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日々、当たり前のようにこなしている「紙の書類送付」。しかしその工程を分解すると大量のトラップが潜んでいます。私たちのモチベーションと生産性を削ぐ「悪気のないムダ」の正体とは? 

本当に必要なのかあやふやなまま習慣のように行われている仕事で疲弊する……そんな人たちを救う『脱!仕事ごっこ――職場に居座る「悪気のないムダ」の手放し方』(沢渡あまね・三笠書房)から再編集してお届けします。



■「紙の書類送付」はトラップだらけ!
紙を伴う事務作業。日々“あたりまえ”のように対応していますが、じつはたくさんのトラップが、悪気なく私たちの生産性とモチベーションアップの足を引っぱり続けています。たとえば、「見積書を送付する」一連の流れを見てみましょう。

見積書郵送に潜む30のトラップ

〈頭紙を書く〉
トラップ1 時候の挨拶を考える手間や間違えるリスク

〈頭紙と請求書を印刷する〉
トラップ2 紙切れのリスク
トラップ3 プリンターの順番待ちですぐ使えないリスク
トラップ4 トナー切れのリスク
トラップ5 プリンターの紙詰まりや故障のリスク
トラップ6 1字でも誤字脱字があったら印刷し直し

〈押印する〉
トラップ7 ハンコが手元にないリスク
トラップ8 決裁者がつかまらないリスク
トラップ9 ハンコがうまく押せないリスク(朱肉が薄いなど)
*なかには、ハンコの押し方にケチをつける面倒くさい上長も

〈封筒に宛名を書く〉
トラップ10 封筒切れのリスク
トラップ11 宛先を調べる手間
トラップ12 宛先を間違えるリスク
トラップ13 手書きする(ないしラベルを貼る)手間
トラップ14 書き損じのリスク

〈封入する〉
トラップ15 のりがないリスク
トラップ16 封筒を汚してしまうリスク

〈切手を貼る〉
トラップ17 郵送コスト
トラップ18 切手を買いに行かなければならない手間
トラップ19 金額不足のリスク
トラップ20 切手を貼り忘れるリスク

〈投函する〉
トラップ21 郵便局やポストが見つからないリスク
トラップ22 営業時間外のリスク
トラップ23 投函を忘れるリスク

〈郵送される〉
トラップ24 当日の集配時間に間に合わないリスク
トラップ25 郵送事故のリスク
トラップ26 宛先不明で戻ってくるリスク

〈先方担当者の手元に届く〉
トラップ27 社内で迷子になるリスク
トラップ28 担当者のデスクで埋もれるリスク
トラップ29 誤って廃棄されるリスク

なんとまあ、トラップの多いこと!

数々のトラップをクリアして、みごと先方担当者の手元に届いた請求書。しかし、相手は悪気なくこう言います。

トラップ30 「あ、すみません。経理からモノイイがつきまして……。請求書の件名を1文字変えていただきたいんですよね。再発行、お願いできます? 」

オーマイガッ! 

さて、ここで質問です。この一連の作業において、あなたは、相手は、何かしらの価値を生んだでしょうか?

■「それ、電子で代替できない?」
紙を伴う事務手続き。電子で代替できないか、見直してみましょう。

1.電子メールを使う
見積書や請求書の送付。極力電子メールおよび添付ファイルで代替しましょう。ただし、いまや電子メールも必ずしも優れているとはいえません。以下に述べるツールの利用も積極的に検討してください。

2.クラウドのドキュメント共有サービスを利用する
BoxやGoogleDriveなど、ITベンダーが提供するサービス上で電子ファイルを授受および共有するもの。定常的なやりとりがある相手など、いったん信頼関係を結んだ相手との情報共有に大変便利です。
外部サービスを利用することについて、セキュリティ面での不安を指摘する声もありますが、自社で立てて管理しているメールサーバーが安心とは限りません。むしろ、専門性の高い外部サービスのほうが、お金をかけてメンテナンスおよびセキュリティ対策がされていることも。
「自宅のタンスにしまってあるお金と、銀行に預けたお金では、どちらが安全か?」
こう考えてみてください。

3.ビジネスチャットやメッセンジャーを利用する
Slack、MicrosoftTeams、LINEWORKSなど、ビジネスチャットやメッセンジャーもビジネスの場において活用され始めています。お互いの都合のいいタイミングで気軽に発信し合え、トピックごとに会話(チャンネル)を立ててやりとりできるなど、スピーディなコラボレーションを可能にします。
LINEなどプライベートで使い慣れているコミュニケーションツールとインターフェース(画面や操作性)も似通っているため、操作を覚えるハードルも低いです。添付ファイルもはじかれにくいなど、電子メールにはない独自のメリットがあります。

4.電子決裁サービス、電子ワークフロー、クラウドサインなどを利用する
物理的なハンコを必要とせず、パソコンやモバイルデバイス上で稟議の回覧や決裁ができる仕組み。
「外出先から決裁できる」「決裁待ちのアイドリング時間がなくなる」など、決裁するほう、してもらうほう、双方の無駄な時間とストレスを軽減します。もちろん、取引先やお客さんをお待たせする時間も短くなります。これらは、紙の作業に比べて無駄なトラップが大幅に少なく、迅速なコラボレーションを加速します。なにより、あなたの組織およびそこで働く人たちを時代遅れにしません。

「紙の原本が必要です!」
それは、あなたの会社の「内規」あるいは、ただ単に慣習でそうなっているだけかもしれません。
経理担当に確認した結果、「じつは電子データだけでも問題なかった」、あるいは監査法人に相談したら「いまどきは、紙の原本がなくてもOKです」とわかり、すんなり電子化できた企業も。要は、アップデートしていなかっただけなのです。


沢渡あまね 作家・企業顧問


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■プロフィール 沢渡あまね
作家/企業顧問(組織開発&ワークスタイル変革)。あまねキャリア株式会社代表/一般社団法人ダム際ワーキング協会代表。プロティアン・キャリア協会アンバサダー。磐田市"学び×共創”アンバサダー。『越境学習の聖地・浜松』『あいしずHR』『読書ワーケーション』主宰。
大手自動車会社、NTT データなどを経て現職。400以上の企業・自治体・官公庁で、働き方改革、組織変革、マネジメント変革の支援・講演および執筆・メディア出演を行う。趣味はダムめぐり。#ダム際ワーキング 推進者。
主な著書に、『組織の体質を現場から変える100の方法』『チームプレーの天才』(以上、ダイヤモンド社)、『職場の問題地図』『新時代を生き抜く越境思考』『バリューサイクル・マネジメント』(以上、技術評論社)、『「推される部署」になろう』(インプレス)、『なぜ、日本の職場は世界一ギスギスしているのか』(SBクリエイティブ)など多数。


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