![]() しかし、「営業は1年に1回だけやりましょう」と語るのは、展示会営業の専門家で中小企業診断士の清永健一氏。なぜ営業活動を年1回の展示会に集約することが最適解なのか、氏の著書『展示会のプロが発見!儲かっている会社は1年に「1回」しか営業しない!』から再構成してお届けします。 ■泥沼のWebマーケティングから脱出せよ 現代はWeb全盛の時代であり、多くの企業がオンラインでの集客を主軸に置こうとしています。しかし、知名度や資金力に乏しい中小企業にとって、Webの世界で新規顧客との接点を作るのは、想像以上に過酷な戦いです。 Web広告を使って、たった1社の見込み客と接点を持つためのコストは2万円を超えるケースも珍しくありません。さらに、Webサイトは情報の提供が一方通行になりがちで、相手の反応を見ながら訴求ポイントを変えることが難しいため、購入意欲を喚起するのは至難の業です。 つまり、知識や人手、資金力といったリソースが限られている中小企業は、Web営業に深入りすることで泥沼に足を突っ込みかねないのです。 一方、年に1回の展示会に出展し、正しく展示会営業を実践すれば、出展期間3日間程度のコストと労力だけで、向こう1年分の優良な見込み客と接点を持つことが可能になります。展示会は、リアルの場で対話して見込み客からの質問を促し、相手の関心に合わせてその場で提案を変えられる、極めて生産性の高い営業の場なのです。 ■年に1回の営業がもたらす中長期的な効果 私が営業を年1回に集約することをおすすめする背景には、直接的なメリット以外に、中小企業の切実な現状があります。 多くの中小企業は、大口顧客からの無理難題に御用聞きとして奔走したり、見込みの薄い新規客に何度も足を運んでは邪険に扱われたりと、過剰な努力を続けることによる担当者の疲弊や、コストがかさむことによる利益の減少を招いているのです。 かつての私自身も、3年間毎日一般家庭への飛び込みなどのドブ板営業を行い、過酷な日々を過ごしていました。犬に吠えられて追い回されることもありましたが、そうした経験からムダな営業活動を排除し、リソースを年1回の展示会に集中投下することの重要性にたどり着いたのです。 中小企業が儲かる体質に生まれ変わるためには、以下の要素を並行して変革する必要があります。とても大変なプロセスに思えますし、個別に改善しようとすると、時間も人手も足りない現実にうんざりするでしょう。 ・求心力のある未来ビジョンの構築 ・御用聞きから問題解決型の営業スタイルへシフト ・部門間の壁(セクショナリズム)の打破 ・社員のスキルとモラルの向上 しかし、「年に1回の展示会で成果を出す」という明確な目標があれば、分かりやすいハードルを超えるために全社が一丸となり、これらの課題を自然に、かつ一気にクリアすることができます。これこそが、短期的な成果だけではなく、体質そのものを変えることができる展示会営業の魅力です。 ■展示会営業が生む13個の幸せ 展示会営業を正しく実践した企業には、単なる数字以上の「奇跡」が起こり始めます。次にご紹介する「13個の幸せ」という恩恵は、どんな企業にとっても必要なものではないでしょうか。 (1)売上・利益の大幅な増加 (2)社長や社員が自社の明るい未来を想像し、ワクワクするようになる (3)社内の一体感が醸成され、セクショナリズムが打破される (4)顧客目線の思考力が強化される (5)社員のセルフイメージが高まる (6)社内に埋もれたノウハウが流通し始める (7)自ら動く人材が育成される (8)顧客の生の反応を商品開発にフィードバックできる (9)仕入れ先や提携先候補が見つかる (10)優秀な人の採用・定着が可能になる (11)望まれて訪問することが当たり前になり、自信が増大する (12)「教える人」というポジションを確立し、対等な商談ができるようになる (13)情報収集力と感度が高まる 特に重要なのは、12番目の「教える人(専門家)」としての立ち位置です。 従来の「お願い営業」や「御用聞き」を卒業し、展示会という機会を通じて顧客の問題解決を支援するパートナーへと進化することで、社員は自社に誇りを持ち、イキイキと働くようになります。これは、長期的な企業の財産になりうる要素なのです。 ■「どうせ中小企業だから」という自嘲は捨てろ 私がコンサルティングの現場で最も悲しく感じるのは、経営者や社員が自社のことを「どうせ中小企業だから」と自嘲気味に語る場面です。 しかし、中小企業には大企業にはない魅力が数多くあり、実直さや一生懸命さはその筆頭として挙げられる特徴でしょう。確かに、こうした側面を見込み客にアピールできる機会は多くないかもしれません。しかし、展示会という晴れ舞台で、自社の「志」や「実現したい未来」を堂々と発信することで、周囲の評価は劇的に変わります。 実際に、展示会で活気あるブースを作り、熱いプレゼンを行うことで、「我が子に自信を持って就職を勧められる会社になった」「娘から『将来パパの会社で働きたい』と言われた」という感動的な変化を遂げた事例も存在します。 「営業は年1回に集約する」という決断は、勇気がいることかもしれません。しかし、あちこちに分散させていた限られたエネルギーを、展示会という大きなレンズで一点に集約させることで、これまで突破できなかった厚い壁を突き破り、新たな販路と強い組織を同時に手に入れることは可能です。 太陽の光と虫眼鏡をイメージしていただくと分かりやすいと思います。分散した太陽の光では紙を焦がすことはできませんが、虫眼鏡で一点に集中させれば、強い熱を生み出し、対象を貫くことができますよね。中小企業の限られたリソースも、展示会というレンズを通すことで、強力なエネルギーへと変わるのです。 現状の営業スタイルに限界を感じている中小企業には、ぜひ一度、すべてのムダを削ぎ落とし、年に一度の展示会に全霊を注いでみていただきたい。その先には、数字上の成功だけでなく、社員が誇りを持ち、家族からも愛される「儲かり体質」の企業の姿が待っているはずです。 清永健一 株式会社展示会営業マーケティング代表取締役 中小企業診断士 展示会営業(R)コンサルタント 【関連記事】 ■中小企業が文化祭ムードで儲かり体質に変わる「展示会マジック」(清永健一 中小企業診断士) https://sharescafe.net/63078136-20260318.html ■ひと手間加えるだけで4500倍伝わる、中小企業の最新メルマガ術 (清永健一 中小企業診断士) https://sharescafe.net/63019125-20260218.html ■展示会をノルマ地獄から熱狂ゲームへ変えるゲーミフィケーション戦略とは (清永健一 中小企業診断士) https://sharescafe.net/62936415-20260116.html ■110万円の家賃を払う板野友美さんとヤクルト高橋奎二さんの判断が正しい理由。(中嶋よしふみ ファイナンシャルプランナー) https://sharescafe.net/62674731-20250930.html ■世帯年収1560万円の共働き夫婦は、9540万円の湾岸タワーマンションを買えるのか? その1・生活費は800万? (中嶋よしふみ ファイナンシャルプランナー) https://sharescafe.net/61186482-20240125.html 【プロフィール 清永健一 株式会社展示会営業マーケティング代表取締役 中小企業診断士 展示会営業(R)コンサルタント】 神戸大学経営学部卒。展示会を活用した売上アップの技術を伝える専門家。支援先企業からは、集客・受注・売上が大幅に増加したと好評の声が多数あがる。「日経MJ」、「NHKラジオ総合第一」など取材多数。支援実績は1300社超。ほぼ毎週東京ビッグサイトに出没している。 NHKラジオ総合第一で展示会の未来について言及するなど、展示会業界活性化にも尽力。展示会活用に関してテレビ等出演のほか、行政、公益法人、金融機関などで講演多数。 著書『最新版 飛び込みなしで新規顧客がドンドン押し寄せる展示会営業術』、『展示会のプロが発見!儲かっている会社は1年に1回しか営業しない』など合計7作はいずれもamazon部門1位を獲得。奈良生まれ、東京在住。 公式サイト https://tenjikaieigyo.com X:https://x.com/tenzikai @tenzikai シェアーズカフェ・オンラインからのお知らせ ■シェアーズカフェ・オンラインは2014年から国内最大のポータルサイト・Yahoo!ニュースに掲載記事を配信しています ■シェアーズカフェ・オンラインは士業・専門家の書き手を募集しています。 ■シェアーズカフェ・オンラインは士業・専門家向けに執筆指導を行っています。 ■シェアーズカフェ・オンラインを運営するシェアーズカフェは住宅・保険・投資・家計管理・年金など、個人向けの相談・レッスンを提供しています。編集長で「保険を売らないFP」の中嶋が対応します。 |



