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「子育ては、親も子もプレイヤーとして一緒に冒険するRPG(ロールプレイング・ゲーム)そのもの」と話すのは、メンタルトレーナーの森知香さん。かつて「勉強こそが愛」と信じ、わが子を塾と宿題で追い立ててしまったという彼女は、「正しさの押しつけ」が子を苦しめていたことに気づきます。

子どもは物語の主人公、親は前に出て戦うのではなく回復や案内を担うサポーター。失敗は責めるものではなく「経験値」であり、つまずきは次の攻略のヒントになる――こうした「RPG思考的子育て」の前提に立つことで、親の焦りは余裕へ、子どもの挑戦は自信へ変わっていったそうです。森さんの息子さんは2人とも偏差値が30台から70に上がり、国公立大医学部の合格を果たしました。

この記事では、なぜRPGの要素が子育てに効くかについて、著書『ビリから逆転できるRPG(ロール・プレイング・ゲーム)思考的子育て術 偏差値30台から70の医学部への合格の書』(ぱる出版)から再編集してお届けします。



■RPGって何?ゲームにハマる子どもたち
中学受験の失敗でやる気を失っていた息子が、夢中で取り組んでいたものが、RPG(ロール・プレイング・ゲーム)でした。

正直な親の本音を言えば、「またゲーム……」って気持ちでした。しかし、その画面を見ていて、ふと私は気づきました。「え、これは、勉強にも通じるんじゃない?」

RPGは、プレイヤーが主人公になり、冒険の世界を旅しながら、経験値を積み、仲間と出会い、モンスターを倒し、クエスト(課題)をクリアしていくゲームです。

最終的にはラスボスという強大な敵に挑み、世界を救う。そんなストーリー仕立てのゲームが多くの子どもたちを魅了し続けています。そして、このRPGの流れは、勉強や受験に、そのまま応用できるんです。

なぜ、それほど子どもたちがRPGに夢中になるのか? それはRPGの魅力の1つでもある「成長の実感」にあります。

初めは弱いキャラクターでも、レベルが上がると、どんどん強い敵に立ち向かえるようになります。「がんばれば、強くなれる」「努力は、ちゃんと力になる」と実感することは、実は多くの子どもが勉強で得たかった感情そのものなのです。

一方、現実世界の学校の勉強では、いきなり正解を求められたり、クラスの友達が見ている前での失敗が恥ずかしかったり、達成感や自分のレベルアップがなかなか感じられない。だから子どもたちは、楽しくない、やる気が出ない、という状態になりやすいんです。

でも、RPGなら、たった10分のプレイでも、アイテムを獲得したり、「レベルアップ1→2」と画面表示されたり、敵に勝って報酬をゲットしたりと、目に見える形で自分の成長がフィードバックされるので、やる気につながります。

では、この仕組みを子育てや勉強にどうやって活かせば良いのか? その秘訣は、ただ「勉強や宿題をやりなさい」と課題を与えるのではなく、RPGのように、毎日クエスト(ミッション)をこなして、少しずつレベルアップを実感させる学び方に変えることです。子どもたちは自然とやる気スイッチが入り「やってみようかな」と行動が変わり始めます。

そして、そのやる気の継続に重要なのが挑戦と達成感です。RPGの世界では、失敗してもやり直せるという安心感があります。何度チャレンジしても、ゲームはプレイヤーを見放さない。これが、子どもにとって何より大きな「心の安全基地」になります。

そのまま勉強に応用することで、子どもは「失敗してもいいんだ」「やり直していいんだ」と思えるようになります。そして、親が子どもの思う失敗を責めずに「がんばったね」「今日もレベル上がったね」と言葉をかければ、ゲームでのご褒美以上に、子どもにとって最強の報酬になります。

■もう1回やれば勝てる!と思わせる絶妙なバランス
「あとちょっとで倒せそうやったから、もう1回」と画面に向かって、何度も何度も挑戦しているわが子の姿をよく目にします。こんなにゲームに夢中になる子どもの、あの集中力、持続力、粘り強さは、親の立場からすると「これを勉強に向けてくれたらいいのに」と何度も思ってしまいます。

でも、このもう1回やれば勝てるかもと思わせるゲームの魔法には、実はとても深い仕掛けがあります。ゲームは、プレイヤーを絶望させないように作られています。強すぎる敵には最初から出会わないし、絶対に勝てない設定にはなっていません。何度か失敗しながらも、「次は勝てるかも」と希望の予感を残すように、敵の強さやダメージのバランスが絶妙に調整されています。

この絶妙な設計は、そのまま成長の原動力につながります。人は「できそうでできない」ことにこそ、挑戦したくなります。簡単に完璧にできることはすぐに飽きてしまうし、まったく歯が立たないことは、最初からやる気になれません。だから、ギリギリ届きそうな目標を目の前に置くと、人は自発的にやる気を燃やします。

これは、子どもの勉強にもそのまま活かせる考え方です。たとえば、子どもにとって難しすぎる問題ばかり出してしまえば「ムリ」「もうイヤ」と逃げたくなる。でも、簡単すぎると退屈して「なんでこれやらなあかんの?」とやる気を失ってしまいます。

ちょっとがんばれば手が届きそうという、少し前の自分なら解けなかったけど、今なら大丈夫という実力の少し上に設定をすることで、「挑戦してみようかな」と前向きな気持ちが育っていきます。これは、ゲームが持つ粘り強さを引き出す仕組みとまったく同じ構造です。

「もう1回やれば勝てるかも」「ちょっと悔しいから、リベンジしたい」これらの気持ちは、強制された勉強では生まれません。でも、親が「負荷のかけ方」を工夫するだけで、子どもは自分から机に向かうようになります。

このバランスをうまく活かすには、親の声かけも大切です。失敗したとしても、「また挑戦すればいい」と思える環境にします。この心の余裕があるからこそ、子どもは自分の意思で何度もチャレンジできるようになります。

そして、ゲームでは、挑戦することで少しずつ強くなっていく感覚があります。最初は倒せなかった敵が、レベルが上がった自分ならサクッと倒せる。その「成長の実感」こそが、次の挑戦への意欲につながります。これを勉強でも取り入れるには、毎日の学びに明確なゴールとフィードバックをつけてあげることがポイントです。ゲームをプレイしているときのような前向きな粘り強さを、勉強でも発揮するには、絶妙な負荷、親の励まし、小さな達成感を含めて、「もう1回やれば勝てるかも」と思えるような学びの仕掛けを、親が用意してあげることが、未来の逆転劇の第一歩につながります。


森知香 メンタルトレーナー・講演家・YICTフォレスト合同会社代表


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■プロフィール 森知香 メンタルトレーナー・講演家・YICTフォレスト合同会社代表
mori
教師だった母の影響で、高校時代から理想の子育ての研究を始める。学生時代から結婚まで家庭教師と大手進学塾で小中高校生約2,000の学習指導を行う。出産後は、約1,000組の親子の悩み相談を解決する。自身の知識と経験をもって我が子に英才教育を施すも、中学受験で全校不合格。親子ともども燃え尽き症候群に陥る。唯一やる気のあったゲームから「RPG思考的子育て術」を思いつく。息子二人の偏差値を30台から70に上げ国公立大医学部の合格に導く。現在は自身の経験を活かして「子どもの可能性を引き出す子育て」をテーマに、講座やコーチングや講演を行う。キラキラ女性講演会2025グランプリ受賞。

Instagram https://www.instagram.com/morichika_1223 @morichika_1223
公式サイト https://morichika.jimdosite.com/




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