![]() 親が知っておくべき、学歴偏重主義が終焉を迎えつつある採用市場の現状とは? 著書『塾講師が言わない子どもを苦しめない受験戦略』(蓮池林太郎・セルバ出版)から再編集してお届けします。 ■学歴偏重主義の終焉 *「勉強だけできる人」を社会は必要としない 「学歴がさほど重視される時代ではなくなってきた」という潮流が顕著です。「学歴フィルター」という就活ワードもありますが、企業は採用において学歴をどれほど重要視するのでしょうか。 就職希望者が殺到する人気の有名企業であれば、ふるいにかけるため、ある程度の学歴フィルターは設けることでしょう。しかしそれはごくごく一部の企業だけの話です。大部分の企業は、この少子化の最中にあってはできるだけたくさんの求職者と出会い、吟味し、自社に最適な人材を採用したいと考えているはずです。 就職みらい研究所の『就職白書2025』によれば、企業が採用にあたってもっとも重視するのは「人柄」で、全体の92.9%と大部分を占めています。続いて「自社への熱意」が73.9%、そして「今後の可能性」が64.9%。一方で大学や大学院といった「学歴」を重視する企業は全体の17.8%に止まっています。 このアンケート調査は新卒採用を重視している従業員規模5人以上の企業およそ1500社を対象としており、ベンチャーや小規模組織も含まれるため、中規模以上の組織に限定するとより傾向は変わることでしょう。超一流の大手企業に限ったら、もっと学歴重視の傾向は強まるかもしれません。 とはいえ、どういった企業であれ、もっとも重視する部分は人柄とか熱意といった、就職希望者の本質的な部分であることは間違いないでしょう。 背景には、学歴優秀な「勉強しかできない人材」を採用したことによる苦い経験を多数有しているからかもしれません。高学歴人材はすなわち勉強に捧げた時間が多いわけで、ほかのさまざまな経験を有する時間を犠牲にしているともいえます。勉強漬けの人の中にはコミュニケーション能力に問題があったり、チームワークが必要とされる仕事が苦手だったりすることもあります。 学歴フィルター重視で採用すると、そういった人材とマッチングすることもあり、組織の仲間たちと円滑なコミュニケーションが行えず、組織運営に支障をきたすリスクを抱えることになるわけです。それよりは、学歴は多少見劣りするものであっても、コミュニケーション能力があり、熱意や専門スキルを有する人材を、社会は求めているのです。 まだまだ学歴を重んじる風潮が消えたわけではありませんが、昭和と平成を過ごした私たち以上の世代よりは、確実に薄れてきています。親は「いい大学=成功」という固定観念を捨てて、子どもの個性や特技を伸ばす教育により重点を置くべきです。 ■前倒しされる採用市場 *活発化一途のインターンシップ 先述のアンケートに出てきた企業の重視材料、「熱意」や「今後の可能性」というのは、数回の面接だけで見極められるものではありません。一体どうやって測っているのでしょうか。 人材の熱意や可能性を測るため、重要な役割を担っているのがインターンシップです。インターンシップはいわば人材の試験採用であり、企業と学生のマッチングの場でもあります。 企業は自社に合う人材を早期に確保でき、学生は自身の適性を確認することができます。企業にとっては離職率低下が見込めますし、学生にとっては経歴に傷がつくリスクを防ぐことができます。双方にとってメリットが大きいです。 日本でのインターンシップは1997年、当時の文部省、通商産業省、労働省の三省合意で推進されるようになりました。最初の段階はまだまだ下火で、採用企業はわずかでした。私たち親世代も、就活生当時にインターンシップを活用した人は一握りだったことでしょう。 それがほんの20年ほどで、インターンシップは急速に普及したのです。こうなってくると、採用市場は早い者勝ちの様相を呈してきます。インターンシップを皮切りとした人材争奪戦が繰り広げられるようになったのです。 大学3年生の夏から始めるのが一般的だったインターンシップは、年を追うごとどんどん前倒しされていきました。近年では大学2年生を対象に実施する企業も増え、とにかく早い段階で有望な人材を集めておきたいという、企業による青田買いの傾向が強まっています。 これほどインターンシップが重宝されるのは、学歴や学業実績では計測することのできない、学生の熱意や可能性を見ることができるからでしょう。 裏を返せば、大学全入時代における学歴の価値低下を象徴しているともいえます。企業は出身大学よりも「人となり」を重視し、インターンシップでの実績が採用に直結することを物語っています。高学歴の人材でもインターンシップを通して企業からの評価が下がってしまい、採用されないケースも当然のようにあることでしょう。 逆に中堅以下の大学生が、かつての学歴社会では就職が叶わなかった大企業に採用されるケースも増えているはずです。採用市場の現状を知るほど、学歴偏重のリスクは浮き彫りになっていきます。 蓮池 林太郎 医師・作家・新宿駅前クリニック院長 【関連記事】 ■有名大合格を信奉する「失われた30年」世代の親という害 (蓮池林太郎 医師) https://sharescafe.net/62970383-20260130.html ■「地獄への道は親の愛情で舗装されている」受験トラウマを負った医師の正直な思い (蓮池林太郎 医師) https://sharescafe.net/62970196-20260129.html ■「教育」という凶器で我が子を痛ぶらないために親が持つべき「全体最適」の受験戦略 (蓮池林太郎 医師) https://sharescafe.net/62967661-20260128.html ■110万円の家賃を払う板野友美さんとヤクルト高橋奎二さんの判断が正しい理由。(中嶋よしふみ ファイナンシャルプランナー) https://sharescafe.net/62674731-20250930.html ■世帯年収1560万円の共働き夫婦は、9540万円の湾岸タワーマンションを買えるのか? その1・生活費は年間800万? (中嶋よしふみ ファイナンシャルプランナー) https://sharescafe.net/61186482-20240125.html ■プロフィール 蓮池 林太郎 医師・作家・新宿駅前クリニック院長 1981年生まれ、帝京大学医学部卒業。病院勤務を経て、2009年新宿駅前クリニックを開設。医療法人社団SEC理事長、新宿駅前クリニック院長。 医者としてのキャリアとインターネット分野の知識を掛け合わせ、ホームページ、ウェブメディア、書籍などを通じて、クリニック開業、病院選び、生き方、婚活など独自の視点から情報発信を行っている。これまで10冊ほどの書籍を出版。 2017年からはクリニック開業コンサルティングも提供を開始、100人以上の医師からの相談実績がある。 子どもが5人おり、教育についても独自に情報収集を行い、コスパ・タイパに優れた受験戦略を研究している。 シェアーズカフェ・オンラインからのお知らせ ■シェアーズカフェ・オンラインは2014年から国内最大のポータルサイト・Yahoo!ニュースに掲載記事を配信しています ■シェアーズカフェ・オンラインは士業・専門家の書き手を募集しています。 ■シェアーズカフェ・オンラインは士業・専門家向けに執筆指導を行っています。 ■シェアーズカフェ・オンラインを運営するシェアーズカフェは住宅・保険・投資・家計管理・年金など、個人向けの相談・レッスンを提供しています。編集長で「保険を売らないFP」の中嶋が対応します。 |


