![]() 時短コンサルタントの滝川徹氏は、この事実を前提とした上で、充実した人生を送るには、身につけるべきスキルを見極め、しっかりと時間をかけて習得する必要があると説きます。一方、そこに時間と努力を「オールイン」するのではなく、たった1日30分を続けることで、人生のバランスを取りながら、無理なく地道にスキル習得を続けられるといいます。この超現実的な目標達成法、「10年思考」とは? この記事では、10年という長期間の視点で身につけるべきスキルを見極めるときに障害となる「お金をどうするか」という現実的な問題において、趣味と仕事と生涯続けたい活動をどう切り分け、組み立てるかについて、『10年思考でうまくいく――自己投資を実現するスキル戦略』(滝川徹・パンローリング株式会社)から再編集してお届けします。 ■お金という現実問題 スキルを選ぶときの一番の障害。それはお金だ。お金のことを考えなければ、選び方はずっとシンプルになる。好きなこと、興味があることにただ取り組めばいい。一方で、私たちが生活するうえではお金が必要となる。養う家族がいれば、自分ひとりの生活費を稼ぐだけでは不十分だ。こうしたリアルが、問題をややこしくする。 これから長い時間をかけて習得するスキルを選ぶのだから、「お金を稼げるのか?」「役立つのか?」という基準が加わるのも無理はない。少なくとも私の場合、これがなければ英検1級にはチャレンジしなかっただろう。 お金の視点が入ると、スキル選びは途端にややこしくなる。だからこそ、スキル選びに大切なのは、お金とスキルを切り分けて考えることだ。そのためには、次の4つの言葉の違いを理解することからはじめるとよい。 (1)趣味 (2)ジョブ (3)キャリア (4)天職 私はこのアイデアを、世界的に有名な作家のエリザベス・ギルバートから学んだ。彼女の著書『食べて、祈って、恋をして』(早川書房)は世界で1500万部以上売れており、ジュリア・ロバーツが主演する映画の原作になったことでも知られる。彼女の話をもとに、私自身の考えと合わせて説明していこう。 ■お金とスキルの関係性 本書は辞書や辞典ではないので、正確な言葉の定義としては少し異なるだろうが、現実的に必要となるお金と理想を実現するためのスキル習得をつなげるために、ぜひイメージしてほしい。 (1)趣味 趣味はただ純粋に、楽しむためだけに行うものだ。たとえばマンガを読む、テニスをする、旅行に出る、ギターをひく、麻雀やゲームをするなど。趣味で楽しむだけならお金を稼ぐ必要はないし、仕事に役立たなくてもよい。他者から見れば、無駄にしているとも思える時間。でも、楽しい。だからやる。それが趣味だ。 趣味は持たなければいけないものではない。でも、あると人生に楽しみを与えてくれるものだ。 (2)ジョブ ジョブとは「お金を稼ぐため」。そう割り切ってやる仕事を指す。ここでのポイントは割り切ってやる、だ。ジョブには働きがいや情熱は必ずしも必要ない。生活するにはお金がいる。そのために働くのだ。たとえば先ほどのエリザベス・ギルバートは専業作家として食べていけるようになるまで、いくつものバイトをかけもちしたという。彼女にとってのバイトがまさにジョブだ。作家としての活動を続けるために、生活に必要なお金をジョブで稼いだ。 働きがいや情熱はいらない。このジョブ=割り切ってお金を稼ぐという発想は、私にとって目から鱗だった。 (3)キャリア キャリアとは、仕事を続けることで築き上げていくものだ。ジョブとの違いは、築き上げていく感覚があるかどうか。その意識の違いによる。たとえばスターバックスのバイトをしているとする。将来は別の業種に就きたいと思っていて、今はお金を稼ぐために働いている。この場合、これはジョブである。一方、将来は店長や社員になりたいなど、この先もその仕事を続けて稼いでいきたい。そう考えるなら、キャリアだ。 必ずしも同じ仕事でなくてよい。将来、自分のお店を持ちたいからレストランでバイトをする。会計事務所でのスキルを生かしてコンサルティング業に転職する。こうした場合も連続性があり、築き上げていく感覚があるのでキャリアと言える。 キャリアはジョブと違い、必ずしも持たなくていいものだ。それを築くのに、相応の時間とエネルギーを投資する必要があるからだ。だからこそ働きがいや情熱を感じられないなら、それをキャリアにすべきではない。その仕事はジョブととらえるべきだ。 エリザベスも、執筆の時間を確保するために(書くこと以外の)キャリアを必要としなかった。ジョブがあれば十分だったからだ。キャリアの話は次の天職の話とセットで説明するとわかりやすい。 (4)天職 天職はわかりやすく言うと、一生かけて行っていくことだ。たとえば先のエリザベスは、書くことが天職で、たとえ本を出せなくなっても一生続けると語っている。 彼女は天職=書くことを続けるために、作家として十分な収入を得られるまではジョブを続けた。本が売れるようになると、書くことは(天職と同時に)キャリアになった。キャリアである以上、読者の反応や本の売れ行きも気にするようになる。本が売れなくなれば、本を書かせてもらえなくなる。そうすると、キャリアが終わってしまうからだ。 キャリアと天職の違いは、キャリアにはいつか終わりがくることだ。たとえば作品が売れなくなり、本が出版できなくなる。あるいは出版業界がなくなる。そうなれば、作家としてのキャリアは終わる。しかし天職に終わりはない。エリザベスは作家としてのキャリアが終わったとしても、書くことは一生続けるという。 少しは天職のイメージができただろうか。一生かけて行っていくもの、それが天職だ。ジョブのように、必ずしも持たなければいけないものではない。でも趣味と同様、あると素敵なものだ。 さて、これで4つの言葉の意味の違いは概ね理解できたと思う。これを土台に、スキルの話に入っていこう。 ■スキル選択への助走 多くの人には会社員であれフリーランスであれ、生活の支柱となるジョブがあるだろう。そんななか、これから新たにスキルを磨いていくうえで、何を選べばよいか。その基準をお金とともに考えよう。 ・最速を目指す(ジョブの見直し後のキャリアシフト) 今の収入では生活が厳しい場合は、お金は強い動機になる。何としてもこの状況から抜け出したい。その気持ちが強い原動力になるからだ。この場合は自分が何が得意で、どうしたら最速でお金を稼げるのか。この軸で現実路線でスキルを選ぶべきだ。ただし、価値があるものを手に入れるには時間がかかる。まずはジョブを増やすなどして、並行してキャリアにつながるスキルを選ぶといいだろう。 ・キャリアアップ(ジョブ→キャリアまたはキャリアの見直し) 今の収入で生活はできているが、世界を相手に仕事をしたい。ゆくゆくは家業を継ぐことになるために必要な資格を取得しておきたい。そういった展望や野望、焦りを強く持っているならば、ジョブやキャリアに関連したスキルを選ぶといい。難関資格を取れば、キャリアアップにつながるだろう。 だが問題は、そうした資格を取るには大抵、膨大な時間と労力がかかることだ。さらに時代は急速に変化しており、昔の当たり前が通用しなくなるばかりか、求められるスキルも変わっていく。仕事に生かしたいのであれば、これからの時代を見据えた視点で選ぶことは避けられないだろう。 ただ、注意してほしい。今の収入でそれほど困っていないが、もう少し余裕がほしい、という程度のモチベーションでは、お金はスキル磨きを続ける原動力にはならない。このことは忘れないこと。 ・人生を豊かに(趣味の時間を充実または天職への没頭) もっと稼ぎたいという気持ちはあるが、今の収入で生活はできているのでお金の面で焦りや不安は強くない。それならば、お金を稼ぐことはジョブやキャリアに任せ、スキルはお金と切り離して選んだほうがいい。なぜなら、生活に困っている人と違い、モチベーションが弱いからだ。これから10年間かけてスキルを修得しようとするなか、必要性もモチベーションもなければ続けることはできない。 滝川徹 時短コンサルタント 【関連記事】 ■なぜ「1日30分」の継続が「毎日全力」より早く終わるのか?挫折しない目標達成法 (滝川徹 時短コンサルタント) https://sharescafe.net/63366432-20260725.html ■誰でも文章がスラスラ書けるようになる「話すように書く」文章術(滝川徹 時短コンサルタント) https://sharescafe.net/61447258-20240424.html ■セミナー講師は多くのことを伝えようとしてはいけない(滝川徹 時短コンサルタント) https://sharescafe.net/61447184-20240424.html ■110万円の家賃を払う板野友美さんとヤクルト高橋奎二さんの判断が正しい理由。(中嶋よしふみ ファイナンシャルプランナー) https://sharescafe.net/62674731-20250930.html ■世帯年収1560万円の共働き夫婦は、9540万円の湾岸タワーマンションを買えるのか? その1・生活費は800万? (中嶋よしふみ ファイナンシャルプランナー) https://sharescafe.net/61186482-20240125.html 【プロフィール 滝川徹 時短コンサルタント】 1982年東京生まれ。慶應義塾大学卒。国内トップの大手金融機関で毎日定時に帰る現役会社員。著書『ちょっとしたスキルがお金に変わる「副業講師」で月10万円無理なく稼ぐ方法』(日本実業出版社)、『気持ちが楽になる働き方』(金風舎)のほか、『細分化して片付ける30分仕事術』(パンローリング)は台湾で翻訳出版された。 長時間労働に悩んだことをきっかけに独学でタスク管理を習得。2014年に自身が所属する組織の残業を削減した取り組みで全国表彰、2016年には「残業ゼロ」の働き方を達成。その後は順天堂大学や創業手帳株式会社での講演・研修をはじめ、時間管理をテーマに講師として活動。国内最大級のスキルシェアプラットフォーム「ストアカ」の上位2%のトップ講師に選出される。Yahoo! ニュースへの執筆や、YouTubeで動画配信など幅広く活動中。 シェアーズカフェ・オンラインからのお知らせ ■シェアーズカフェ・オンラインは2014年から国内最大のポータルサイト・Yahoo!ニュースに掲載記事を配信しています ■シェアーズカフェ・オンラインは士業・専門家の書き手を募集しています。 ■シェアーズカフェ・オンラインは士業・専門家向けに執筆指導を行っています。 ■シェアーズカフェ・オンラインを運営するシェアーズカフェは住宅・保険・投資・家計管理・年金など、個人向けの相談・レッスンを提供しています。編集長で「保険を売らないFP」の中嶋が対応します。 |



