![]() 今回は、そんな展示会への出展の際、目標をノルマ化せずに楽しく達成できる秘策について、氏の著書『展示会のプロが発見!儲かっている会社は1年に「1回」しか営業しない!』から再構成してお届けします。 ■目標未達の原因は前時代的なノルマ いざ展示会への参加を決めても、スタッフが目標達成に「イヤイヤ」取り組み、ブース対応に活気が感じられず、結局、目標未達で終わっている中小企業は、「目標設定のワナ」に陥っている可能性が高いです。 目標を強く追求し、スタッフ一人ひとりに割り付けてしまうと、それは途端に「ノルマ」となり、スタッフは「怒られない程度に無難に切り抜けよう」と消極的になってしまいます。 展示会は一種のイベントであり、お祭りの要素がありますから、スタッフが活気を失ってしまうと、来場者はその雰囲気を敏感に察知し、近寄りがたいブースが出来上がってしまうのです。これでは、展示会営業の成果が出るはずがありません。 今回は、こうした「目標設定のワナ」を打ち破るための、意外な戦略をご紹介しましょう。 ■450年の伝統!組織を熱狂させる「ゲーム化の法則」 ノルマ化の危険性を回避し、社員を自発的に動かすための有効な手段とは、すなわち「ゲーム化(ゲーミフィケーション)」です。 ゲームには、苦痛なはずの移動時間を楽しみに変え、一度始めると時間を忘れて没頭してしまうほどの「魔力」があります。展示会の取り組みにこの力を応用すれば、担当者は夢中になって没頭し、大きな成果を出すことができるでしょう。 ゲーミフィケーションを成立させるためには、次の4つの条件が不可欠です。 (1)何をすべきかが明確になっている:目標やアクションが明確でなければ、ゲームは始められません。展示会においては、設定された数値目標(例えば333枚の名刺獲得)がこれにあたります。 (2)自分の現在地が見える化されている:ゲームでは、得点やレベル、経験値などが常に「見える化」されています。展示会の取り組みをゲーム化する際も、各スタッフやチームの現在の獲得ポイントを、リアルタイムで見える化する必要があるでしょう。 (3)アクションに対する即時フィードバック(称賛)がある:ゲームでは、銃を撃てば敵が爆発するなど、何かをすれば必ず反応が返ってきます。これを「即時フィードバック」と呼びますが、何かをやればすぐに何かを得られることで、「やればできる」という自信(自己効力感)を高めてくれるわけです。 (4)ゴールや達成によって報酬がもらえる:特に賞与などを与える必要はなく、達成感や「よくやったね!」といった称賛も、立派な心理的報酬となります。 このゲーム化の発想は、戦国時代、豊臣秀吉(木下藤吉郎)が活用したことでもその効果が証明されていて、清洲城の城壁修復工事を請け負った藤吉郎は、大規模な普請面責(約180メートル)を10区画に分割し、組ごとに競争をさせました。 彼は各組の工事進捗をパッと見て一目でわかるように「見える化」し(条件2)、進捗が速かった組には、通常日当の3倍から5倍の賃金をその日のうちに支払うという即時フィードバックを与えたのです(条件3)。さらに、予定より早く完成させたら褒美を出すことを約束しました(条件4)。 その結果、遅々として進まなかった普請工事は、わずか3日間で完成したといいます。これは、ゲーミフィケーションの条件を整えることで、人が自発的に活力を持ち、目標を達成できることを示していると言えるでしょう。 ■展示会の取り組みを「夢中になれるゲーム」に変える具体策 とはいえ、具体的にはどうすればよいのか?と疑問に思われるかもしれませんが、展示会における目標達成の取り組みをゲーム化するのは決して難しくありません。目標値をゲームの得点に置き換えるだけで良いのです。 例えば、目標として設定したプロセス(名刺獲得、特典エントリー、案件化、受注など)それぞれにポイントを割り当て、その得点を競い合います。以下のような感じです。 ・名刺獲得:1ポイント ・特典エントリー:3ポイント ・案件化:3ポイント ・受注:5ポイント さらに、重要度の高い行動(例:経営者の名刺獲得)にはプラス2ポイントを加算するなど、ポイントに重み付けをするとよりゲーム性が高まります。 また、スタッフの「やる気」を引き出すには、ゲーム名を工夫することも欠かせません。「名刺コレクションゲーム」「初回アポ獲得グランプリ」「受注ダービー」といった名称を付けることで、ノルマをイメージさせる堅い印象を避け、夢中になれる「遊び」の要素を取り入れることができ、楽しんで取り組むことができます。 さらに、大人数で取り組む場合はチーム戦が効果的です。特に、日頃接点がない部署(営業と製造、工務と開発など)の人員を意図的に同じチームにすることで、社内のコミュニケーションが活性化するというメリットも期待できるでしょう。 ゲーミフィケーションの4条件の中でも、「自分の現在地が見える化されている」(条件2)を実現することが最も煩雑になりがちですが、少し工夫することで、人手や資金に限りがある中小企業でも手軽に展示会をゲーム化し、確実に成果を上げることが可能です。 ■展示会をきっかけに儲かり体質に変わろう 目標を「ノルマ」として押し付けるのではなく、「ゲーム」として楽しみながら自ら追いかけるものに変える展示会営業術は、中小企業が活力を高め、確実に成果を上げるための強力な武器となります。 もちろん、日常の業務管理に落とし込んで応用することもできますので、このゲーミフィケーションの考え方を取り入れた展示会への出店をきっかけに、従業員がイキイキと成果を追求する「儲かり体質」の企業へと変革していただけたら嬉しく思います。 清永健一 株式会社展示会営業マーケティング代表取締役 中小企業診断士 展示会営業(R)コンサルタント 【関連記事】 ■来場者から「ぜひ来てください」と言われてアポにつながる展示会後のフォロー術 (清永健一 中小企業診断士) https://sharescafe.net/62863222-20251217.html ■展示会で「記憶に残る会社」になれる6つの簡単な仕掛け(清永健一 中小企業診断士) https://sharescafe.net/62778013-20251113.html ■パッと見勝負の展示会でスルーされない「上位28ブース」に食い込む方法(清永健一 中小企業診断士) https://sharescafe.net/62702575-20251012.html ■110万円の家賃を払う板野友美さんとヤクルト高橋奎二さんの判断が正しい理由。(中嶋よしふみ ファイナンシャルプランナー) https://sharescafe.net/62674731-20250930.html ■世帯年収1560万円の共働き夫婦は、9540万円の湾岸タワーマンションを買えるのか? その1・生活費は800万? (中嶋よしふみ ファイナンシャルプランナー) https://sharescafe.net/61186482-20240125.html 【プロフィール 清永健一 株式会社展示会営業マーケティング代表取締役 中小企業診断士 展示会営業(R)コンサルタント】 神戸大学経営学部卒。展示会を活用した売上アップの技術を伝える専門家。支援先企業からは、集客・受注・売上が大幅に増加したと好評の声が多数あがる。「日経MJ」、「NHKラジオ総合第一」など取材多数。支援実績は1300社超。ほぼ毎週東京ビッグサイトに出没している。 NHKラジオ総合第一で展示会の未来について言及するなど、展示会業界活性化にも尽力。展示会活用に関してテレビ等出演のほか、行政、公益法人、金融機関などで講演多数。 著書『最新版 飛び込みなしで新規顧客がドンドン押し寄せる展示会営業術』、『展示会のプロが発見!儲かっている会社は1年に1回しか営業しない』など合計7作はいずれもamazon部門1位を獲得。奈良生まれ、東京在住。 公式サイト https://tenjikaieigyo.com X:https://x.com/tenzikai @tenzikai シェアーズカフェ・オンラインからのお知らせ ■シェアーズカフェ・オンラインは2014年から国内最大のポータルサイト・Yahoo!ニュースに掲載記事を配信しています ■シェアーズカフェ・オンラインは士業・専門家の書き手を募集しています。 ■シェアーズカフェ・オンラインは士業・専門家向けに執筆指導を行っています。 ■シェアーズカフェ・オンラインを運営するシェアーズカフェは住宅・保険・投資・家計管理・年金など、個人向けの相談・レッスンを提供しています。編集長で「保険を売らないFP」の中嶋が対応します。 |



