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「AIに仕事を奪われる」。生成AIの台頭で、この危機感がすでに現実のものとなりつつある昨今。さらに、自ら考え自律的に行動するAIエージェントの登場により、税理士や社会保険労務士といったいわゆる「士業」の仕事は、どんどん代替されていく可能性が高まっています。

経営コンサルタントで士業(特定行政書士)としても20年以上のキャリアをもつ横須賀輝尚氏は、開業当初からWEBマーケティングを強みとして活動し、生成AIが登場するとすぐに業務に活用、研究を深めてきました。

生成AIの本質を理解したうえで、AIに淘汰されるのではなく、むしろそれを活用して生き残るために士業はどうすればいいのか?同氏の新著『生成AI時代に士業が生き残る技術』(TAC出版)より、一部抜粋・編集してお伝えします。

生成AI時代に士業が生き残る技術
横須賀輝尚
TAC出版
2026-06-30


■士業は長く閉じられた世界だった
2026年現在、ひとくちに「士業」といっても実にさまざまなあり方があります。純粋に士業の業務だけに取り組む事務所もあれば、セミナーやコンサルティング業務を並行して行う事務所もあります。

近年では、SNSなどでフォロワー数を増やし、インフルエンサー的、タレント的な活動をする士業もいれば、株式会社を併設し、士業をサブとする会社の事業が中心の士業もいます。

ひとり事務所のままの士業もいれば、拡大を目指す事務所もあり、その規模もさまざまです。これだけ士業のあり方が多様化してくると、いよいよ「士業とは何か?」を考えることが重要になります。

さて、少し昔話をすると、いまの多様化した各士業事務所のあり方は、二十数年前には考えられないことでした。インターネットが普及し始める頃までは、「士業は士業の業務だけやるべき」という専業主義的な風潮がかなり強かったと言えます。

私が行政書士として開業した2003年頃、いまとなっては信じられないと思いますが、「士業は営業をするべきではない」というのが暗黙の了解でした。士業という職業がお客様獲得に自ら営業行為をすることは、品がないとか、そんなイメージだったと思います。

いまでは開業前からブログを書き、YouTubeの準備をし、開業後はセミナーを企画し、DMを出し……というような営業行為は当たり前の集客努力です。しかし、当時はそのようなことをしたら、先輩士業からお叱りを受けるということもありました。

先輩士業の地域にDMを出そうものなら、「先輩のお客様に手を出した」などといって、風当たりも相当厳しかったと聞いています。

営業行為、そして士業以外の仕事をする。これが禁忌というか、タブーだった時代だと言えばわかりやすいでしょう。インターネットが普及し始め、ブログで個人が情報発信できるようになってからは、ブログでも匿名掲示板でも、そういった業界のルールに反した人に対しての中傷が行われることもたびたびありました。

■タブーを乗り越え、外側に出なければもう生き残れない
この時代に、私は23歳の若さで開業しています。大学卒業後すぐに開業した私には、行政書士業務の経験どころか、社会人経験もなく、一般常識も持ち合わせていませんでした。

そんななか、私は行政書士で開業してひとりで食べていきたいと考えました。図書館でビジネス書を必死に読みあさり、仕事を取るためにできることは何でもやろうと考え、インターネットを駆使し、ブログを書き、1枚でも多く名刺を配り、一生懸命営業活動を行いました。

いまでは当たり前となったブログも、インターネット上に登場し、認知され始めたのは2003年頃です。私が行った営業活動のなかで、ブログを書くことが最も集客に効果があると感じ、ブログの活用を研究したのです。

その結果、当時、資格系ブログでアクセス数が日本一となり、知名度が全国区になりました。もちろん、ブログを通じた集客も成功し、セミナー講師として呼ばれるようにもなりました。言うまでもなく、完全に業界の暗黙の了解を破っていました。

そうなると、ブログ上で名指しで批判されることもあれば、匿名掲示板で叩かれることも増え、まるで面識のない先輩士業から電話で、直接お叱りを受けることもありました。そういう時代だったのです。

ただ、そのような批判があっても、私は手を緩めることはありませんでした。何を言われても、法律違反をしているわけではないのです。行政書士になったからといって、行政書士業務だけをしなければならない理由もどこにもないし、法令根拠もありません。

その後、ブログでの功績が出版社に認められ、25歳にして商業出版を果たします。いまよりも「本」に権威があった時代ですから、私への批判も収まり始めました。批判する人も遠巻きに眺めざるをえなかったのではないかと考えています。そういう時代があったのです。

そして、いまインターネットをはるかに超えるインパクトで、生成AIが古い慣習を一気に塗り替えようとしています。標準的な専門家の権威を下げ、情報や知識の価値を崩しているのです。長年、資格と慣習に守られてきた士業も例外ではありません。

一方で、持たざる者にこそチャンスが溢れる時代が来たと言えます。閉じた業界の常識に留まり続ける者は、静かに時代に置いていかれます。従来の常識の外側に踏み出し、生成AIと協働する―そう決めて、一歩を踏み出した者だけがこれからの地位を手にできるのです。

■生成AI時代に最適化した広告の可能性
前述のような流れの中、士業の営業方法を変えたものとして、リスティング広告があります。これは、検索エンジンからの集客を前提として長い間有効とされてきたものですが、資金力が豊富な大手事務所が参入してきてからは、出稿費用が瞬く間に高騰していきました。

では、今後もリスティング広告は、その出稿をほぼ独占できる資金力を持った大手事務所、大規模事務所だけのものなのかと言えば、今後はそうとも言えません。

理由としては、最近では検索エンジンではなく、AIを通じた検索も増えてきていることです。今後は、検索エンジンの利用率が下がる可能性もあります。これは個人事務所、小規模事務所にとっても勝機になる可能性を持っています。また、自然検索で検索結果の上位に出るいわゆる「SEO対策」も同様にチャンスを持っていますが、少し長くなるのでこれらについては割愛します。

生成AIの浸透は私の予想をはるかに超えて遅いと言えます。そのため、一気にAI検索に変わるかといえば、そうとも言い切れず、特に地方都市はライバルの少なさもあり、2026年現在でも取れる手立てはまだまだあるのです。


横須賀輝尚 士業専門の経営コンサルタント・パワーコンテンツジャパン株式会社 代表取締役・特定行政書士・Gensparkインダストリーアンバサダー


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■プロフィール 横須賀輝尚 士業専門の経営コンサルタント・パワーコンテンツジャパン株式会社 代表取締役・特定行政書士・Gensparkインダストリーアンバサダー
yokosuka
2007年に日本では初めてとなる士業向けに経営スクール「経営天才塾(現LEGALBACKS)」を創設し、2023年現在、全国3000名以上の士業から相談を受け、その相談数は優に2万件以上を超える。
主な著作に「会社を救うプロ士業 会社を潰すダメ士業」(さくら舎)、「資格起業BIBLE」、「『ムダ仕事』も『悩む時間』もゼロにする GPTsライフハック」(共に技術評論社)などがあり、26冊20万部超の著者。2023年から士業のための生成AI・ChatGPT活用研究を開始。
最新刊「生成AI時代に士業が生き残る技術」を2026年6月にTAC出版より刊行。週刊ダイヤモンド、毎日新聞などメディア掲載も多数。

公式サイト:https://yokosukateruhisa.com/
X:https://twitter.com/yokosuka_ai  @yokosuka_ai
YouTube:https://www.youtube.com/@40lawyers50/


生成AI時代に士業が生き残る技術
横須賀輝尚
TAC出版
2026-06-30


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