![]() 経営コンサルタントで士業(特定行政書士)としても20年以上のキャリアをもつ横須賀輝尚氏は、開業当初からWEBマーケティングを強みとして活動し、生成AIが登場するとすぐに業務に活用、研究を深めてきました。 生成AIの本質を理解したうえで、AIに淘汰されるのではなく、むしろそれを活用して生き残るために士業はどうすればいいのか?同氏の新著『生成AI時代に士業が生き残る技術』(TAC出版)より、一部抜粋・編集してお伝えします。 ■いまこそ、士業とその仕事を再定義する 結論から言いましょう。「生成AIによって士業の業務がなくなってしまうのか?」。この問いに関しての答えは、 「すべての仕事がなくなる可能性は極めて低いが、大多数の士業の業務は常に生成AIに代替される可能性を強く持っている」 ということになります。最初に整理しておきましょう。 (1)士業のすべての業務がなくなる可能性は極めて低い (2)それでもなお、士業の業務は奪われる可能性を持っている (3)確実に残るジャンルと、代替可能性が高い業務がある 分類すると、士業の業務の未来はこの3つに分けられます。 具体的にどのような業務がなくなってしまうのか? どのようにすれば、士業として生き残れるのか? まずは「そもそも論」と士業の歴史を解説していきます。 ■なぜ、具体的な生成AIの解説をすぐ始めないのか? 「生成AIの台頭で、士業の仕事はなくなってしまうのか?」という問いを冒頭に挙げている通り、生成AIの影響は大きいと言えます。 しかし、士業の仕事がなくなるとしても、それは生成AIだけが要因ではないのです。これまでの複雑な社会情勢、士業事務所の運営のすう勢、こうした状況と影響のもと、生成AIが現れたのです。ですから、生成AIによって士業の業務がなくなるかどうかの議論は、生成AIの話だけでは成立しません。これまでの士業の歴史や、社会背景などのバックグラウンドと密接に関係しているということを見落としてはならないのです。 そして何より、そもそも論を語るべき理由は、ほとんどの士業がいまの状況について危機感を持っていないからです。言い換えれば、いま起きている事象を自分ごとに考えることができていないから、とも言えます。 つまり、これは士業に対しての問題提起であり、警鐘でもある、ということです。加えて、意識を変えられるか? 新しい未来に向かって自分を変化させられるか? 変わりゆく未来のなかで、自分自身が士業を再定義することも求められてきます。 ■AIに奪われるのは仕事ではない 「すべての業務がなくなる可能性は極めて低い」と言いました。これは割と確実な未来だと言えます。しかし、現時点での主要業務がなくなる可能性は十分にあります。数ヶ月後には、もう何かしらの業務が何かしらのテクノロジーに代替されてしまっている可能性もあるでしょう。 それでもなお、おそらくゼロにはなっていません。だからこそ、別の士業の業務にしがみついている士業も残っているはずですし、何も気づかずに事務所経営を続けている士業もいるでしょう。 だから、「士業の業務はなくなってしまうのか?」というのは、正しい問いではないのです。正しくは、さまざまな要因に加えて、 「生成AIによって、あなたの仕事、収入がなくなってしまうのか?」 という問いなのです。危機感を持てていない、自分ごとに考えられていない。「生成AIで士業の仕事がなくなる」と聞いて、確かにそうかもしれない、と思った人の半数以上が、それでもなお他人事なのです。 2022年11月にChatGPTが台頭してから、約3年半の月日が経ちました。思ったほど、生成AIに奪われてしまった分野はありません。世の中は騒いでいるようだけど、自分の事務所は成り立っているなら危機感も持てないでしょう。 ■優れたテクノロジーで静かに仕事はなくなる この「成り立っている」、いえ「成り立ってしまっている」ことが危機感を持つことを阻んでいるのです。優れたテクノロジーひとつで、一夜にして仕事がなくなることは、他分野では日々起きています。 そして、本当の意味で世の中が変わるには時間がかかります。革命的な技術ができても、日本全国に広まるまでには時間がかかるのです。 例えば、いまではほとんどの日本人が使っていると言われるコミュニケーションツールの「LINE」も、定着するまでに1年かかっています。これはかなり早いほうですが、いつの間にか当たり前のことになっている。士業の仕事も同じで、静かに、緩やかに仕事はなくなっていく。これまでの歴史がそれを証明しています。 ■数百万円のコストが雲散霧消する衝撃 他分野の例で本当にわかりやすいもののひとつに動画の編集という仕事があります。動画共有サイトとして始まった「YouTube」。YouTubeの投稿者は「YouTuber」と呼ばれ、一時は動画投稿の広告収益で食べていける職業にまでなりました。 2026年には、YouTubeだけで食べていけるのはほんの一握りの人気YouTuberだけとなり、誰でも一攫千金とはいかなくなりました。 2010年頃には「HIKAKIN」などの人気YouTuberが台頭し始め、2014年頃には「YouTuber」という職業は世間的にも認知されたと言われています。2017年頃には、子どもたちの「将来なりたい職業」調査で、YouTuberが上位にランクインして話題になりました。YouTubeで高収入を狙えることも含めて、この熱狂を覚えている人も多いでしょう。 このYouTuberの陰で貢献してきたのが、動画編集者と言われる職業です。なかには、撮影も編集も自分で行うYouTuberもいますが、動画を大量投稿する場合には、どうしても分業にならざるをえなくなりました。そのため、動画編集は大きなニーズとなりました。 動画編集の仕事は、その編集内容にもよりますが、1本数千円から1万円、2万円は取れる仕事です。単純計算で、仕事として年間200本以上の編集を受託できれば、それだけでも食べていける仕事となりました。テロップを付け、効果音を入れ、細々とした作業をやってもらえるのは、YouTuberにとってとてもありがたい存在です。YouTuberが活動を続けている以上、食いっぱぐれもなく、一時期は「動画編集者養成講座」というような研修も流行ったほどです。 しかしながら、この状況をテクノロジーが変えます。これまでの編集は、専用ソフトを使って、手作業で編集をしていくものでしたが、生成AIを使ったツールはそれらの作業をすべて効率化させます。 例えば、生成AIが搭載された動画編集ソフトを使えば、動画ファイルをアップロードするだけで、自動的に言語を認識し、文字テロップが付きます。簡単なセミナー、トーク式の動画編集であれば、もう外注する必要はなく、 IT・AIリテラシーが低い人でも、簡単に編集ができるようになったわけです。このあたりは、体感してみないとわからないので、無料版を実際に使ってみるべきです。 有料版であっても、月額1,000円台のプランがありますので、年間の編集コストを数千円から数万円までに抑えることが可能になり、動画数が少なければ無料で使えます。年間数百万円だったコストを数千円、数万円まで下げることができるのであれば、当然、外注するよりも、自分でやるか社員やアルバイトを教育してソフトを使えるようにしたほうが、はるかにコスパがよい。こうして、さまざまな分野で一夜にしてゲームチェンジが行われているのです。 裏を返せば、一瞬で数百万円の収入を失った動画編集者が存在するということです。しかも、その事実が表に出てくることはほぼありません。まれに「収入がなくなりました」みたいなSNS投稿をして、インプレッションを集めて再起を図ろうとする強者もいますが、多くは静かにほかに収入の手立てを探すことになるわけです。だから、こうした影響を実感することが少ないのです。 どうして、これが士業にも起こらないと断言できるのでしょうか。士業も確実にこうなる可能性を持っているわけです。 横須賀輝尚 士業専門の経営コンサルタント・パワーコンテンツジャパン株式会社 代表取締役・特定行政書士・Gensparkインダストリーアンバサダー 【関連記事】 ■資格で稼ぐなら「変」と言われるのを恐れるな。徹底した顧客目線で分かること (横須賀輝尚 経営コンサルタント) https://sharescafe.net/63303406-20260628.html ■士業コンサルタントが3カ月の独学で行政書士に合格した資格勉強法 (横須賀輝尚 経営コンサルタント) https://sharescafe.net/63281467-20260617.html ■資格を取ってからでは遅い…独立後に稼げない人が知らない「受験前のリサーチ」 (横須賀輝尚 経営コンサルタント) https://sharescafe.net/63227606-20260523.html ■110万円の家賃を払う板野友美さんとヤクルト高橋奎二さんの判断が正しい理由。(中嶋よしふみ ファイナンシャルプランナー) https://sharescafe.net/62674731-20250930.html ■世帯年収1560万円の共働き夫婦は、9540万円の湾岸タワーマンションを買えるのか? その1・生活費は800万?(中嶋よしふみ ファイナンシャルプランナー) https://sharescafe.net/61186482-20240125.html ■プロフィール 横須賀輝尚 士業専門の経営コンサルタント・パワーコンテンツジャパン株式会社 代表取締役・特定行政書士・Gensparkインダストリーアンバサダー ![]() 主な著作に「会社を救うプロ士業 会社を潰すダメ士業」(さくら舎)、「資格起業BIBLE」、「『ムダ仕事』も『悩む時間』もゼロにする GPTsライフハック」(共に技術評論社)などがあり、26冊20万部超の著者。2023年から士業のための生成AI・ChatGPT活用研究を開始。 最新刊「生成AI時代に士業が生き残る技術」を2026年6月にTAC出版より刊行。週刊ダイヤモンド、毎日新聞などメディア掲載も多数。 公式サイト:https://yokosukateruhisa.com/ X:https://twitter.com/yokosuka_ai @yokosuka_ai YouTube:https://www.youtube.com/@40lawyers50/ シェアーズカフェ・オンラインからのお知らせ ■シェアーズカフェ・オンラインは2014年から国内最大のポータルサイト・Yahoo!ニュースに掲載記事を配信しています ■シェアーズカフェ・オンラインは士業・専門家の書き手を募集しています。 ■シェアーズカフェ・オンラインは士業・専門家向けに執筆指導を行っています。 ■シェアーズカフェ・オンラインを運営するシェアーズカフェは住宅・保険・投資・家計管理・年金など、個人向けの相談・レッスンを提供しています。編集長で「保険を売らないFP」の中嶋が対応します。 |



