![]() 子どもは物語の主人公、親は前に出て戦うのではなく回復や案内を担うサポーター。失敗は責めるものではなく「経験値」であり、つまずきは次の攻略のヒントになる――こうした「RPG思考的子育て」の前提に立つことで、親の焦りは余裕へ、子どもの挑戦は自信へ変わっていったそうです。森さんの息子さんは2人とも偏差値が30台から70に上がり、国公立大医学部の合格を果たしました。 この記事では、なぜRPGの要素が子育てに効くかについて、著書『ビリから逆転できるRPG(ロール・プレイング・ゲーム)思考的子育て術 偏差値30台から70の医学部への合格の書』(ぱる出版)から再編集してお届けします。 ■コンプリートしたくなる、くすぐられる収集心 「あと1個でそろう!」「このモンスター図鑑、全部埋めたい!」「この装備がほしい!」など、ゲームにハマる子どもたちは、ただストーリーを進めるだけではなく、集めるという行為にも夢中になっています。 なぜそれほど夢中になるのか? それは、単純に面白いからだけでなく、子どもにとって「集めること」は、自分の世界を構築していく手応え、自分だけのコレクション(所有感)、もう少しでそろうという達成の予感の3つが絶妙に絡み合って、「もっとやりたい!」という原動力につながっているからです。 特にRPGでは、アイテム、図鑑、仲間、称号など、収集する要素がたくさんちりばめられていて、好奇心がくすぐられます。まさに子どもにとっての冒険の燃料です。集めること自体が楽しいし、コンプリートしたときに「やり切った!」という達成感があります。そして、目に見える証拠として記録が残ります。それが人を動かすエネルギーになります。 それは、現実の世界でも顕著に表れています。2025年の大阪万博では、各パビリオンを巡って来場スタンプを集める仕掛けがあります。各パビリオンの会場では、子どもだけでなく大人までもが夢中になり、スタンプ帳に押印するためだけに、長い待ち時間が必要な大行列に並んでいます。 この集めたいという欲求を、勉強や日常に活かすとどうなるか? たとえば「漢字スタンプカード」で覚えた漢字を可視化、「計算ミッションリスト」で正解数をポイント化、「読書バッジ」を貯めていくチャレンジシートなど、集めたくなる設計にすることで、学びが作業からゲームに変わります。 収集チャレンジで得たコレクションは、子どもがコツコツ集めた努力の成果の積み重ねであり、「自分は継続できる」「自分ってすごい」と思える唯一無二の証なのです。子どもにとって、集めたものは単なるモノではなく、がんばってきた自分の象徴です。だからこそ、大事にしたい、自慢したい、見てほしいんです。この自己肯定感は、受験や壁にぶつかったときの「自分はできる」という支えになります。 収集することは、そのまま自信の貯金につながります。収集欲は、子どもの「やる気」の宝庫につながります。ただの趣味ではなく、学びと成長の起爆剤になるので、親がこの視点を理解し、どうしたら楽しめるか?と一緒に考えるだけで、子どもの心にやる気という火が灯ります。コンプリートしたときの笑顔は、努力と達成のすべてが詰まった、子どもの勲章なのです。 できた、集めた、がんばったその積み重ねが、子どもを人生の冒険へと導いていくのです。 ■ライバルと競い、協力する仲間ができる ゲームの世界には、主人公1人ではたどり着けない場所があります。強い敵に立ち向かうとき、ピンチに陥ったときに仲間が支えてくれたり、誰かのピンチに自分が手を差し伸べたりする場面が必ず訪れます。 その中に、ときにはライバルもいます。同じ目標に向かって競い合い、ぶつかりながらも、お互いの存在がお互いの成長のスイッチを押しています。この「ライバルがいる」「仲間がいる」という感覚が、子どもたちのやる気と自信を大きく育てる力になるんです。 子どもは、ときどき急にスイッチが入ったようにがんばることがあります。それはちょっと手が届きそうなライバルに「負けたくない」とスイッチが入っているときです。同じ問題をどっちが早く解けるか、テストの点数がちょっと上だった、そんなちょっとした刺激が、子どもの心に火をつけます。「くやしい」と思えるのは、実はすごく大事です。自分の中に、できるようになりたい気持ちがちゃんとある証拠なんです。 「あとちょっとなのに届かない」この感覚を何度も味わったのが、私の長男でした。中学生の頃、彼には勉強でどうしても勝てないライバルがいました。模試や定期テストで、いつも僅差で負けてしまう。毎回、もうちょっとのところで抜けない。でもその「あとちょっと」が、彼の努力の炎に火をつけました。やがてクラスの中でも、その勝負が注目され、同級生から応援されるようになりました。「くやしい、でも、負けたくない」その思いと同級生の応援があったおかげで、何度も心がくじけそうになりながらも、何度も立ち上がる原動力になったのです。 しかし最近は「競争=悪」の風潮があります。確かに過度な競争やプレッシャーは子どもを追い詰めます。でも、自分より少し上の存在は、実は伸びしろの種なんです。 大事なのは、他の子より上か下かを評価するのではなく、昨日の自分より前に進んでいるか?と比べる方向を変えてあげること。親がその視点で関わると、ライバルの存在は敵じゃなくて成長をくれる先生になります。ゲームの中で仲間と一緒にボスに挑むと、自然と「やるぞ!」って気合いが入ります。自分だけじゃ心細くても誰かが隣にいてくれる、仲間の活躍を見たら、自分もやらなきゃって思えるようになります。勉強も遊びも一緒にやる誰かがいると、前に進む力が湧いてきます。 実際に、家庭で仲間感を育てるには、ちょっとした工夫が必要です。兄弟でのドリル対戦でのタイムアタックや、「お母さんもこの本読もうかな」と子どもの勉強の時間に一緒に挑戦してみるなど。たとえ親でも、一緒に冒険する存在がいるだけで、子どもは自分だけじゃないと思え、その安心感が、心のスタミナになります。そして本当に苦しいとき、子どもががんばれるのは、応援してくれる存在がいるからです。 ライバルの存在が心を燃やし、仲間の存在が心を支えてくれます。受験や習い事で、孤独な戦いにしないことが、子どもにとって努力の結果以上に、心を育ててくれる最高の環境です。親ができることは、友達や兄弟との競争や協力を心が育つ時間として見守ることです。勝っても負けても笑って支え合えるように、「また一緒にがんばろう」と言い合える関係の仲間がいる子は、どこまでも伸びていきます。 森知香 メンタルトレーナー・講演家・YICTフォレスト合同会社代表 【関連記事】 ■子どもの「僕って最強!」は挑戦できるサイン―子を伸ばす親のうまい関わり方 (森知香 メンタルトレーナー) https://sharescafe.net/63140655-20260413.html ■RPGに学ぶ、子どものやる気を爆上げする「即フィードバック」の効果 (森知香 メンタルトレーナー) https://sharescafe.net/63138098-20260412.html ■「勉強しないでゲームばかり」と思うなかれ。RPGに学ぶ、子どものやる気を引き出すコツ (森知香 メンタルトレーナー) https://sharescafe.net/63129404-20260408.html ■110万円の家賃を払う板野友美さんとヤクルト高橋奎二さんの判断が正しい理由。(中嶋よしふみ ファイナンシャルプランナー) https://sharescafe.net/62674731-20250930.html ■世帯年収1560万円の共働き夫婦は、9540万円の湾岸タワーマンションを買えるのか? その1・生活費は年間800万? (中嶋よしふみ ファイナンシャルプランナー) https://sharescafe.net/61186482-20240125.html ■プロフィール 森知香 メンタルトレーナー・講演家・YICTフォレスト合同会社代表 ![]() Instagram https://www.instagram.com/morichika_1223 @morichika_1223 公式サイト https://morichika.jimdosite.com/ シェアーズカフェ・オンラインからのお知らせ ■シェアーズカフェ・オンラインは2014年から国内最大のポータルサイト・Yahoo!ニュースに掲載記事を配信しています ■シェアーズカフェ・オンラインは士業・専門家の書き手を募集しています。 ■シェアーズカフェ・オンラインは士業・専門家向けに執筆指導を行っています。 ■シェアーズカフェ・オンラインを運営するシェアーズカフェは住宅・保険・投資・家計管理・年金など、個人向けの相談・レッスンを提供しています。編集長で「保険を売らないFP」の中嶋が対応します。 |



