![]() ■ビジネスを劇的に変える「出会いの場」の真実 営業の現場において、理想的な状況とはどのようなものでしょうか。例えば、「新しいお客様との出会いが多すぎて、対応が追いつかない」「毎日あちこちから提案に来てほしいと声がかかり、営業部門の人数が足りなくて困っている」といった、うれしい悲鳴があがるような状態かもしれません。しかし、残念ながらこのような状況からは程遠いというのが、多くの中小企業の本音だと思います。 これまで私は多くの企業の営業現場を見てきましたが、共通して抱えている最大の悩みは、「見込み客との出会いが少ない」という点に集約されます。「自社の商品やサービスの良ささえ知ってもらえれば、必ず喜んでもらえるはずなのに、そもそもそのきっかけが掴めない」というもどかしさを、実に9割以上の企業が感じているのが現実です。 新しいお客様と出会うための手法は、世の中に数多く存在します。例えば、飛び込み営業やテレアポ、ダイレクトメールといった、こちらから攻めていく「プッシュ型」の手法。そして、広告やウェブサイト、SNSなどを通じて相手からの反応を待つ「プル型」の手法です。しかし、これらにはそれぞれ弱点があります。 プッシュ型は、人手不足が深刻な現代においては人海戦術に頼らざるを得ず、どうしても強引な印象を与えてしまいがちです。一方で、プル型は買い手からの反応を待つという性質上、どうしても受け身になってしまいます。特に、法人を相手にするビジネスにおいては、なかなか活用しにくい面もあるでしょう。自社にとってベストな営業方法について、中小企業は常に頭を悩まされている状態です。 ■展示会という「第三の道」の可能性 そこで、プッシュ型でもプル型でもない、新しい出会いの形として注目したいのが「展示会」です。東京ビッグサイトや幕張メッセといった広大な会場で開催される展示会には、特定のテーマに強い関心を持つ、数千から数万という単位の人々が集まります。そこには、普段ならなかなか会うことのできない企業のキーマンも含まれているかもしれません。 そうした魅力的な見込み客と直接、顔を合わせて対話ができる場所。それが展示会という空間です。実際に、展示会を「出会いの場」として正しく活用することで、驚くような成果を上げている企業は存在します。出展コストの33倍もの売上を実現した企業や、受注件数を数倍にまで伸ばした企業など、その成功事例は枚挙にいとまがありません。 しかし、その一方で、残念ながら全ての企業がこのような果実を手にしているわけではないのも事実です。せっかく大きな予算と時間を投じて出展しても、全く売上につながらず、「展示会なんてお金と時間の無駄だ」と肩を落としてしまうケースも少なくありません。 賑わっているブースと、閑古鳥が鳴いているブース。その差は一体どこにあるのでしょうか。扱っている商材の性能が劇的に違うからでしょうか。いいえ、決してそうではありません。そこにあるのは、展示会で成果を上げるための「正しいやり方」を知っているか、知らないかという、たったそれだけの違いなのです。 ■展示会はビジネスの縮図である 展示会場を歩いていると、ビジネスの本質が浮き彫りになる瞬間があります。実は、展示会という場所は「ビジネスの縮図」そのものなのです。展示会で成果を上げるための考え方は、そのまま普段のマーケティングや営業活動にも転用することができます。 例えば、展示ブースの前を通る来場者を惹きつけるためには、わずか「3秒」が勝負だと言われています。来場者が通路を歩くスピードを想像してみてください。目の前のブースを認識し、通り過ぎるまでの時間は物理的におよそ3秒しかないのです。その一瞬で足を止めてもらえなければ、その後のビジネスチャンスは永遠に失われてしまいます。 これは、あらゆるビジネスに通じる真理ではないでしょうか。どんなに素晴らしいサービスであっても、まず興味を持ってもらわなければスタート地点にすら立てません。展示会という閉鎖空間では、普段の営業活動では曖昧になりがちな「お客様に興味を持ってもらう」というプロセスの重要性が、よりシビアに突きつけられるのです。 だからこそ、展示会で成果を出すための正しい作法を学ぶことは、会社全体の営業力を底上げすることに直結します。資金力や人数で大企業に劣る中小企業であっても、やり方次第で大企業を凌駕するような成果を上げることが十分に可能なのです。 ■「展示会で成果が出るなんてありえない」という誤解 「展示会で成果が出るなんてありえない。うちは付き合いで出展しているだけだよ」という声を耳にすることがあります。実際に展示会に挑戦して苦い思いをしたことがある企業ほど、そう強く感じているかもしれません。 確かに、出展するにはそれなりの費用がかかります。準備には膨大な時間が割かれますし、開催期間中はスタッフが他の仕事に手を付けることもできません。それだけの労力をかけても成果が約束されていないのであれば、そう言いたくなる気持ちも十分に理解できます。 しかし一方、全国で毎日どこかの会場に多くの企業や来場者が集まり続けているのはなぜでしょうか。もし本当に意味がないのであれば、これほど巨大な市場として存続しているはずがありません。つまり、失敗を経験した方の多くは「展示会における真実」に気づかないまま、空回りしてしまっている可能性が高いのです。 その真実の1つは、「来場者は基本的にブースに立ち寄りたくない」と思っているという点です。出展する側は、来場者が情報を求めて積極的に寄ってきてくれると期待しがちですが、実際には、来場者は「売り込まれたくない」「怖い目つきで獲物を狙うようなスタッフに捕まりたくない」という警戒心を持っています。 もう1つの真実は、「展示会場で商品が売れることはまずない」ということです。「とにかく今日ここで売上を上げたい」と意気込みすぎると、来場者の気持ちを無視して強引に名刺交換を迫ったり、延々と商品説明をしてしまったりします。しかし、お祭り気分で会場を回っている来場者は、後日電話をしても、その時の説明を全く覚えていないことがほとんどです。 こうした前提を知らずに展示会へ挑んでも、成果を出すことは難しいことがお分かりいただけるでしょう。しかし裏返せば、正しい攻略方法を知っていることが何より大事だということもまた、お分かりいただけるのではないでしょうか。 ■成功への第一歩を踏み出すために 成功するためには、まず「正しいやり方」があるということを知っていただきたいと思います。実のところ、高額な予算や特別な才能が必要なわけではありません。大切なのは、展示会という特殊な環境におけるルールを理解し、適切な準備を行うことです。 例えば、多くの企業が、展示会が終わってから「さて、獲得した名刺をどうしようか」と考え始めますが、それでは遅すぎます。成果を上げる企業は、出展する前の段階で、当日どのように動くか、そして終わった後にどのようにフォローするかというプロセスを、全て一気通貫で設計し終えているのです。 具体的には、「誰の、どのような悩みを解決するブースなのか」を、パッと見て3秒で伝わるように工夫する。それだけで、ブースに集まる人の数は劇的に変わります。綺麗なブースを作ることよりも、来場者が日頃心の中でつぶやいている「悩み」に共感し、その解決策を提示することの方が、はるかに強力な引き寄せの力になります。 とにかくお伝えしたいのは、展示会は費用対効果の低い営業方法ではなく、やり方次第で会社の未来を大きく変える最高の営業ツールになるということです。低予算であっても、正しい戦略を持って臨めば、大きな成果を手にすることは決して夢ではありません。それだけでなく、企業体質そのものを見直すきっかけにもなる営業方法ですから、まずは展示会というビジネスの縮図に向き合ってみることから始めていただければと思います。 清永健一 株式会社展示会営業マーケティング代表取締役 中小企業診断士 展示会営業(R)コンサルタント 【関連記事】 ■転職寸前の若手が「仕事が最高に面白い」と残留…展示会営業が生んだ意外な組織改革 (清永健一 中小企業診断士) https://sharescafe.net/63214287-20260517.html ■中小企業を儲かり体質に変える展示会営業で営業活動を年1回に凝縮せよ (清永健一 中小企業診断士) https://sharescafe.net/63142660-20260414.html ■中小企業が文化祭ムードで儲かり体質に変わる「展示会マジック」(清永健一 中小企業診断士) https://sharescafe.net/63078136-20260318.html ■110万円の家賃を払う板野友美さんとヤクルト高橋奎二さんの判断が正しい理由。(中嶋よしふみ ファイナンシャルプランナー) https://sharescafe.net/62674731-20250930.html ■世帯年収1560万円の共働き夫婦は、9540万円の湾岸タワーマンションを買えるのか? その1・生活費は800万? (中嶋よしふみ ファイナンシャルプランナー) https://sharescafe.net/61186482-20240125.html 【プロフィール 清永健一 株式会社展示会営業マーケティング代表取締役 中小企業診断士 展示会営業(R)コンサルタント】 神戸大学経営学部卒。展示会を活用した売上アップの技術を伝える専門家。支援先企業からは、集客・受注・売上が大幅に増加したと好評の声が多数あがる。「日経MJ」、「NHKラジオ総合第一」など取材多数。支援実績は1300社超。ほぼ毎週東京ビッグサイトに出没している。 NHKラジオ総合第一で展示会の未来について言及するなど、展示会業界活性化にも尽力。展示会活用に関してテレビ等出演のほか、行政、公益法人、金融機関などで講演多数。 著書『最新版 飛び込みなしで新規顧客がドンドン押し寄せる展示会営業術』、『展示会のプロが発見!儲かっている会社は1年に1回しか営業しない』など合計7作はいずれもamazon部門1位を獲得。奈良生まれ、東京在住。 公式サイト https://tenjikaieigyo.com X:https://x.com/tenzikai @tenzikai シェアーズカフェ・オンラインからのお知らせ ■シェアーズカフェ・オンラインは2014年から国内最大のポータルサイト・Yahoo!ニュースに掲載記事を配信しています ■シェアーズカフェ・オンラインは士業・専門家の書き手を募集しています。 ■シェアーズカフェ・オンラインは士業・専門家向けに執筆指導を行っています。 ■シェアーズカフェ・オンラインを運営するシェアーズカフェは住宅・保険・投資・家計管理・年金など、個人向けの相談・レッスンを提供しています。編集長で「保険を売らないFP」の中嶋が対応します。 |



