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「AIに仕事を奪われる」。生成AIの台頭で、この危機感がすでに現実のものとなりつつある昨今。さらに、自ら考え自律的に行動するAIエージェントの登場により、税理士や社会保険労務士といったいわゆる「士業」の仕事は、どんどん代替されていく可能性が高まっています。

経営コンサルタントで士業(特定行政書士)としても20年以上のキャリアをもつ横須賀輝尚氏は、開業当初からWEBマーケティングを強みとして活動し、生成AIが登場するとすぐに業務に活用、研究を深めてきました。

生成AIの本質を理解したうえで、AIに淘汰されるのではなく、むしろそれを活用して生き残るために士業はどうすればいいのか?同氏の新著『生成AI時代に士業が生き残る技術』(TAC出版)より、一部抜粋・編集してお伝えします。

生成AI時代に士業が生き残る技術
横須賀輝尚
TAC出版
2026-06-30


■かつてのコンサルティング業務は成立しなくなった
生成AIの登場以前は、士業がセミナーやコンサルティング業務に取り組めば、大きく稼ぐことができました。

セミナーやコンサルティング業務に取り組めば、派生的に士業の案件が生まれることがあり、結果として相乗効果を生みます。ですから、士業の業務と親和性が高いセミナー、コンサルティング業務は士業が取り組むのには最適だったのです。

しかしながら、生成AIの登場によって、低価格路線でもない、高付加価値路線でもない、この第3の手法は、厳しい現実を突きつけられることになってしまったのです。

これが生成AIとコロナ禍後のコンテンツの膨大化による急転です。いままでのコンサルティング業が成立しなくなってきているのです。

2025年、経営コンサルティング業者は、過去最大の倒産数となりました。帝国データバンクの調査(「経営コンサルティング業界」の倒産動向(2025年1月〜10月))によると、2025年の1月から10月までに発生したコンサルティング業者の倒産(負債1,000万円以上、法的整理)は146件。過去最大だった2024年の倒産数を確実に超えるペースだと言われています。

負債1,000万円以上、法的整理ということなので、より小さな個人事業主としてのコンサルタントは含みません。ですから、実際は立ちゆかなくなった個人コンサルタントはそれ以上にいるものと推察できます。

重鎮、ベテランと言われる著名コンサルタントも例外ではありません。あまり詳しくは書けませんが、多くのコンサルタントが廃業とまではいかずとも、苦境に立たされているというのが、業界の情報です。

「でも、そういうコンサルタントのSNSなどを見ると、変わらず活動しているみたいだけど……」

確かに、書籍を出版し、メディアに出て、セミナー活動などを行う、いわゆる個人のフリーコンサルタントは、SNSを見る限り、いまも何の問題もなく活動しているように見えます。彼らは特に影響がないようにも思えます。

廃業となれば、当然SNSなどの表舞台からは姿を消すことになる可能性がありますので、どのコンサルタントもおそらく「廃業」まではいっていないと考えられます。それは、各自がファンや信者客と言われるお客様を持っているからです。

有名な経験則のひとつにパレートの法則があります。結果の8割は、全体の2割が生み出すというものです。つまり、極端な言い方になりますが、信者客さえ残っていれば、なんとかなるわけです。

そして、コンサルタントの収益手段だった有料セミナーもことごとく売れなくなり、相談を中心とした顧問契約も解約されることが増えてきました。

これは具体的なデータがあるわけではないのですが、私が士業・コンサルタント界隈から得た情報によるものです。インターネット上にはおそらく出てこないでしょう。しかし、どのコンサルタントも苦境に立たされていることは容易に推察されます。

まずは、この現実を認識してください。そこから古い常識を捨て、意識を変えることが、この先10年の分水嶺になるのです。

別の業界の話ですが、SNSでWebライターの仕事が生成AIにより失われていることが話題になりました。銀行、金融業界では5,000人単位での人員削減、新卒の採用抑制がなされています。要は、相当優秀な人間でなければ、企業はこれから雇わないということです。

この流れは止まるどころか拍車がかかるでしょう。それは当然です。生成AIの能力はこの先も伸び続け、ほとんどの人間を超えてしまうのです。標準的な人間をひとり雇うよりも、高値で課金したとしても、生成AIを導入したほうが、圧倒的にコスパがよく、アウトプットもよいとなると、経営者としてはそちらを選ぶはずです。

では、なぜそうなってしまったのか。

■従来の相談顧問は成立しなくなった
2022年にOpenAIのChatGPTが発表されました。それを追うようにGoogleのGeminiが登場し、チャットでどんなことでも相談できると全国的に話題になりました。

私は会員制の士業向けコンサルティング事業を行っているのですが、会員士業から相談がありました。

「お客様から、『今後は基本的にChatGPTに相談するから、先生の顧問料、値下げできませんか?』という相談があったのです。どうしたらよいでしょうか……?」

というものです。ほかにも、いわゆる通常の相談だけの顧問契約が解約されたという報告もきます。士業に聞くよりも生成AIに聞くほうが楽で簡単、と考える経営者・起業家が増えてきたのです。

ここで生成AIに相談することのメリットとデメリットをまとめてみましょう。

メリットとしては、即レスで回答が返ってくる、原則としてお金がかからない(かかっても月額数千円程度)、コミュニケーションストレスがない、何度でも何回でも何時間でも相談できる、といったことが挙げられるでしょう。

一方デメリットは。回答が正確かどうかわからない、回答の責任の所在がない、あるいは自分で責任を持つことになるというくらいのものです。

こうして見ると、士業に有料で月額何万円も支払って相談するより、メリットははるかに大きいと言えます。やはり「無料」は強い。年間何十万円のコストが、無料もしくは年間数千円、数万円になるのであれば、特に経営者にとって見過ごせる話ではありません。

■「ちょっとした相談」はほぼ生成AIに代替される
仮説ですが、これまで士業がフロントエンドとして拾ってきた「ちょっとした相談」は、ほとんどが生成AIに取られているのではないでしょうか。

「確定申告をしていて、ちょっと仕訳を聞きたいんですが……」
「アルバイトを採用するとき、週2だと労働保険に入る必要はありますか……?」

このような些細な相談です。相談者自身がネットで調べることができても、自分に当てはまるかどうかのジャッジが必要です。そのため、些細なことでも士業に相談し、結果として士業側からすれば、それがビジネスとしてのフロントエンド商品になっていたわけです。

この現象は目に見えませんし、統計もデータも取ることができません。あくまでも推測の域を出ませんが、私の経験則では間違いなく起きていると言え、これからも広がっていくと思われます。

では、相談顧問はもう成立しないのかと言えば、そうとも言い切れません。激安価格の顧問料での契約は成立する可能性はあります。いま、消滅の危機にあるのは、「一般的な回答」をする相談顧問です。

逆に、属人的でその士業にしか相談できない高度な相談業務が可能な場合は、これまでどおりかそれ以上の報酬額を持って成立する事例もあります。ここでは、「これまでどおりの、相談がなければ何もしない一般的な相談顧問」が成立しなくなってきた、という理解があればいいでしょう。

士業の生き残りを考えた場合、相談業務においても「属人的=あなたにしかできない」が鍵になってきます。しかし、まず頭に入れておきたいのは、AIに代替されるかそうでないかに関わらず、これからの時代は「まずAIに聞く」が当たり前になるということです。


横須賀輝尚 士業専門の経営コンサルタント・パワーコンテンツジャパン株式会社 代表取締役・特定行政書士・Gensparkインダストリーアンバサダー


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■プロフィール 横須賀輝尚 士業専門の経営コンサルタント・パワーコンテンツジャパン株式会社 代表取締役・特定行政書士・Gensparkインダストリーアンバサダー
yokosuka
2007年に日本では初めてとなる士業向けに経営スクール「経営天才塾(現LEGALBACKS)」を創設し、2023年現在、全国3000名以上の士業から相談を受け、その相談数は優に2万件以上を超える。
主な著作に「会社を救うプロ士業 会社を潰すダメ士業」(さくら舎)、「資格起業BIBLE」、「『ムダ仕事』も『悩む時間』もゼロにする GPTsライフハック」(共に技術評論社)などがあり、26冊20万部超の著者。2023年から士業のための生成AI・ChatGPT活用研究を開始。
最新刊「生成AI時代に士業が生き残る技術」を2026年6月にTAC出版より刊行。週刊ダイヤモンド、毎日新聞などメディア掲載も多数。

公式サイト:https://yokosukateruhisa.com/
X:https://twitter.com/yokosuka_ai  @yokosuka_ai
YouTube:https://www.youtube.com/@40lawyers50/


生成AI時代に士業が生き残る技術
横須賀輝尚
TAC出版
2026-06-30


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