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市場の縮小や人手不足により、ビジネス環境が年々厳しくなっていく中、中小企業は限られたリソースで最大の成果を上げる必要に迫られています。顧客の新規開拓という壁にぶつかり、掛け声ばかりで成果が上がらず、社内には閉塞感が漂い、営業と製造が互いに責任を押し付け合う…。

そんなジリ貧の状態から、わずか半年で「儲かり体質」へと脱皮させたコンサルティング事例を持つのが、展示会営業の専門家で中小企業診断士の清永健一氏。展示会出展のプロセスを通じて、組織そのものをアップデートした実例を、氏の著書『展示会のプロが発見!儲かっている会社は1年に「1回」しか営業しない!』から再構成してお届けします。



■20年後の未来を語り合うことで始まった意識改革
電子部品の製造会社をコンサルティングした時のことです。この企業では、出展に向けた準備の過程で、部門横断的なプロジェクトチームを結成しました。かつては社長が一方的に指示を出し、社員はそれをこなすだけという関係でしたが、展示会営業を導入したことで、まず社員一人ひとりの「顔つき」が変わったのです。

展示会の準備は、まるで文化祭の準備に熱中する学生のような熱気を帯びていきました。その中心にあったのが、「20年ビジョン」の共有です。社長と社員が「20年後にどんな会社でありたいか」を本音で語り合ったとき、それまで「単なる電子部品の製造会社」だと思っていた自社に、無限の可能性があることに全員が気づきました。

中小企業では常に意識改革が叫ばれていると言っても過言ではありませんが、ただ意識を変えろと言われたところで、何かきっかけがなければ難しいものです。その点、展示会への出展は分かりやすい一つの目的を示すことができる上に、共同作業を生み出してくれます。加えて、ビジョンを共有したことで、社員の中に自然と「自分たちが主体的に動く」という意識が芽生えた、これは展示会営業を導入したからこその大きな成果です。

以前は見込み客が何に悩んでいるかを誰も把握していませんでしたが、出展プロジェクトチームのメンバーは自ら顧客のもとへ足を運び、「何に困っていますか?」と聞きに行くようになりました。顧客の悩みに寄り添うという本質を社長と社員が共に理解したことで、会社経営そのものに意識改革が起こり、儲かり体質への第一歩を踏み出したというわけです。

■若手社員が転職を思いとどまった「自己実現」の獲得
組織が変わる際に、最も顕著な成果が出るのは若手社員のモチベーションです。とある企業の営業担当であるA君は仕事に面白みを感じられず、内定をもらって転職する寸前でした。しかし、展示会営業の実践を通じて、彼は転職を辞退することに決めます。理由は実にシンプルで、「仕事が最高に面白くなった」からだと語ってくれました。

A君を突き動かしたのは、以下の3つの要素だったと言います。

(1)自分のアイディアが形になる喜び
展示会出展のプロジェクトチームとして、ブースのキャッチコピーや体験アトラクションのアイデアを出したところ、それが実際に採用されました。これまでアイディアを求められることがなかった彼にとって、自分の意見が会社に貢献する経験は、強烈な自己肯定感につながったそうです。

(2)ゲーム化による達成感
展示会当日、営業の一環として名刺の獲得数を競うゲーミフィケーションを取り入れたことで、負けたくないという向上心が刺激され、自ら工夫して動くようになりました。展示会場はいつもの営業とは違うフィールドですから、場の雰囲気を新鮮に感じたことも大きかったようです。

(3)感謝されるという実体験
顧客から「ぜひお願いしたい」と求められる経験や、自らのプレゼンに耳を傾けてもらう経験を通じて、自分の仕事が社会に必要とされているという自信を深めました。展示会場では、飛び込み営業のように嫌な顔をされることがなく、興味を持って顧客から質問をしてくれることもあるため、営業側もダイレクトに喜んでもらえるアプローチがしやすいのです。

自信を持ったA君は、さらにブースに自分の写真を大きく掲げたり、YouTube動画に出演したりすることで、「自分自身が会社の顔である」というプライドを持つようになりました。展示会への参加を通して、仕事が「こなすべき義務」から「自己表現の場」へと変わった瞬間に立ち会えたことは、私にとっても嬉しいコンサルティング事例です。

■部門間の壁を打ち破る「顧客視点」の共有
中小企業の多くが抱える問題の一つに、部門間のセクショナリズムがあります。特に「売る側」の営業と「作る側」の製造は対立しがちです。しかし、とある中小企業の開発製造部長B氏は、展示会営業を通じてその考えを180度転換させました。

以前のB氏は「良いものを納期通りに作ること」だけが自分の仕事だと思い、営業が取ってくる低価格・短納期の注文に怒りを感じていました。しかし、出展コンセプトを練り上げる中で、「顧客がなぜ困っているのか」を真剣に考えるようになったのです。その結果、以下のような効果がありました。

(1)顧客理解と現場へのフィードバック
自ら顧客のもとへ出向き、対話を重ねることで、顧客のニーズを理解した上で、開発や改良のアイデアが次々と湧いてくるようになりました。

(2)営業との共闘
「小さな会社は部門間でケンカをしている場合ではない」と気づき、営業担当の同行にも積極的に応じるようになりました。

(3)サプライヤーの開拓
展示会は顧客を見つけるだけでなく、新しい仕入れ先や外注先を見つける場にもなるため、プロジェクトチームのメンバーとして参加したことで、製造現場としてダイレクトなメリットも享受できました。

製造部が営業をサポートし、共に顧客の課題解決に挑むという「全員営業」の体制が自然に構築されたことは、わずか半年で5社の新規顧客を獲得するという驚異的な成果に結びつく土台になりました。

■数字以上の成果が、会社を「儲かり体質」にする
このように、展示会営業を導入した各社が手にしたのは、売上という数字だけではありません。社長がワクワクし、若手が誇りを持ち、製造現場が顧客を見つめるという「組織の進化」こそが、中長期的に効いてくる最大の果実なのです。

この変化は、「オーケストラの指揮者と演奏者の関係」に似ています。指揮者(社長)が楽譜を押し付けるだけでは良い音は響きませんが、全員で「最高の音楽を届けよう」というビジョンを共有し、各パート(部門)が互いの音を聴き合うようになったとき、観客(顧客)を感動させる素晴らしい交響曲が生まれる。

展示会営業は、単なる営業手法の枠を超え、会社の文化そのものを書き換える力を持っています。もし、新規開拓に悩み、組織の活力を失っている会社があるのならば、ぜひ一度立ち止まって「20年後のビジョン」を社員と共に語り合うことから始めてみていただきたいです。その情熱は、必ず展示会のブースを通じて顧客に伝わり、会社を劇的な復活へと導くでしょう。


清永健一 株式会社展示会営業マーケティング代表取締役 中小企業診断士 展示会営業(R)コンサルタント


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【プロフィール 清永健一 株式会社展示会営業マーケティング代表取締役 中小企業診断士 展示会営業(R)コンサルタント】
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神戸大学経営学部卒。展示会を活用した売上アップの技術を伝える専門家。支援先企業からは、集客・受注・売上が大幅に増加したと好評の声が多数あがる。「日経MJ」、「NHKラジオ総合第一」など取材多数。支援実績は1300社超。ほぼ毎週東京ビッグサイトに出没している。
NHKラジオ総合第一で展示会の未来について言及するなど、展示会業界活性化にも尽力。展示会活用に関してテレビ等出演のほか、行政、公益法人、金融機関などで講演多数。
著書『最新版 飛び込みなしで新規顧客がドンドン押し寄せる展示会営業術』、『展示会のプロが発見!儲かっている会社は1年に1回しか営業しない』など合計7作はいずれもamazon部門1位を獲得。奈良生まれ、東京在住。

公式サイト https://tenjikaieigyo.com
X:https://x.com/tenzikai @tenzikai




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