![]() 子どもは物語の主人公、親は前に出て戦うのではなく回復や案内を担うサポーター。失敗は責めるものではなく「経験値」であり、つまずきは次の攻略のヒントになる――こうした「RPG思考的子育て」の前提に立つことで、親の焦りは余裕へ、子どもの挑戦は自信へ変わっていったそうです。森さんの息子さんは2人とも偏差値が30台から70に上がり、国公立大医学部の合格を果たしました。 この記事では、子どものモチベーションを上げる親のサポートの仕方について、著書『ビリから逆転できるRPG(ロール・プレイング・ゲーム)思考的子育て術 偏差値30台から70の医学部への合格の書』(ぱる出版)から再編集してお届けします。 ■まずは魅力的な「ラスボス(目標)」を決めよう〜目標設定は、冒険の始まり〜 RPGゲームには必ずある存在、それが、「ラスボス(ラストボスの略)」です。物語の最後に立ちはだかる強大な敵で、簡単には勝てません。だからこそ、そこに向かって旅を続ける意味が生まれます。言い換えれば、ラスボスは目的地であり、夢そのものです。「ここを目指したい」と思えるラスボスがいるからこそ、プレイヤーは困難を乗り越え、ワクワクしながら冒険を続けられます。 子育てにも、これと同じ構造があります。勉強や習い事、将来の進路も、何のためにがんばるのか?が曖昧なままでは、モチベーションは続きません。子どもが自ら動き出すためには、ただの目標ではなく、「心が動くラスボス」が必要です。 では、どうすればそんなラスボスを設定できるのか? 答えはシンプル、「子どもがワクワクするかどうか」です。うちの長男の場合、彼が「医師になる」とはっきり目標を定めたのは、高校生のときに体験した出来事がきっかけでした。 ある日通学電車に乗っていた長男の目の前で、突然、乗客の1人が倒れました。そのとき、ある男性がためらいもなく応急処置する姿を見たのです。家に帰ってきた長男は私に「お母さん、今の時代に必要なのは医者やな。僕、医者になるわ。」と宣言しました。 あの瞬間、彼の中にくっきりと、「ラスボス」が現れたのだと、今でもはっきり覚えています。たとえば「テストで100点取ろうね」や「模試で偏差値〇〇を超えようね」も目標には違いありません。でも、子どもにとって心が震えるラスボスかと聞かれると、どうでしょうか? 多くの場合、それは親が決めた敵になってしまっています。 ラスボスは、プレイヤーが「倒したい!」と心から思えなければ意味がありません。その敵の先に見える景色こそが、モチベーションの源です。「サッカー選手になりたい」「宇宙飛行士になりたい」「お医者さんになりたい」「漫画家になりたい」「世界を旅したい」どんな夢でも、どんなに大きくても、小さくても、ざっくりでも、かまいません。大切なのは、それが子どもの胸を熱くするかどうかです。 ラスボスが、現実的である必要なんてありません。むしろ、ちょっと現実離れしているぐらいがちょうどいいんです。それこそが、RPGの魅力です。 そして、ラスボスを決めるプロセス自体が、親子の最高のコミュニケーションになります。「どんな未来だったらワクワクする?」「いま、どんなことが好き?」「どんな自分になれたら最高?」そんな問いかけを通して、子どもは自分の中の主人公スイッチを押し始めます。 もちろん、子どもは途中でラスボスを変えても大丈夫です。成長とともに、興味や夢は変わります。それは迷いではなく、探索だからです。そして親の役割は、ラスボスを決めてあげることではありません。子どもが決めたラスボスを、「いいね!」と全力で肯定することです。「そんな夢、叶うわけないやん」「そんなんしょうもない」「もっと現実的な目標にしなさい」そんな言葉は、冒険の始まりを引き留めています。 むしろ、こう言ってあげてほしい、「そのラスボス、めっちゃかっこええやん!」「一緒に倒し方、考えてみよか!」。そうやって、親自身も「パーティの一員」として加わることで、子どもは自分の目標に、もっともっと本気になれるんです。 昔、化粧品会社のCMで「夢」について大人と子どもにインタビューしているものがありました。「あなたの夢はなんですか?」と聞かれて、子どもたちは次々と叶えたい夢が出てくるのに、大人は覚えてない、と答えます。また「夢の大きさは?」の問いに、子どもは地球より大きいと言い、大人は指先を広げたものを見せる。そして「夢は叶うと思う?」の問いに、子どもたちが嬉々として、「絶対叶う、信じてる」と答えるのに対し、大人は難しい表情で「叶えるのが難しいもの」の答えでした。 いつしか、大人は夢や目標設定に、ワクワクしなくなって、希望を持てなくなってしまっています。今こそ、子どもと一緒にラスボス(夢、目標)に向かっていくことを楽しみませんか? 目標設定は、子どもが「自分の物語」を歩き始める旅の始まりの第一歩です。 ■最強装備(学習環境)を整える方法〜勉強という名のバトルに挑む準備を〜 RPGの主人公がラスボスに挑むとき、裸一貫では絶対に勝てません。 剣や防具、魔法アイテム、冒険に必要な装備を整えてこそ、戦いの場に立つことができます。これは、子どもにとっての「学習環境」もまったく同じです。目標(ラスボス)が見えたら、次に整えるべきは、戦える準備、「最強装備=最適な学習環境」です。では、学習環境って何を指すのか? ただ机と椅子があって、静かで……という話ではありません。子どもが「やってみよう」と思える空間と時間、心が整う場作り、それこそが「最強装備」です。 ■最強装備の整え方 では、そんな最強装備の整え方を4つ紹介します。 1.「自分だけの拠点(ベースキャンプ)」を作る RPGの主人公には、必ず拠点があります。そこで、休んだりセーブしたりアイテムの整理ができるので冒険に出かけられます。子どもにとっての拠点は、「安心して学べる、自分だけの場所」のことです。 それはリビングの一角でもいいし、個室でも、学習机でも、ダイニングテーブルでもかまいません。大事なのは、子どもが「ここなら集中できる」と感じるかどうか。目に見えるものすべてが、「君の冒険を応援してるよ」と語りかけてくれるような空間を作ってあげてほしいんです。 2.「時間の装備」を整える 強い武器があっても、バトルの前に寝不足だったら勝てません。それと同じで、子どもの生活リズムも装備の一部と同じです。心と体のコンディションを整えることが、すべての行動力を支えるベースになります。「がんばれない」のではなく、「がんばれる状態になっていない」ことが、実はほとんどです。 3.「魔法の装備」=言葉と音と気配 RPGには、装備だけじゃなく「魔法」もあります。これは、現実でも同じです。言葉のシャワーは、子どもの心を強化する魔法です。たった一言でも、「この人は自分の努力を見てくれてる」って感じた瞬間、子どもはまた戦おうと思えます。 東大や医大に合格した子どもの多くがリビング学習をしていたという調査があります。親が良いタイミングで声をかけていることや、がんばっている姿を親に見てもらっているからだと言う考察もあります。「そばで見守る存在の安心感」も、見えないけれど力強い装備です。 4.「一緒に準備する」ことで冒険は始まっている 装備は、1人で集めるより、信頼できる仲間と一緒に選ぶ方が楽しいのは、RPGではお馴染みです。それは、子どもの学習環境も同じです。親が一方的に「これ使いなさい」「ここでやりなさい」と言うのではなく、「どこが集中できそう?」「どのノートが使いやすい?」など一緒に考えることで、子どもは自分の冒険の準備に責任とワクワクを持ち始めます。 そして忘れてはいけないのが、どんなに完璧な装備でも、子どもが「使いたくなるもの」でなければ意味はありません。いくら攻撃力が高くても、重くて使いにくい武器では勝てないのと一緒で、その子にとってのベストを一緒に見つけ出すことが、装備選びのゴールです。 勉強は、RPGで言うところのバトルです。装備をしっかり整えておけば、子どもは自然と「挑戦する姿勢」になっていきます。親の役目は、剣を持たせることではなく、「剣を持つ気持ちになる」ようにすることです。環境という名の土台を築いてあげること、それが、あなたの子どもがラスボスに、笑って向かっていける一歩になります。 森知香 メンタルトレーナー・講演家・YICTフォレスト合同会社代表 【関連記事】 ■「失敗させたくない」が成長を奪う―RPGに学ぶ親の“ちょうどいい関わり方” (森知香 メンタルトレーナー) https://sharescafe.net/63153166-20260419.html ■「うちの子、尊い」でいい!子どもを伸ばす“親バカ力”のすごい効果 (森知香 メンタルトレーナー) https://sharescafe.net/63153166-20260419.html ■RPGに学ぶ、子どもの勉強モチベを盛り上げる親の“演出”術 (森知香 メンタルトレーナー) https://sharescafe.net/63144891-20260415.html ■110万円の家賃を払う板野友美さんとヤクルト高橋奎二さんの判断が正しい理由。(中嶋よしふみ ファイナンシャルプランナー) https://sharescafe.net/62674731-20250930.html ■世帯年収1560万円の共働き夫婦は、9540万円の湾岸タワーマンションを買えるのか? その1・生活費は年間800万? (中嶋よしふみ ファイナンシャルプランナー) https://sharescafe.net/61186482-20240125.html ■プロフィール 森知香 メンタルトレーナー・講演家・YICTフォレスト合同会社代表 ![]() Instagram https://www.instagram.com/morichika_1223 @morichika_1223 公式サイト https://morichika.jimdosite.com/ シェアーズカフェ・オンラインからのお知らせ ■シェアーズカフェ・オンラインは2014年から国内最大のポータルサイト・Yahoo!ニュースに掲載記事を配信しています ■シェアーズカフェ・オンラインは士業・専門家の書き手を募集しています。 ■シェアーズカフェ・オンラインは士業・専門家向けに執筆指導を行っています。 ■シェアーズカフェ・オンラインを運営するシェアーズカフェは住宅・保険・投資・家計管理・年金など、個人向けの相談・レッスンを提供しています。編集長で「保険を売らないFP」の中嶋が対応します。 |



