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生成AIの台頭により、知識や手法は急速に機械に置き換えられつつあります。経営コンサルタントの島青志氏は、AI時代の成功に求められる真の要素は、優先順位を適切に付けることのできる力だと言います。その理由について、著書『頭のいい人の思考のコツ 考えるスイッチ』(島青志・総合法令出版)から再編集してお届けします。

頭がいい人の思考のコツ 考えるスイッチ
島青志
総合法令出版
2025-11-11


■知識や真面目さだけでは評価されにくい理由
成功者の条件とは一体何でしょうか? 学校での成績が良いこと、真面目に仕事をこなすこと、関連する知識を豊富に持っていること……確かにどれも大事なことですが、成功の本質はそれだけではないように見えます。成功を収めるには、知識やスキルだけでは足りない何かが求められます。

「指示されたことを真面目に取り組む」「仕事に関連する知識を身につける」などだけでは、今の時代もはや評価されません。私たちの仕事は急速に機械やITそしてAIに置き換えられ始めています。

特にChatGPTに代表される生成AIの影響で、多くの職業が将来的にAIに取って代わられると予測されていますよね。

こうした状況下で、知識を詰め込んで指示通りに真面目にこなすだけでは、求められる人材になるのは難しいでしょう。学校で学ぶ内容も職場のOJTやビジネス書で得られるものも、ほとんどが「知識」や「手法」です。それが必要ないとは言いませんが、少なくともそれだけでは今の時代を生き抜くための十分な力にはなりません。

成功者の自伝や評伝を読めばわかるように、若い頃は真面目だった人もいれば、そうでなかった人もいますよね。学校の成績が良かった人もいれば、悪かった人もいます。知識やスキルを人一倍持つ人もいれば、それほどでもない人もいます。

つまり、真面目さとか知識やスキルとかは、成功するかどうかの要素ではないのです。

仕事がうまくいかないと思っている人ほど、自己啓発本などをたくさん読んで、知識やスキル、ノウハウを身につけようとします。しかし残念ながら、それで成功した人はあまり聞いたことがありません。

成功した人に「指針となるような役立った本は何でしょうか?」と尋ねると、稲盛和夫氏の『生き方』や松下幸之助氏の『指導者の条件』といった「考え方」や「思想」に関する本が多く挙げられます。

知識やノウハウ、手法に関する本の積読よりも、「どのように考えて、どのように向き合うか」を学ぶことが、成功のためには重要なのです。

■思考法は優先順位を決めてくれる
なぜ仕事をしたり、人と関わったりすることに思考法が必要なのでしょうか。

理由は簡単で、仕事をするにも、人と関わるにも、正しく優先順位を決めることが必要だからです。

優先順位がわからなければ、知識をどれだけインプットしても、手法やノウハウを覚えても、問題に直面したとき、解決策として何をアウトプットすればいいのかわかりません。

もし私たちに無限の時間があれば、優先順位などいらないでしょう。無限の時間に併せて知識も無限にあれば、どんな問題が起ころうが、対処できる方法はその中からいつかは見つかるに違いありません。

しかし残念ながら私たちには有限の時間と有限の知識しかありません。限られた時間の中で、その解決手段としてもっとも効果があるものを、自分が持つ知識の中から素早く選んで実行する必要があります。

だから私たちは、全体を見ることができる思考の軸を持つ必要があり、その軸に沿って優先順位を定める必要があります。

「仕事ができる人」とは、全体を見ながら、様々なタスクの中で優先順位の高いものを選んで集中的に行うことができる人のことです。彼らはそうやって短時間で高い効果を上げています。

もちろん優先順位を正しく判断するのは、簡単ではありません。そのときは大事だと思っても、後から思い返すとまったく意味がなかったということはありませんか?

なぜかというと、私たちにとって全体を見ることが簡単なことではないからです。だからどうしても、目先の事象に左右されてしまい、短絡的な判断をしてしまう。

全体を見ることができないまま、目先の問題解決をしようとすると、国が崩壊することすらあります。

例えば今、多くの国で問題となっているのが少子化問題ですね。ご存じのように我が国でも、政府や自治体から様々な政策が施行されていますが、なかなか解決するのが難しい問題です。

だからといって、国の法律などで「女性は子どもを〇人以上産まなければいけない」と定めたらどうなるでしょうか。過去、直接国民に「子どもを産め」と奨励したり、命じたりした国は、戦時中の日本などいくつかありますが、どれもうまくいきませんでした。

なぜなら出生率が低いのは、貧困や子育てに厳しい環境など様々な要因があり、それを解決しないことには、子どもを増やすという目的は達成できないからです。思考の軸がなかったり、そもそも間違っていたりすると、全体を見ることができずに目の前の問題にそのまま取り組んでしまって、あとでひどいしっぺ返しに遭います。こういうのは必ずしも珍しい事例ではありません。


島青志 イノベーションデザイナー・ブルーロジック株式会社 代表取締役・経営コンサルタント


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【プロフィール 島青志 イノベーションデザイナー・ブルーロジック株式会社 代表取締役・経営コンサルタント】
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イノベーションデザイナー。アート、デザイン、システム論を基盤に、経営理論や最新の脳科学研究を統合した「イノベーションデザイン」を研究し、企業コンサルティングや社員研修を通じて実践的なアプローチを提供するブルーロジック株式会社代表取締役。リゾートホテル業や会計事務所で接客や経営に携わった後、インターネット業界へ転身。インターネットベンチャーやネット広告会社で新規事業を数多く立ち上げ、2010年に独立。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究所研究員。著書に『熱狂顧客のつくり方』『ソーシャルメディアの達人が教えるリンクトイン仕事革命』。

公式サイト https://bluelogic.jp

頭がいい人の思考のコツ 考えるスイッチ
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