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日本の会議は「始まりには厳しいが終わりにはユルい」と言われます。開始時刻厳守の一方で、終了時間ギリギリまで使ったり、ダラダラと延長するのが常態化していませんか? そんな状況を打破して生産性を上げる、著者が海外で耳にした神ワードの真意とは?

本当に必要なのかあやふやなまま習慣のように行われている仕事で疲弊する……そんな人たちを救う『脱!仕事ごっこ――職場に居座る「悪気のないムダ」の手放し方』(沢渡あまね・三笠書房)から再編集してお届けします。



■早く終えることへの称賛ムードを
日本のビジネスパーソンの多くは、始まりには厳しいが終わりにはユルい。そのような皮肉めいたメッセージを海外のビジネスパーソンから聞くことがあります。すなわち、開始時刻には厳しく遅刻は許されないが、終了時間ギリギリまで会議時間を使おうとする、あるいはあたりまえのように延長する。

有意義な会議ならまだしも、一部の声の大きな人の持論や主張の展開がダラダラ続いたり、「お気持ち」の応酬のような会議では目も当てられません。早く終えることを称賛する文化を醸成していきましょう。

■「5分を皆さんにお返しします」
海外では、会議が予定時刻より早く終わったことに対して称賛の言葉を述べ合う文化もあります。

私がかつて一緒に仕事をしたUSA、フランス、南アフリカなどの部門長はいずれも、たとえば予定時刻より5分早く会議が終わったならば、“5minutes,back to you”などの明るい言葉を残していました。「5分を皆さんにお返しします」の意味で、役職者がこの発言を繰り返すことで、会議が早く終わることがよいことであるという文化が組織に醸成されました。

このような何気ないひと言でも、会議の文化は変わってくるものです。もちろん、ただ単に前向きな言葉をかけ合うだけではいけません。

・皆でファシリテーション研修などを受け、議事進行能力を高める
・皆でプレゼンテーション研修などを受け、発言スキルを高める
・皆でロジカルシンキング研修などを受け、意見や提案の組み立て方を学ぶ

など、能力向上にも力を入れましょう。

ここでのポイントは「皆で」。だれか一人の能力だけが高まっても、毎回その人に皆が頼りすぎて、その人が疲弊してしまうことがあります。できれば全員が同じ研修を受け、同等の能力を兼ね備え、組織全体の会議……いや、ビジネスコミュニケーションスキルそのものを向上させましょう。

■安心安全に意見を言える場創りを
「発言しない人は、会議に参加すべきではない」
「職位や年齢にかかわらず、意見を述べてください」

いずれも、その考え方自体はすばらしい。

とはいえ、いざ発言しようものなら役職者や年長者による批判・否定でつぶされる。あるいは意見や提案をした人が「では、あなたがやって」と実行責任を押し付けられる。そのような職場があります。それでは、メンバーはますます委縮してしまいます。「二度と、この人たちに意見なんぞするものか」と思い、もの言わぬ大人しい人の道を自ら選択していきます。

また、熟考型の人、意見をすぐに言葉にするのが苦手な人など、いきなりその場で意見を求められても発言できない人も世の中には存在します。新入りの人など、勉強のために(意見はしないものの)その会議に同席している人もいるでしょう。それらの人を一方的に「不要」扱いし、排除するのはいかがなものでしょうか。声の大きい人、その場の脊髄反射で発言できる人(ただし考えが浅いことも)だけが重宝がられる会議も、「仕事ごっこ」といえるかもしれません。

問題なのは、発言しない人がいることではなく、役割が不明な人たちの参加が常態化していることです。

・会議の事前または最初に、各自の役割を明確にする(勉強のための参加、オブザーバーとして参加、なども許容する)

このような習慣を身につけてはいかがでしょうか。

・意見を求める以上、頭ごなしに否定しない
・提言者と実行責任者は分ける

このようなルールの設定と徹底、および会議進行も、発言者や提言者の安全安心を高めます。ファシリテータ役を置いて、声の大きい人だけが暴走しないマネジメントを機能させるのもよいでしょう。

・テキストコミュニケーションを併用する(オンライン会議のチャット機能を併用する、付箋に意見を書き出す時間を設ける、など)
・その場で無理に結論を出そうとしない

このような工夫で、熟考型タイプの人やその場ですぐに意見をまとめるのが不得手な人を置いてきぼりにしない、むしろ活かすことができ、組織の空気もよくなります。
また、意思決定者や役職者など場の支配力が強い人ほど、コーチング能力など相手の意見を引き出し、なおかつ否定せずに受け止めるスキルの開発も怠らずに! でないと、相手の意見を聞くふりをするだけの「寛容ごっこ」カルチャーが蔓延します。


沢渡あまね 作家・企業顧問


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■プロフィール 沢渡あまね
作家/企業顧問(組織開発&ワークスタイル変革)。あまねキャリア株式会社代表/一般社団法人ダム際ワーキング協会代表。プロティアン・キャリア協会アンバサダー。磐田市"学び×共創”アンバサダー。『越境学習の聖地・浜松』『あいしずHR』『読書ワーケーション』主宰。
大手自動車会社、NTT データなどを経て現職。400以上の企業・自治体・官公庁で、働き方改革、組織変革、マネジメント変革の支援・講演および執筆・メディア出演を行う。趣味はダムめぐり。#ダム際ワーキング 推進者。
主な著書に、『組織の体質を現場から変える100の方法』『チームプレーの天才』(以上、ダイヤモンド社)、『職場の問題地図』『新時代を生き抜く越境思考』『バリューサイクル・マネジメント』(以上、技術評論社)、『「推される部署」になろう』(インプレス)、『なぜ、日本の職場は世界一ギスギスしているのか』(SBクリエイティブ)など多数。


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