2つのテクニックを紹介します。

(1)海外移住・非居住者化による課税逃れ
シンガポールやドバイなど、仮想通貨の税金が非課税の国も存在します。ただし、日本の居住者判定(生活拠点・家族の居住地など)を誤ると、「国外に移住しても日本で課税」されるリスクがあります。非居住者の要件を満たすかどうか、事前に専門家に相談することを推奨します。

(2)担保ローン戦略(売らずに資金化)
仮想通貨を売却せずに、担保として融資を受ける方法として暗号資産担保ローンがあります。これなら含み益に課税されず、税金が発生せずに、資金を手に入れることができます。

暗号資産担保ローンを活用している際には、利息が発生するのですが、利息以上の運用が得られるのであれば、実質的に暗号資産担保ローンをマイナス金利で借りることができ、運用益を享受することができます。

■今後の税制改正の動向について
金融庁は2025年度以降、仮想通貨を「金融商品」として扱う方向で検討しています。これにより、暗号資産(仮想通貨)の分離課税・赤字繰越、また暗号資産ETFの導入が進む可能性があります。

ただし、1点留意しなければならないのは、「どこまでが分離課税になるか?」という点です。2025年11月時点、どこまでが分離課税になるかは明確に決まっておりません。

・海外の仮想通貨取引所の資産も分離課税の対象になるのか?
・ウォレット(DEX)の資産も分離課税の対象になるのか?
・過去から保有している仮想通貨にも分離課税が適用されるのか?

については、現状未定となっております。

■まとめ:長期保有による節税
・売らなければ課税されない=売却タイミングや売却額を調整することによる節税が可能
・毎年少しずつ売却する=総合課税が採用されているため、税率を下げることができる
・税制改正を待つ=税制改正の動向によっては、分離課税の恩恵が得られるかも

ただし、長期保有は、価格下落や相続税などのリスクがあります。

また、仮想通貨の税制改正については、現状ではどの範囲まで(取引所やDEX、過去の含み益は対象になるか?など)が対象になるかが明確に決まっていません。


村上ゆういち 仮想通貨専門の税理士・公認会計士


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【プロフィール 村上ゆういち 仮想通貨専門の税理士・公認会計士】
murakami
新日本監査法人(現EY新日本有限責任監査法人)、横河電機株式会社、アカウンティングフォース税理士法人での勤務を経て、2020年に村上裕一公認会計士事務所設立。現在は「魔界の税理士」としてSNSやyoutubeでも活躍し、仮想通貨(暗号資産)・NFT・ブロックチェーンゲーム領域を専門とする。

公式サイト https://crypto-cpa.jp/
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