25408470_s

組織にはびこる慣習の中には、ビジネスマナーとは名ばかりで、非効率的かつ相手のコストを無視した「仕事ごっこ」が多数存在します。時代や環境の変化に対応していない時代遅れの習慣を今すぐ見直しませんか? 

本当に必要なのかあやふやなまま習慣のように行われている仕事で疲弊する……そんな人たちを救う『脱!仕事ごっこ――職場に居座る「悪気のないムダ」の手放し方』(沢渡あまね・三笠書房)から再編集してお届けします。



■むしろマナー違反! 組織にはびこる「あたりまえ」
「ビジネスマナー」ではないものの、私たちの時間やコストやMPを無駄に奪っていくだけの、残念な慣習はたくさんあります。

(1)20分の情報共有のために、相手を呼びつける
それだけのために、相手は片道1時間かけて来社しなければならないかもしれません。その会議、必要ですか? 電子共有でよくないですか?

(2)「会議したいから、ちょっと来て」
リモートで代替できませんか? メールやメッセンジャーでできませんか? 移動や準備の時間も、相手にとって手間であり、コストです。

特に、発注が確定していない相手、少額案件の相手などを悪気なく呼び出す行為は、相手にとって大変失礼です(タダ働きを強要することになりますから)。せめて、あなたから相手先に出向くくらいの配慮はほしいもの。社内の相手であっても、その手間が相手や家族の貴重な時間を奪うことをお忘れなく。

(3)「ちょっと提案して」「何でもかんでも相見積もり」
提案や見積もり作成にも、労力やコストがかかります。また、提案を求める=相手が時間とお金をかけて培った技術や知識をいただくにもお金がかかります。せめて、ありものの資料で我慢しましょう。重厚な提案を求めるのであれば、提案料を支払うべきです。

なかには、A社からもらった提案を、B社に開示して安く提案させる、悪徳な会社や担当者もいるようです。提案泥棒は、最低のビジネスマナー違反! それを繰り返すと、あなたの会社のブランドイメージが毀損され、協力者がいなくなります。

(4)「それって、営業活動だよね」
前述のような取引先からの提案活動や、企画の支援のための繰り返しの会議参加などに一切お金を払わない(かつ毎回相手をわざわざ呼びつける)。相手が「そろそろ、契約を……」と切り出そうものなら、「それって、御社の営業活動ですよね」(タダでやってくれて当然)と平然と開き直る。ビジネスモラルとしてどうなのでしょう。

その活動が営業活動かどうかは、相手(提供者)が決めることです。あなた(たち)の一方的な価値観で、相手のタダ働きを助長してはいけません。それこそ、相手に失礼です。

(5)請求書や見積書の原本を郵送させる
PDFファイルのメール送付でもよくないですか? なかには、経理担当者や監査担当者や監査法人が時代遅れで、悪気なく紙ベースの運用を続けている(続けさせている)ケースもあります。あなたが優しくアップデートしてあげましょう。

(6)シャチハタNG
なぜNGなのか、理由を説明できますか?
シャチハタは、押印をラクにしたすばらしいツールです。ラクをすることは、悪いことではありません。雅はどうでもいい。生産性重視でいきましょう。できることなら、押印そのものをなくして、署名やクラウドサインに変えていってください。

■時代遅れの習慣はブランドイメージを下げる
・意味のわからないビジネスマナー
・生産性やモチベーションを下げるだけのビジネスマナー

これらも、「仕事ごっこ」そして「お遊戯会」です。生まれたときには合理性があったのかもしれませんが、時代や環境が変わり、面倒なだけの厄介ものになっていることもあります。

■相手の時間を悪気なく奪っていないか
自分たちの体面を取りつくろうあまり、相手の時間を悪気なく奪い続け、まわりの迷惑や後工程を考えない、独りよがりのビジネスマナーもあります。

上位者のプライドを守るためだけに続けているとしたら、組織としてきわめて幼稚ではないでしょうか。それは、「私たちは社内の上しか見ていません。世間の事情など知ったことではありません」と公言しているようなものです。

その体質の助長は、企業のガバナンスにおいても褒められたものではありません。自社の常識=世の中の常識のような意識で暴走し、世間ズレが加速。不祥事を起こして糾弾される企業はいまや業界問わず珍しくありません。


沢渡あまね 作家・企業顧問


【関連記事】
■ダラダラ会議を撲滅する神ワード「5分を皆さんにお返しします」――仕事ごっこをやめる方法 (沢渡あまね)
https://sharescafe.net/62856166-20251216.html
■紙を手放せない会社は疲弊する? 外資が実践する“電子が基本”の仕事術 (沢渡あまね)
https://sharescafe.net/62856156-20251215.html
■ビジネスマンを最も疲れさせるのは“仕事そのものではない”?「仕事ごっこ化」する会議・資料作成の特徴(沢渡あまね)
https://sharescafe.net/62852670-20251214.html
■110万円の家賃を払う板野友美さんとヤクルト高橋奎二さんの判断が正しい理由。(中嶋よしふみ ファイナンシャルプランナー)
https://sharescafe.net/62674731-20250930.html
■世帯年収1560万円の共働き夫婦は、9540万円の湾岸タワーマンションを買えるのか? その1・生活費は年間800万? (中嶋よしふみ ファイナンシャルプランナー)
https://sharescafe.net/61186482-20240125.html


■プロフィール 沢渡あまね
作家/企業顧問(組織開発&ワークスタイル変革)。あまねキャリア株式会社代表/一般社団法人ダム際ワーキング協会代表。プロティアン・キャリア協会アンバサダー。磐田市"学び×共創”アンバサダー。『越境学習の聖地・浜松』『あいしずHR』『読書ワーケーション』主宰。
大手自動車会社、NTT データなどを経て現職。400以上の企業・自治体・官公庁で、働き方改革、組織変革、マネジメント変革の支援・講演および執筆・メディア出演を行う。趣味はダムめぐり。#ダム際ワーキング 推進者。
主な著書に、『組織の体質を現場から変える100の方法』『チームプレーの天才』(以上、ダイヤモンド社)、『職場の問題地図』『新時代を生き抜く越境思考』『バリューサイクル・マネジメント』(以上、技術評論社)、『「推される部署」になろう』(インプレス)、『なぜ、日本の職場は世界一ギスギスしているのか』(SBクリエイティブ)など多数。


この執筆者の記事一覧

このエントリーをはてなブックマークに追加
シェアーズカフェ・オンラインからのお知らせ
シェアーズカフェ・オンラインは2014年から国内最大のポータルサイト・Yahoo!ニュースに掲載記事を配信しています
シェアーズカフェ・オンラインは士業・専門家の書き手を募集しています。
シェアーズカフェ・オンラインは士業・専門家向けに執筆指導を行っています。
シェアーズカフェ・オンラインを運営するシェアーズカフェは住宅・保険・投資・家計管理・年金など、個人向けの相談・レッスンを提供しています。編集長で「保険を売らないFP」の中嶋が対応します。