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「中学受験は本当にパフォーマンスが高いのか?」5人の子の父であり、自身も受験で悩んだ経験のある医師の蓮池林太郎氏は、加熱する中学受験に警鐘を鳴らします。盲目的に中学受験を選ぶのではなく、タイパ・コスパ・リスパ(リスクパフォーマンス)の3つの指標を戦略的に検討すべきだと、蓮池氏は言います。そう考えていくと、中学受験ではなく公立中学からの大学受験という戦略が高パフォーマンスだというのが蓮池氏の持論です。

この記事では、公立中学に進んだ後、大学受験での合格の可能性を高めるにはどのような過ごし方をするべきかについて、著書『塾講師が言わない子どもを苦しめない受験戦略』(蓮池林太郎・セルバ出版)から再編集してお届けします。

塾講師が言わない子どもを苦しめない受験戦略
蓮池 林太郎
セルバ出版
2025-11-27


■高パフォーマンスを実現する公立中学生活
*高校の選別方法
私は、中学受験ではなく公立中学校からの大学受験戦略が高パフォーマンスだと考えています。ここでは、どういった公立中学校生活を送り、家族はどういったサポートをしていくべきなのか、具体的な方法論をお伝えしたいと思います。

まず念頭に置いておきたいポイントがひとつ。それは、必要以上に偏差値の高い高校を目指さないことです。「現状の学力では届かないが、塾や家庭教師など課金力を全力で発揮すれば進学可能」といったレベルの高校を目指すことはお勧めしません。

いい高校に行かせることは目標ではなく手段のひとつに過ぎないことを忘れてはなりません。子どもの学力に比してレベルの高い高校に進学してしまうと、周りのレベルに圧倒されて成績不振に陥るリスクが高まってしまいます。

子どもの学力とちょうどいいレベル感の学校、あるいは現状で悠々と入れるような高校を目指すほうが、リスク幅を狭めパフォーマンスを高めることができます。

もちろん、数値化された偏差値や成績表だけを見て高校を絞っていくのは得策ではありません。子どもの性格に合っているか、子どもの得意なことが活かせるか、アクセスの利便性や学校活動の様子や雰囲気など、さまざまな視点から高校を評価し選定していくことは必須です。

子どもに任せきりではなく、親も一緒になって考えていきましょう。大学への指定校推薦枠が充実しているかや、公募推薦や総合型選抜への対策にも力を入れているか。これも重要な見極め材料となります。

とくに一般受験に対応する力が低く勉強を苦手としている子どもの場合、大学受験は指定校推薦を本線と想定しておくべきです。さほど知られていない高校でも、有名大学の推薦枠をいくつも持っています。そういった細部まで情報をサーチし、実際に高校へ足を運んで担当者に話をうかがうようにしましょう。

■勉強が苦手なら補習塾一本
勉強のほうは、中学校の内申点は高く取っておくことに越したことはありません。高校受験の対策塾は中学受験のそれとは異なり、一般入試の筆記試験対策中心の進学塾と、内申点対策中心の補習塾にわかれます。

両方の特色を取り入れている塾もあります。勉強が得意な子もしくは普通な子であれば進学塾に通い、普通な子もしくは苦手な子であれば補習塾に通うことが一般的です。補習塾では、通っている中学校の定期テスト対策や、提出物の確認など、日々の学習サポートを徹底してくれます。

私立高校の専願、併願優遇にしろ、公立高校の推薦入試や一般入試にしろ、内申点が評価対象となります。勉強が普通の子の場合、英語と数学の成績から、志望する高校をフリー受験の一般入試で合格することは困難と判断したら、補習塾に専念して、内申点を上げることに集中する戦略へと切り替えるのもひとつの手です。

英語検定や漢字検定といった検定試験にも力を入れましょう。これらは推薦入試の評価につながりますし、受験対策にもなるので一石二鳥です。落ちてもデメリットはないですし、何度でもチャレンジできる点も魅力。学校や補習塾とも連携して対策し合格を目指しましょう。数千円で受けられるのですからここにお金をかける価値は十分にあります。一般的に、英検も漢検も3級以上をもっていると、推薦時の加点対象となります。

また中学校の成績から、将来目指せる大学のレベルも見えてくるようになります。5段階評価として、関東の大学でだいたいのレベルを示すと次のようになります。

オール5:早慶レベル
4と5混在:MARCHレベル
オール4もしくは3と4混在:日東駒専
オール3:大東亜帝国
2と3混在:Fラン

ただし念を押しますが、これはあくまで大学受験時の目安です。高校受験では、必要以上に高いレベルの高校を目指す必要はありません。

■高パフォーマンスは私立単願
受験方式としては、パフォーマンスだけを見るなら私立高校の単願推薦が最高です。どのレベルの私立高校が適切かは個々の能力次第ですが、コスパ・タイパ・リスパの3指標だけにフォーカスして受験戦略を練るなら、私立単願推薦に叶うものはありません。

私立単願に絞る理由は、公立高校との併願優遇で推薦を取るとなると、単願よりも合格基準が厳しめになってしまうからで、もっとも私立単願が合格しやすいでしょう。

公立高校を受験するには、一般入試の筆記試験対策と内申対策の両方を行わなくてはいけませんが、私立専願なら内申対策に集中することができます。また、東京を中心とした多くの私立高校の推薦入試は、3年生時の成績が評価対象となります。1年生と2年生時の成績は問われない分、受験勉強に本腰を入れる期間が短く済むので、タイパに優れているといえます。

このことから、「3年生の4月から11月に実施される定期試験」だけ集中的に対策を積んでおけば、より希望の高校への推薦合格の可能性が上がることになります。あらかじめこの期間の試験範囲を把握しておき、補習塾などを活用して重点的に早期から対策することもできます。

私立高校の一般入試は最難関校を除いて国語・数学・英語の3科目受験のみ、公立高校は国語・数学・英語・理科・社会の5科目受験に加えて内申点で評価されます。中学受験と比較しても、私立高校の単願は非常にパフォーマンスが高いといえます。

私は中学受験で私立中高一貫校に入りました。この母校も高校からの推薦入試があり、2024年度の単願推薦は主要5科目20以上の内申点で、合格率は1.0倍でした。

正直、この数字にはショックを受けました。「あれだけ中学受験勉強を頑張ったのに……これなら公立中学校に行って定期テストをきちんとこなして、単願推薦を受けたほうがよっぽど楽だったのではないか」と感じたものです。もちろん、当時と現在では倍率も違ってくることでしょうし、今後は人気化して1.0倍にはならないと思われますが。

とにかく、このような現状を加味すると、中学受験よりも高校受験で力を入れるのが、親にとっても子どもにとっても負担は圧倒的に少ないといえます。私自身、最近まで私立高校に単願で入ることができるとは知りませんでした。中学受験しか経験していない方で、私のような知識レベルの方は多いのではないでしょうか。

普通は、公立高校で偏差値高めのところを狙い、私立高校は滑り止めで併願がセオリーのようですが、公立高校を目指す必要性をあまり感じません。

しかし、何度もいうように、高校は必要以上に高いところを狙う必要はないのです。大事なのは大学、そしてその先なのです。勉強が得意な子なら、中学入学前から私立単願で入ることを決めておいて、中学生の頃から大学受験に向けて英語や数学などの中高一貫校向けの塾などで先取り学習を続けていくこともできます。

以上はあくまで高パフォーマンスだけを追い求めた上での私立単願戦略です。子どもの学力や、住んでいる地域、進みたい希望進路によっては、戦略はいくらでも変えることができます。


蓮池 林太郎 医師・作家・新宿駅前クリニック院長


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■プロフィール 蓮池 林太郎 医師・作家・新宿駅前クリニック院長
1981年生まれ、帝京大学医学部卒業。病院勤務を経て、2009年新宿駅前クリニックを開設。医療法人社団SEC理事長、新宿駅前クリニック院長。
医者としてのキャリアとインターネット分野の知識を掛け合わせ、ホームページ、ウェブメディア、書籍などを通じて、クリニック開業、病院選び、生き方、婚活など独自の視点から情報発信を行っている。これまで10冊ほどの書籍を出版。
2017年からはクリニック開業コンサルティングも提供を開始、100人以上の医師からの相談実績がある。
子どもが5人おり、教育についても独自に情報収集を行い、コスパ・タイパに優れた受験戦略を研究している。


塾講師が言わない子どもを苦しめない受験戦略
蓮池 林太郎
セルバ出版
2025-11-27


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