![]() 経営コンサルタントで士業(特定行政書士)としても20年以上のキャリアをもつ横須賀輝尚氏は、開業当初からWEBマーケティングを強みとして活動し、生成AIが登場するとすぐに業務に活用、研究を深めてきました。 生成AIの本質を理解したうえで、AIに淘汰されるのではなく、むしろそれを活用して生き残るために士業はどうすればいいのか?同氏の新著『生成AI時代に士業が生き残る技術』(TAC出版)より、一部抜粋・編集してお伝えします。 ■「士業=コンサルタント」がサバイブする道だった 「生成AIで士業の仕事がなくなるのか?」というのは現在の士業にとって命題のひとつですが、私が開業した2003年頃にも似たような話題がありました。 それは、「電子申請が始まれば、士業の仕事はなくなるのではないか?」というものでした。書類をつくるのが仕事ですから、そういった危機感が一部にはあったのでしょう。 そのため、「これからは士業もコンサルタントにならなければならない」という声が増え始めました。セミナーを行い、コンサルティング業務をし、本を書く。いわゆるコンサルタント業です。 一定数の士業がセミナー業、コンサルティング業に乗り出すようになると、こういった業務外の事業、営業行為への批判は減り始めました。報酬規定の撤廃により固定報酬で守られなくなって以降、並行して値下げマーケティングが横行してきましたから、どの士業も事務所の維持に必死になってきた、とも言えます。 2005年前後になると、士業の営業行為や業務外活動も市民権を得るようになりました。その後、士業がセミナーで集客、またはセミナーで売上を伸ばす、コンサルティング契約で契約数を増やしていく。これらが、まるで士業の上級版のように扱われました。 いわゆる営業や経営を指南した「開業本」と呼ばれる本でも、「コンサルタントになろう」「セミナーをしよう」という記載が増えました。もちろん、私も過去の書籍で言及しています。 いつの間にか、士業の仕事をするとともに、セミナー、コンサルティングで収益を上げていくことは、向上心のある前衛的な士業のなかでは当たり前となりました。取り組んだ各士業は業績を伸ばしていったのです。そして、これが当たり前の手法となり、稼げる方法として確立したのです。 ■士業の業務単価は下がるところまで下がっていった 一方で、従来型の業務にも、非情な現実が突きつけられるようになりました。士業業務全般に値下げが横行していき、徐々に市場価格が下がっていったのです。 この値下げの背景だけでなく、生成AI登場以前にも、テクノロジーによってさらに安くなっていった分野があります。例えば、商業登記や商標出願、相続税の申告などの業務は、企業が専用のプロダクトを提供し、「素人でも、簡単に安くできる」ことを売りに、シェアを広げていきました。 税理士の顧問契約をネット上で探せば、月額1万円を切る事務所もゴロゴロ出てきます。また、定型的な相談業務は、ChatGPTなどの生成AIに聞けば済む問題も増えています。特に「相談事のない、保険のような顧問契約」は少しずつ解約されています。 このように、業界の全体的な値下げと生成AI以前のテクノロジーによっても、士業の業務は少しずつ失われてきたのです。 では、そうした状況で、士業はどう生きていけばいいのか? その答えのひとつが生成AIとの協働です。 ■「都市部」と「地方」の生成AI格差は存在する 都市部と地方についても触れておきましょう。一般的に「流行」というのは東京で始まり、大阪、名古屋などの主要都市に広がり、その後、全国、つまり地方に緩やかに伝播していきます。メルマガ、ブログ、SNS、これらは基本的に同じような流れです。 かつては地方に伝播するまでには10年かかると言われました。そうなると、2033年くらいまで生成AIが浸透しないことになりますが、いまのご時世、さすがに10年はかからないと踏んでいます。 都市部と地方の圧倒的な差は、生成AIに関しては情報量というよりは「熱量」の違いです。2026年現在、都市部ではもう生成AIを活用することは、亜種でも亜流でもなく、主流と考えている人が増えています。一方、地方では、まだ生成AIの熱量は上がりきっていないと言えます。 情報量と熱量は違います。情報を知っていても、熱量がなければ活用には至りません。 生成AIに関しても、この熱量の違いがあり、2026年現在でも、生成AIの活用に全振りすることによって、集客でもブランディングでも地方では無双する可能性を強く秘めています。 ■地方の士業こそ、1日でも早く生成AIを活用する 実際の経営についても分析しておきましょう。2026年現在、都市部では生成AIを主体とした経営を取り入れる事務所も増えていますが、地方では皆無に近い。そして、地方都市は旧態依然とした業務を行っているところがほとんどです。 実際、表立った範囲では大きな変化は起きていないと言えます。ただ、前述したような社会情勢のなか、顧問先が減少したり、値下げを要請されたりして、「ひずみ」が生じてきていると言えるでしょう。 悪い見方をすれば、地方は「ジリ貧」が見えてきています。しかしながら、生成AIという武器を手にすれば、大きなチャンスが待っている、とも言えます。 地方で生成AI活用が当たり前の時代になるには、少し時間がかかるでしょうから、いまから自分の事務所のエリアで生成AI活用のポジションを取っておけば、3~5年先には一人勝ちできる可能性があると私は考えています。 横須賀輝尚 士業専門の経営コンサルタント・パワーコンテンツジャパン株式会社 代表取締役・特定行政書士・Gensparkインダストリーアンバサダー 【関連記事】 ■「国家資格だから安泰」は幻想。士業の仕事が無くなるこれだけの理由と生き残る条件とは? (横須賀輝尚 経営コンサルタント) https://sharescafe.net/63314259-20260702.html ■AIエージェントの「ひとり事務所」が何十社の顧問業務を回す衝撃。士業の未来はどうなる? (横須賀輝尚 経営コンサルタント) https://sharescafe.net/63314197-20260702.html ■生成AIで「誰でも秒で80点」の世界観が士業の仕事に与える影響 (横須賀輝尚 経営コンサルタント) https://sharescafe.net/63304072-20260628.html ■110万円の家賃を払う板野友美さんとヤクルト高橋奎二さんの判断が正しい理由。(中嶋よしふみ ファイナンシャルプランナー) https://sharescafe.net/62674731-20250930.html ■世帯年収1560万円の共働き夫婦は、9540万円の湾岸タワーマンションを買えるのか? その1・生活費は800万?(中嶋よしふみ ファイナンシャルプランナー) https://sharescafe.net/61186482-20240125.html ■プロフィール 横須賀輝尚 士業専門の経営コンサルタント・パワーコンテンツジャパン株式会社 代表取締役・特定行政書士・Gensparkインダストリーアンバサダー ![]() 主な著作に「会社を救うプロ士業 会社を潰すダメ士業」(さくら舎)、「資格起業BIBLE」、「『ムダ仕事』も『悩む時間』もゼロにする GPTsライフハック」(共に技術評論社)などがあり、26冊20万部超の著者。2023年から士業のための生成AI・ChatGPT活用研究を開始。 最新刊「生成AI時代に士業が生き残る技術」を2026年6月にTAC出版より刊行。週刊ダイヤモンド、毎日新聞などメディア掲載も多数。 公式サイト:https://yokosukateruhisa.com/ X:https://twitter.com/yokosuka_ai @yokosuka_ai YouTube:https://www.youtube.com/@40lawyers50/ シェアーズカフェ・オンラインからのお知らせ ■シェアーズカフェ・オンラインは2014年から国内最大のポータルサイト・Yahoo!ニュースに掲載記事を配信しています ■シェアーズカフェ・オンラインは士業・専門家の書き手を募集しています。 ■シェアーズカフェ・オンラインは士業・専門家向けに執筆指導を行っています。 ■シェアーズカフェ・オンラインを運営するシェアーズカフェは住宅・保険・投資・家計管理・年金など、個人向けの相談・レッスンを提供しています。編集長で「保険を売らないFP」の中嶋が対応します。 |



