![]() ■受験戦争最大のリスク「燃え尽き症候群」 *慢性化の恐怖 受験という過酷なサバイバルレースをくぐり抜け、見事、目標にしていた第一志望の中学校に合格。ここまでは順風満帆に来れたとしても、入学した途端に勉強への意欲がわかなくなり、無気力状態になってしまう子どももいます。 受験という大きな目標を達成し、次の目標を掲げ乗り越えていく気力を失ってしまっている、いわゆる「燃え尽き症候群」です。 戦い抜いた後に休む期間は必要。一時的に燃え尽き症候群に陥るのは、頑張った反動なのだから仕方のない話です。とはいえ、受験を経て入学した私立中学校に在籍する同級生は、同じレースを生き残った猛者たちであり、高いレベル水準の子ばかり。その中で落ちこぼれないよう、周囲と同等以上のレベルを維持するため、うかうかしていられないのも事実なわけです。 このときに周りのレベルに圧倒され、受験後の風船が割れたような気持ちからの立ち直りに手こずってしまうと、炭のように燃え尽きたまま学校生活を送ることになってしまいます。この症状は悲惨で、中学以降の学力の伸びしろが望めず、きちんと勉学に励んでいれば確実に進学できたはずの大学にも行けない事態になってしまいます。 燃え尽き症候群が慢性化し、落ちこぼれのような中高生活を送ることになると、本来の学力であれば達成できた目標も、一切叶えることができないわけです。 私も私立の中高一貫校に入ったので、周りでこういう子を見てきました。中学に入った途端、勉強することを放棄し、遊びや非行に突っ走るのです。 「中学受験を頑張ったし、高校受験しなくていいんだから、しばらくは好きに過ごしていいだろう」という安易な考えからだと思うのですが、この心持ちが定常化してしまうと後戻りできません。 遊びすぎて日々の研鑽を怠り、授業にもついていけなくなり、高校への内部進学を諦めて別の高校に進学することになるのです。非行に走った子は問題を起こして退学処分となるケースもありました。 よりハイリスクなのは、残念ながら中学受験に失敗し、滑り止めや公立中学を選ぶことになったパターン。第一志望の中学校には入れずとも、頑張ってきたことに間違いはありません。不安な気持ちよりは安堵の気持ちのほうが大きいことでしょう。「また頑張ろう」と再燃するには時間を要します。 しかし親はまったく逆で、リベンジの炎をメラメラと燃やしていることがあります。子どもが受験からの解放感に浸っているそばで、中学で通う塾のパンフレットを広げたり、対策用のテキストを買い込んだりするのです。 この様相は子どもにとって残酷であり、燃え尽き症候群を加速させることにもなります。度が過ぎると教育虐待につながってしまい、家族崩壊も招きかねません。 ■受験に燃え尽き症候群はつきもの もちろんこのような話は中学受験に限った話ではありません。高校受験や大学受験でも同様に燃え尽き症候群に陥る人はいます。 しかし、中学受験はとくに反動が大きいように思います。中学生や高校生になるとある程度の意思が働きます。進学先で何をしたいとか、将来はどういった仕事に就きたいなど、受験した先のこともイメージしながら本番に向けて勉強に勤しみます。よって、受験後の気持ちの切り替えも上手に行えるものです。 小学生はそういったコントロールがまだ円滑にはできません。中学受験そのものも「気が付いたらやっていた」「周りがやっていたので自分もやっていた」「親にいわれてなんとなくやらされていた」というケースがほとんど。自分の意思がほとんど働いていないことも多々あるのです。 意思なく中学受験に取り込んでいる子たちは、「受験が終われば勉強地獄から解放される」と思い込んでいます。この発想が長い燃え尽き症候群を招いてしまうわけです。こういったリスクが考えられるため、子どものモチベーションはよく確認しておくべきです。 高校受験や大学受験でも同様です。受験に対するモチベーションだけでなく、受験した先、志望校でどのような学校生活を送りたいかのイメージを膨らませて、受験戦争へ参入しましょう。 ビジョンを固めておくことで、燃え尽き症候群はほとんど発症しないか、発症してもほんの短いクールダウン期間だけで済むことでしょう。 ■中高一貫校が必ずしも大学受験に強いわけではない *中高一貫校の怪しい実績 メディアの影響を受けやすい私たちは「中高一貫校へ行けばいい大学に行ける」という神話を信じ込んでいるだけかもしれません。 もちろん理論そのものは正しいかもしれませんし、否定できるようなデータを提示できるわけではありません。 しかし一方で、「中学受験しなかったらいい大学へ行けない」とは言い切れません。「公立中学校からでもいい大学へ行ける」ことも否定できないですし、そもそも中高一貫校が性格的に合わない子もいるわけで、すべての子どもたちに中学受験を推奨できるわけではありません。 とくに滑り止めクラスの、上位校を落ちた受験生たちの受け皿となっている中堅以下の中高一貫校は、わざわざ学費を払ってまで通う価値があるのか疑わしいものです。 そういった中堅以下の中高一貫校の大学実績を見てみると、眉をひそめたくなる面が垣間見られます。「合格」実績は掲載していても、「進学」は掲載していないケースが多いのです。穿った見方をすれば、校内順位の上位にいる、一握りの優秀な生徒だけがいい大学に複数受かって合格実績をかさ増ししているだけかもしれません。 偏差値の高い生徒を特待生として授業料免除で受け入れ、ごく少数の精鋭で大学合格実績を演出する、という戦略も中堅以下の私立中高一貫校では行われています。つまり、ほかの多くの生徒は中堅以下の大学にしか受かっていない可能性があるわけです。 進学実績がいいのであれば、公表したほうが受験する生徒がもっと増えてより優秀な生徒を集められるはず。それなのに公表をしないということは、進学実績がいいわけではないことがバレてしまうからではないかと勘ぐりたくなってしまいます。 親は「せっかく受験勉強したのだから」「受験に失敗して公立中学へ行くのは気恥ずかしい」という心境から、滑り止めでも私立中学校に通わせようという思考が働くかもしれません。この発想が、実績は大したことないのに授業料だけはしっかり取る、コバンザメ学校へ進むリスクを高めてしまうわけです。受験産業の餌食になっているといっていいでしょう。 中高一貫校は高校受験をしなくていいメリットはありますが、かえってそれが緊張感を緩ませるデメリットもあります。中学時代は中だるみしてしまい勉強に本腰を入れられず、いざ高校2年生くらいになって受験を意識し始めると焦り、自分が何も積んでこなかったことに愕然とする、というパターンもあるわけです。 中高一貫校では、中学から入った「内部生」よりも、高校からの途中加入である「外部生」のほうが、大学進学実績が優れているということもよくあります。難関大学の合格実績は、中学受験組の一握りの上位生徒と、高校受験組中位以上の生徒が大半を占めている、という中高一貫校も少なくないのです。 このような中高一貫校の裏の意図を探ってみると、「中高一貫校へ行けばいい大学に行ける」というのは絶対的なものではないといえるのです。 蓮池 林太郎 医師・作家・新宿駅前クリニック院長 【関連記事】 ■本当に中学受験すべき家庭は実は少ない?参入できる3つの前提条件とは (蓮池林太郎 医師) https://sharescafe.net/62989284-20260206.html ■課金力を最大化する、子どものタイプ別受験戦略とは (蓮池林太郎 医師) https://sharescafe.net/62987426-20260205.html ■早期化する中学受験対策が低パフォーマンスと言える理由 (蓮池林太郎 医師) https://sharescafe.net/62987396-20260205.html ■110万円の家賃を払う板野友美さんとヤクルト高橋奎二さんの判断が正しい理由。(中嶋よしふみ ファイナンシャルプランナー) https://sharescafe.net/62674731-20250930.html ■世帯年収1560万円の共働き夫婦は、9540万円の湾岸タワーマンションを買えるのか? その1・生活費は年間800万? (中嶋よしふみ ファイナンシャルプランナー) https://sharescafe.net/61186482-20240125.html ■プロフィール 蓮池 林太郎 医師・作家・新宿駅前クリニック院長 1981年生まれ、帝京大学医学部卒業。病院勤務を経て、2009年新宿駅前クリニックを開設。医療法人社団SEC理事長、新宿駅前クリニック院長。 医者としてのキャリアとインターネット分野の知識を掛け合わせ、ホームページ、ウェブメディア、書籍などを通じて、クリニック開業、病院選び、生き方、婚活など独自の視点から情報発信を行っている。これまで10冊ほどの書籍を出版。 2017年からはクリニック開業コンサルティングも提供を開始、100人以上の医師からの相談実績がある。 子どもが5人おり、教育についても独自に情報収集を行い、コスパ・タイパに優れた受験戦略を研究している。 シェアーズカフェ・オンラインからのお知らせ ■シェアーズカフェ・オンラインは2014年から国内最大のポータルサイト・Yahoo!ニュースに掲載記事を配信しています ■シェアーズカフェ・オンラインは士業・専門家の書き手を募集しています。 ■シェアーズカフェ・オンラインは士業・専門家向けに執筆指導を行っています。 ■シェアーズカフェ・オンラインを運営するシェアーズカフェは住宅・保険・投資・家計管理・年金など、個人向けの相談・レッスンを提供しています。編集長で「保険を売らないFP」の中嶋が対応します。 |


