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何年もゼロだった新卒採用で、7人も採用できた。上場企業の内定を辞退して、第一志望で入社してくれた。人手不足が常態化するなか、こんな逆転劇が中小企業で起きています。リクナビやマイナビなどの採用メディア中心の戦いから抜け出し、大手に負けない採用を行うには「採用ブランディング」という考え方が必要だと、ブランディングディレクターの深澤了氏は言います。

この記事では、なぜ今ブランディングが採用の勝ち筋になるかについて、著書『人が集まる中小企業の経営者が実践している、すごい戦略 採用ブランディング 新版』(深澤了・WAVE出版)から再編集してお届けします。



■採用不振の会社が「採用ブランディング」で奇跡を起こす
*小さな会社でも大企業に負けない
「新卒採用0人続きで諦めていたのに、今年は7人も採用できました」
「一部上場企業の内定を蹴って、第一志望で我が社に来てくれたんです」
「1週間でエントリーが6000件!採用担当がパンクしています」

採用ブランディングを導入した採用結果に「奇跡だ」と喜ぶ経営者、人事担当、現場の社員の方たち。

数カ月前、初めてお会いしたときには、人材不足に悩み、採用ができないことで意気消沈。すっかり自信をなくし「うちの会社にはいいところなんてないですよ。」経営者自らそんな言葉がでるほどでした。それほどに、採用の成否は経営者の自信を左右するのです。

近年、人材不足は企業にとって深刻な課題です。帝国データバンク2023年10月実施の人材不足に関する企業の動向調査によると、実に52.1%が正社員不足と回答しました。特に、旅館・ホテルでは、75.6%が人手不足であると回答しています。

優秀な人材を獲得できるのは一部の大手企業のみ。知名度の低い中小企業は採用に多額の費用を投じ、応募者を集めても、数でも質でも思うような結果が得られていないのがこれまでの現状でした。

既存の市場や手法で戦っても、ほとんどの中小企業は望むような人材を獲得することができず、その結果、企業の成長は鈍化し、将来的には衰退してしまう恐れすらあるのです。

コロナ禍以降、どの企業も人材獲得に積極的になっています。労働人口は減っていくわけですから、年々人材不足は加速していきます。差別化が難しく、競争の激しいレッドオーシャン(競争市場)を抜け出して勝ち抜くための方法が、採用ブランディングなのです。

採用ブランディングを行った企業17社に調査を行い、その前後でどのような変化があったのか比較してみると、実感する変化に共通した3点がありました。

(1)母集団(自社に興味を持つ就活生の数)の増加
(2)母集団の質的向上(※企業側の実感に基づく)
(3)内定承諾率の上昇

採用ブランディングを用いると、どんなに無名な小さな企業でも、(1)〜(3)の変化が起こり、圧倒的に欲しい人材を採用できるようになっていきます。その効果は驚くほどに早く数字に表れるため、採用は一変。奇跡とも思えるほどの変貌をとげるのです。

採用に苦戦を強いられていた中小企業に起きた奇跡とは、一体どんなものなのか。今、なぜ採用にブランディングが必要となっているのか。これまでの一般的な採用とは異なる有用性と必要性を、「採用ブランディング」を紐解きながらお伝えしたいと思います。

■小さな会社が大企業に勝てる採用ビクトリーゾーン
従来の採用方法はもう通用しない採用活動で、多くの人がまずすることは、採用メディアのサイトへの登録と、そこからの採用情報収集ではないでしょうか。

現在、人材を募集しているほとんどの企業では、いわゆる「採用メディア」を中心に据えた採用活動が行われています。新卒であれば、「リクナビ」「マイナビ」「エン・ジャパン」などが有名で、既卒(中途)採用であれば「リクナビNEXT」「マイナビ転職」「doda」などがあげられます。これらの採用メディアが主軸となった採用フローが一様に形成されているのです。

企業の採用フローステップは、次の5つ。

(1)採用メディアへの登録
(2)説明会の開催
(3)選考(面接)
(4)内定
(5)内定者フォロー

(2)は中途採用では省く企業がほとんどですが、驚くことに、ほとんどの企業が企業の規模や歴史、業種、業態にかかわらず、右へ倣えとばかりに一様に採用メディアを中心としたこの採用フローの形式をとっているのです。

これでは差別化にならないので、いつまで経っても採用できず、マッチングの精度も低いまま。大手企業と同じやり方ではなく、自分たちらしい採用を組み立てることが、結局は効率的で本質的な採用につながるのです。

■従来の採用方法で勝てるのは大企業だけ
長らくメディア掲載が主軸となった今の採用活動で、母集団を獲得できるのは大手企業や有名企業に限られます。

大手企業や有名企業はすでにブランドイメージが定着し、知名度があるため、どの媒体に掲載しても応募者は自然に集まってきます。

とくにBtoCの企業は有利です。応募者が普段から消費者として商品に接しているため、企業イメージが想像しやすいのです。そのため、メディア掲載するだけで、楽に母集団を形成できるでしょう。

大手企業でもBtoB企業の場合は、業界内では知名度があったとしても、一般にはあまり知られていません。そのため、リクナビやマイナビが募集を開始する3月を見据え、1月頃からテレビCMや新聞広告などのマス広告を積極的に行うなどして知名度の向上に努めることが増えています。

例えば、村田製作所は90年代からインパクトのあるCM広告を展開し、知名度を上げたBtoB企業です。最近では「村田製作所で働く〇〇系の人たち」と題して、シリーズ化したCMが話題になりました。雑学系の人、観察系の人、ブラックホール系の人など、社員を取り上げて仕事を紹介するCMは、知名度向上と、採用効果を上げる広告と位置づけることができます。

三菱重工や東芝が親子で学べて楽しめる施設として「三菱みなとみらい技術館」「東芝未来科学館」などの施設を安価な入場料、または無料で展開しているのも、知名度向上を狙ったものでしょう。

消費者に近い大手BtoC企業ならもちろん、BtoBでも、大々的にマス広告を打つことや一般に向けて施設を運営している大手企業ならば、既存の採用フローが有利に働きます。

知名度や体力のある大手企業が比肩する採用市場で、無名で投資体力も持ち合わせていない中小企業が同様の戦法で戦っているのが今の採用です。このまま同じ市場・方法で戦っても、勝つ術はないことは容易に想像できます。

では、中小企業は優秀な人材獲得を諦めるしかないのかというと、そうではありません。秘けつは戦う場所を変えること。労力も投資できる財力勝負になりがちだったレッドオーシャンから抜け出して、他社との差別化が見事になされた唯一無二の存在として、勝負に勝てる「ビクトリー(差別化された市場)」の場で採用フローを行うことです。


深澤了 ブランディングディレクター・クリエイティブディレクター


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■プロフィール 深澤了 ブランディングディレクター・クリエイティブディレクター
早稲田大学商学部卒業後、山梨日日新聞社・山梨放送グループに入社。広告代理店でCMプランナー/コピーライターとして活躍。株式会社パラドックスを経て、2015年にむすび株式会社を設立。
ブランド戦略からプロモーションまで一気通貫でサポートし、これまで1000社以上の採用活動に携わる。従来、「企業」「商品・サービス」のみだったブランド論に「採用ブランディング」という新理論を構築し、多くの企業の採用成績向上に貢献。早稲田大学ビジネススクール修了(MBA)。著書に『どんな会社でもできるインナー・ブランディング』(セルバ出版)など、ブランドに関する書籍・執筆多数。

公式サイト https://www.musubi-inc.co.jp/member/fukasawa/




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