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「宇宙ビジネス」と聞くと、ロケットや衛星など“理系の巨大産業”を思い浮かべがちです。けれど実はもっと身近なところにあるのだと、理学博士の佐々木亮氏は言います。料理、洗濯、掃除、睡眠、トイレ、酒、茶道、スポーツ、メンタルケア、農業、保険、法律――“宇宙×生活”の発想が、ビジネスの地図を一気に広げ始めているのです。いま、宇宙の世界に広がっているビジネスの可能性とは?

著書『「稼げる仕組み」が1時間でわかる 宇宙ビジネス超入門』(佐々木亮・PHP研究所)から再編集してお届けします。



■可能性は無限大!宇宙ビジネスの未来予想図
Podcast「佐々木亮の宇宙ばなし」では、リスナーのみなさんから「宇宙×〇〇」という組み合わせを募集しました。

「あなたの得意分野や日常の延長線に宇宙を置いてみたら、どんな景色が見えますか?」――そんな軽い問いかけに、番組の受信箱はまるで流星群のように光るアイデアで埋まりました。

料理人の方からは「フランベの炎は無重力でどんな形になるの?」、主婦の方からは「月面で洗濯したら洗剤は泡立つの?」。職業も年齢もバラバラなのに、“自分ごと”として宇宙を想像してくれる様子がとても嬉しく、深夜の収録後に一つひとつメモしながらにやけてしまったのを覚えています。
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(図:宇宙×○○マップ)

■無重力化でサッカー、掃除はできる?
盛り上がりの中心は、やはり「宇宙×エンタメ」。宇宙そのものがワクワクの宝庫ですから、好きなことを好きなだけ楽しむ舞台としては最高のフィールドですよね。

特にスポーツの話題は熱量が高く、月面野球では「フェンスの役目をどうする?」と真剣な議論が起きました。

重力が6分の1、空気抵抗がほぼゼロですから、ホームランは“無限アーチ”になりかねません。バレーボールならネットの高さを変えるべきか、あるいはボール自体を重くすべきか――物理法則からルールブックまで、一から作り直す必要があります。

火星に場所を移すと、重力は地球の3分の1、空気は薄いもののわずかに存在します。「これならサッカーだってできるかも?」といった想像も膨らみました。

次に盛り上がったのは「宇宙×生活」。無重力下の掃除はどうする?――浮遊するホコリが電子機器に入り込む危険があるので、静電気で吸着するクリーナーが必須です。もしかしたら、ホコリの発生を最小限にする素材の選定が重要になってくるかもしれません。

水の希少性という制約がある中で、限られた資源でどのようにして生活を豊かにしていくかは、重要なミッションになってきます。

「宇宙×睡眠」では、90分おきに朝日が差すISSの暮らしをヒントに、遮光ゴーグルやハンモック状の寝袋で体内時計を整えるアイデアが出ました。「宇宙×トイレ」は盛り上がりポイントで、吸引式パイプの形状や排泄物リサイクルの仕組みをめぐって熱い討論が続きました。地上では家事を「タスク」と呼びますが、宇宙では「ミッション」と呼びたくなるから不思議です。

■まだまだ出てくる「宇宙×○○」のビジネスアイデア
「宇宙×食」の領域も負けていません。宇宙では火が地球と同じように使えるのか、使えない場合は電気プレートなのか……。電気と再水化技術を駆使してふわとろオムレツの「できたて感」を目指す案が出ます。

「宇宙×酒」では、発酵・醸造好きのリスナーは「微小重力でワインを熟成させたら新しい香りが生まれるかもしれない」と乗っかります。実際に宇宙でワインを熟成させた実験も過去にあり、それが当たり前になった世界に胸を踊らせているようでした。

茶道家の方は「宇宙茶室で抹茶を点てる所作自体をパフォーマンスにしたい」と宣言。湯気の立たない静かな茶室。重力の違いで変わる香り……。想像するだけで胸が高鳴ります。

医療・健康の話題では、骨密度低下を防ぎ、かつトレーニングに飽きがこないようVRを用いた「VR筋トレ」、閉鎖環境のストレスを和らげる遠隔カウンセリングなど、現実味のある提案が次々に届きました。

科学・環境分野では「宇宙×植物」が人気で、LED水耕と遺伝子編集による火星農業の話を農家のリスナーが真剣に語ってくれました。

産業・インフラ領域では「宇宙×通信」「宇宙×防災」「宇宙×金融・保険」といったキーワードがずらりと並び、衛星データを使った保険金自動支払いのアイデアには「明日からでも欲しい!」という声が上がるほどです。

制度面では「宇宙×法律」「宇宙×政治・予算」の議論も盛り上がり、マップはついに多元宇宙のように枝分かれしました。

■宇宙に現れる未知の島々
マップを見ると、「宇宙と掛け合わせられないものなんてあるのかな?」という気持ちになります。

実際、宇宙は“別世界”ではなく、私たちの生活圏がじわりと広がった先にあるフィールドの一つ。

そこで、みなさんがイメージしやすいよう漫画、アニメで大人気の『ONE PIECE』(尾田栄一郎・集英社)でたとえてみましょう。

ルフィたちが新しい海へ漕ぎ出すたびに未知の島が現れるように、私たちも「宇宙×コーヒー」「宇宙×靴磨き」といった小さな島を発見し続けるのです。

“偉大なる航路(グランドライン)”の向こう側に“新世界”が広がっているように、今日、あなたがふとひらめいたアイデアが、明日には新しい星として輝くかもしれない。

マップの端にもまだ名前の付いていない星域が待っています。


佐々木亮 理学博士


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■プロフィール 佐々木亮 理学博士
専門は、宇宙物理学・X線天文学。独立行政法人理化学研究所、アメリカ航空宇宙局(NASA)の研究員を経て、現在、サイエンスライター、株式会社ディー・エヌ・エー AI事業の事業責任者、中央大学非常勤講師など。Podcast「佐々木亮の宇宙ばなし」を2020年から毎日配信している。旬の宇宙トピックスを親しみやすく解説する内容で注目を集め、Apple Podcast日本ランキング3位を達成。第3回JAPAN PODCAST AWARDSで、Spotifyネクストクリエイター賞受賞、UJA科学広報賞2025大賞受賞。著書に『やっぱり宇宙はすごい』(SBクリエイティブ)やAI関連の書籍などがある。



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