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紙ベースの仕事は「情報を共有するための仕事」という新たな無駄を生み出して、働く人の不要な疲弊を招きます。これからの時代、情報共有は「電子が基本、紙はオプション」と割り切って、生産性を高めるべきではないでしょうか?

本当に必要なのかあやふやなまま習慣のように行われている仕事で疲弊する……そんな人たちを救う『脱!仕事ごっこ――職場に居座る「悪気のないムダ」の手放し方』(沢渡あまね・三笠書房)から再編集してお届けします。



■「電子が基本、紙はオプション」と割り切る
これからの時代、情報共有は「電子が基本、紙はオプション」くらいに割り切ったほうがいいでしょう。
ある外資系IT企業では、「ここにない情報は、存在しないもの」とし、規定のクラウドサービス上での報告や連絡を徹底。その結果、報告業務にかかる手間やコストが大幅に削減できたといいます。

そのほか、こんな効果が得られたそうです。

・ギリギリまで数字をアップデートできる(紙の情報はすぐ陳腐化するので、変更があるといちいち刷り直す手間が発生していた)
・過去の情報、関連情報の抽出や比較参照もしやすくなった
・場所を選ばずに会議に参加できる(外出先、自宅などからリモートで資料を見ながら話ができる)
・その結果、無駄な移動をしなくてよくなった

■「あたりまえ」の運用に疑問を持つ姿勢を
もちろん、紙を否定しているわけではありません。

紙には紙のよさがあります。本人の視力や嗜好で、紙のほうが見やすい人もいるでしょう。また、アイディア出しを目的とした会議であれば、紙のほうが複数名で書き込んだり、切り貼りや並べ替えをしながら視点を変えやすいメリットもあります(最近は、電子ツールでそれができるものもありますが)。しかし、それらはあくまでもオプション。

本人の嗜好やシーンに応じて、プラスαの付加価値として、自己判断で「自分で」印刷すればいい。すべてのシーンにおいて、なんの疑問も持たずに紙の運用を続けるのは、ビジネスのスピードを、そして個人と組織の成長の足を引っぱります。

「電子が基本、紙はオプション」

そう考えると、「紙で持ってこい」「配布資料を人数分印刷してきてください」といった“あたりまえ”は、あなたやあなたの会社の都合に合わせた「スペシャルな要求」であることがわかります。

わざわざ印刷するには手間もコストもかかりますし、トラップもありますから、自分で印刷するか、追加料金をお支払いしましょう。そういえば、最近は携帯電話などの通信料金の利用明細書も、紙の送付は有償オプションにしている事業者もありますよね。

あなた(たち)が電子に対応できないコストを、相手に転嫁してはイケマセン。

■「所詮社内運動」「資料裁判」「会議裁判」
3つの改善事例を紹介します。

「所詮社内運動」
ある中小企業での取り組みです。社内でしか使わない資料は、体裁を気にしすぎない。PowerPointを作らず、手書きメモでも、テキストファイルの箇条書きでもOK。「てにをは」や誤字脱字も容認する。そのような取り組みを進めています。その名も「所詮社内運動」。
「所詮社内」というネーミングも絶妙で、運動が始まって以来、上司と部下の間で、

「所詮社内だから、凝らなくてイイよ」
「所詮社内なので、テキストファイルで済ませました」

などの会話が生まれ、正しく手を抜く文化が定着しつつあるそうです。

「資料裁判」
日報、週次報告資料、定例会議資料……気がつけば、定例で作る資料はどんどんと増えていきます。あたりまえです、なぜなら組織は生き物だから。だからこそ、いったん立ち止まって、定例資料をリストアップし、眺めて向き合い方を決める必要があるのです。

ある大企業の1部門では、年1回「資料裁判」をやることにしました。その時点で定例で作成している資料をホワイトボードに書き出し、1つひとつ判断していきます。

「もはやだれも見ていないから、やめる」
「週次から月次に頻度を下げる」
「グラフはナシにする」
「作成を自動化する」

など。まるで裁判のごとく、1つひとつの資料を裁いていきます。“裁判”なる名前がついているため、若手や派遣社員も「この資料、もうやめませんか?」などと発言しやすいそうです。このようなポジティブな“ごっこ”(裁判ごっこ)は、大いに取り入れていきたいものです。

「会議裁判」
資料裁判の、会議バージョンです。定例会議を書き出し、「やめる」「頻度を下げる」「リモート参加OKとする」などと裁きます。資料裁判と同様、最低年1回やるといいでしょう。


沢渡あまね 作家・企業顧問


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■プロフィール 沢渡あまね
作家/企業顧問(組織開発&ワークスタイル変革)。あまねキャリア株式会社代表/一般社団法人ダム際ワーキング協会代表。プロティアン・キャリア協会アンバサダー。磐田市"学び×共創”アンバサダー。『越境学習の聖地・浜松』『あいしずHR』『読書ワーケーション』主宰。
大手自動車会社、NTT データなどを経て現職。400以上の企業・自治体・官公庁で、働き方改革、組織変革、マネジメント変革の支援・講演および執筆・メディア出演を行う。趣味はダムめぐり。#ダム際ワーキング 推進者。
主な著書に、『組織の体質を現場から変える100の方法』『チームプレーの天才』(以上、ダイヤモンド社)、『職場の問題地図』『新時代を生き抜く越境思考』『バリューサイクル・マネジメント』(以上、技術評論社)、『「推される部署」になろう』(インプレス)、『なぜ、日本の職場は世界一ギスギスしているのか』(SBクリエイティブ)など多数。


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