![]() 時短コンサルタントの滝川徹氏は、この事実を前提とした上で、充実した人生を送るには、身につけるべきスキルを見極め、しっかりと時間をかけて習得する必要があると説きます。一方、そこに時間と努力を「オールイン」するのではなく、たった1日30分を続けることで、人生のバランスを取りながら、無理なく地道にスキル習得を続けられるといいます。この超現実的な目標達成法、「10年思考」とは? この記事では、やりたいことが見つからない人のために、10年という長期間の視点で身につけるべきスキルを見極める視点を「興味があることに取り組む」と「得意・適性があることに取り組む」に分けて解説します。『10年思考でうまくいく――自己投資を実現するスキル戦略』(滝川徹・パンローリング株式会社)から再編集してお届けします。 ■興味があることに取り組む まずは、シンプルな問いからはじめよう。 Q.「いつかやってみたい」と思うこと、もしくは「将来こうなりたい」「こんな仕事ができたらいいな」とイメージすることは? 答えは何でもよい―YouTubeでゲーム実況をしたい/料理教室を開きたい/ヨガのインストラクターをやりたい/本を出したい―など、時間があったらやりたい。そう思っていることだ。ここが出発点になる。 私の場合、憧れが出発点だった。ブログをはじめたのも、ブロガーに憧れ「彼らみたいになりたい」と感じたからだ。いつか本を書きたい。そう思うようになったのも、本を読んで大きな影響を受けたから。自分も本を出して、人に同じように良い影響を与えたい。そう感じ、いつか本を出したい。そう考えるようになった。 ここで大切なのは、「自分がそうなれるか」「稼げるのか」といった現実的な考えを一旦脇に置くことだ。ここでは、それらは重要ではない。 今の時代、なろうと思えば何でも始められる。YouTubeで週1回動画をあげていれば、立派なユーチューバーだ。商業出版でなくても、Amazonで電子書籍を自分で出版すれば作家になれる。インフルエンサーになったり、ベストセラーを出せるかどうかはわからない。でも単純に、ただなるだけなら誰でも、ユーチューバーになったり、作家になることはできる。お金はジョブ(お金のためと割り切ってやる仕事)で稼げばいい。 重要なのは有名になったり、お金を稼ぐことではなく、自分の心が望んでいること、心の叫びに応じてあげることだ。私は運良く商業出版の夢を叶えることができた。でも、もしそれが実現しなかったとしても、書くことはやめなかったはずだ。ブログを書き続け、Amazonで自分で出版したかもしれない。なぜか。書くこと自体で私の心は満たされるからだ。 その行為自体が楽しければ、スキルを身につけるまでの道のりはずっと楽になる。楽勝だとは言わない。でも、その行為自体が自分の楽しみであれば、続けずにはいられなくなる。困難があっても乗り越えられる。頑張れる。初めは1日30分でも、楽しければ徐々に1時間、2時間と、取り組む時間を無理なく増やせる可能性も高い。 何より大切なのは、たとえ思うような成果が出なかったとしても、自分が心からやりたい。そう思ったことをやれた。その自負を手に入れられることだ。死ぬときに「自分が好きなことをやればよかった」と後悔することもなくなるだろう。それだけでも、時間とエネルギーを投資する価値はある。 一方で、やりたいことが何も思い浮かばない。そう感じる人も少なくないだろう。それは自然なことだ。なぜなら、私たちは無意識にそれをやる意味があるのか。役に立つのか。そうした基準・フィルターを通して考える習慣が強く根付いてしまっているからだ。 だからこそ、むしろ次のような問いで考えてみるといい。 ・10億円の資産があったら、何をするだろう? ・役に立たなくても、やってみたいことはなんだろう? お金やキャリアに役立つといった視点がない子供時代には、やりたいことは山のようにあった。私たちがやりたいことを見つけられないのは、無意識にお金や役に立つかどうかを考えてしまうからだ。そうした視点なしに考えれば、やりたいことは必ず見つかる。 ヒントはSNSの中にあるかもしれない。なんとなく見ているインスタグラムやYouTubeなどで、気づくとフォローしているアカウントや「あなたへのオススメ」が偏っていることはないだろうか。最新AI情報だったり、DIYだったり、料理や節約、本、旅行、スポーツなど。それらは自分の興味の源泉ではないだろうか。 出てくるアイデアは単なる趣味の延長にしか思えないかもしれない。それでもいい。大切なのは、自分自身が楽しいと感じることに取り組むことだ。そうすれば、少なくとも心は満たされて、毎日が楽しくなる。これだけで最高ではないだろうか。もし運が良ければ10年後くらいにスキルが身を結んでビジネスになるかもしれない。そうなれば、もはや人生のボーナスと言える。 ただし、誤解がないよう言っておくと「やりたい」と感じること全てが、鼻歌を歌いながらできるわけではない。私は現在小説を書くことにチャレンジしているが、あまりにも筆が進まず、はじめのうちは1日15分執筆するのがやっとだった。今はなんとか毎日30分執筆できるようになった。それでも取り組むときは面倒くさいと感じるし、楽しいかと聞かれると正直微妙だ。それでも、私は小説を書きたい。小説にチャレンジする自分が好きだし、夢を叶えたいからだ。 このように、やりたいことすべてが楽しくてしかたがないものではない。だから楽しくない、面倒くさいと感じるときに、安易に「やりたいことではないかもしれない」と逃げないようにしよう。私の小説のように、やり遂げたときにそのことに誇りを感じられるか。目標を達成することに意味・意義があるのか。これらを考え、答えがYESなら、毎日15分でもいいから取り組むべきだ。スタジオジブリの宮崎駿氏も「世の中の大事なことって、たいてい面倒くさいんだよ」と言っていた。 興味があること、やりたいと思うことをやってみよう。実際にやってみると、やっぱり違ったと思うこともあるかもしれない。それはそれでいい。無駄な時間を過ごしたと思うかもしれない。だが、それは本当にやりたいと思えるものに出合うために必要なプロセス。そう考えてほしい。 さて、この話は一旦これくらいにして、次の「得意・適性があることに取り組む」の話に進もう。 ■得意・適性があることに取り組む なぜ得意・適性があることに取り組むべきなのか。理由は単純。スキルが早く身につくからだ。 私は人には得意・不得意、適性の有無があると考えている。才能と言ってもいいかもしれない。才能がなくても、努力を続ければスキルもそれなりのレベルにはなる。ただ、才能があればコツをつかみやすい分、成長も早く、苦労も少なくすむ(もちろん、一流の人たちが成長過程において何も苦労していないと言っているわけではない)。 私の場合はそれがタスク管理だった。物心ついたときから、どうすれば物事を効率よく終わらせられるか。いつも考えていた。タスク管理に出合ったのは、長時間労働がきっかけだった。日々仕事が溢れるようになり、仕事のことが頭から離れなくなった。あまりにも苦しくて、解決策を探していたときだ。当時たまたま得意分野を作りたいとも考えていて、効率化が好きな自分にタスク管理は向いているのではないか。そう思ってはじめた。 この決断は、今振り返れば正しかった。タスク管理を人に教えていると、習得に苦労している人がたくさんいることがわかった。私も決して楽に身につけたわけではないが、独学で習得できたことを考えれば、適性があったのだと思う。 誰にも、私にとってのタスク管理―比較的に苦労せずにこなせてしまうもの―が必ず存在する。 ・つい、いつも考えてしまうことは? ・やらないと気がすまないことは? ・自分にとっては当たり前なのに、人から褒められることは? これらの答えに、才能のヒントがある。USJを経営危機から見事復活させたマーケッターの森岡毅氏は、「動詞」で考えると強みが見つけやすいとテレビ番組やインタビューで答えている。例えば「サッカーが好き」と名詞で考えるのではなく、チームの戦略を考えるのが好き、プレーの技術を磨くのが好きといった感じで、動詞で自分を探っていくのもよいだろう。 次に、私が効率化とタスク管理を結びつけたように、「導き出した答えと関連するスキルがないか」を考える。本書のスキルの定義は「訓練・練習によって成長できる要素があるもの」。これに当てはまれば、なんでもよい。どんなことであれ、スキルを高めることができれば、人生を豊かに、可能性を大きく広げてくれる。さらに一流まで磨き上げれば、今の世の中ならば、ビジネスにつながるチャンスは非常に多い。 私は話すことも得意だったので、セミナー講師も選んだ。計算が得意なら、公認会計士や税理士の資格にチャレンジしてもいい。けん玉が得意なら、けん玉の技を磨いてもいい。けん玉のスキルを磨いても、何の役にも立たないではないか。そう思ったかもしれないが、そんなことはない。けん玉のスキルが一流なら、ビジネスにつなげることも十分可能だ。 試しにYouTubeで「けん玉」と検索してみるといい。今パッと見ただけで、何十万再生、何百万再生されている動画がいくつもある。YouTubeでけん玉の技を発信し続ければ、動画配信でお金を稼げるようになるかもしれない。ただ、しつこいかもしれないが、お金を稼ぐことはあくまでボーナス。目的は稼ぐことではなく、スキルを身につけることで人生を豊かにすることなのだから。 「自分にはこのスキルが向いているかもしれない」という仮説を立て、挑戦してみよう。その結果、「どうすればさらに上達できるか」「〇〇さんのようになるには、どうすればよいのか」と前向きな感情が続くようなら、そこから本格的にスキル習得に励んでいくといい。もし適性があれば、比較的早いタイミングで何かしらの手応えは感じると思う。 私はブログを本格的にはじめて2年程で、電子書籍を商業出版することができた。自分の夢だった紙の本の出版までは10年近くかかったが、このように、小さな手応えは比較的早い段階で感じることができるはずだ。 滝川徹 時短コンサルタント 【関連記事】 ■やりたいことと生活費を切り分けて考えれば、天職はすぐに見つかる。 (滝川徹 時短コンサルタント) https://sharescafe.net/63368684-20260726.html ■なぜ「1日30分」の継続が「毎日全力」より早く終わるのか?挫折しない目標達成法 (滝川徹 時短コンサルタント) https://sharescafe.net/63366432-20260725.html ■誰でも文章がスラスラ書けるようになる「話すように書く」文章術(滝川徹 時短コンサルタント) https://sharescafe.net/61447258-20240424.html ■110万円の家賃を払う板野友美さんとヤクルト高橋奎二さんの判断が正しい理由。(中嶋よしふみ ファイナンシャルプランナー) https://sharescafe.net/62674731-20250930.html ■世帯年収1560万円の共働き夫婦は、9540万円の湾岸タワーマンションを買えるのか? その1・生活費は800万? (中嶋よしふみ ファイナンシャルプランナー) https://sharescafe.net/61186482-20240125.html 【プロフィール 滝川徹 時短コンサルタント】 1982年東京生まれ。慶應義塾大学卒。国内トップの大手金融機関で毎日定時に帰る現役会社員。著書『ちょっとしたスキルがお金に変わる「副業講師」で月10万円無理なく稼ぐ方法』(日本実業出版社)、『気持ちが楽になる働き方』(金風舎)のほか、『細分化して片付ける30分仕事術』(パンローリング)は台湾で翻訳出版された。 長時間労働に悩んだことをきっかけに独学でタスク管理を習得。2014年に自身が所属する組織の残業を削減した取り組みで全国表彰、2016年には「残業ゼロ」の働き方を達成。その後は順天堂大学や創業手帳株式会社での講演・研修をはじめ、時間管理をテーマに講師として活動。国内最大級のスキルシェアプラットフォーム「ストアカ」の上位2%のトップ講師に選出される。Yahoo! ニュースへの執筆や、YouTubeで動画配信など幅広く活動中。 シェアーズカフェ・オンラインからのお知らせ ■シェアーズカフェ・オンラインは2014年から国内最大のポータルサイト・Yahoo!ニュースに掲載記事を配信しています ■シェアーズカフェ・オンラインは士業・専門家の書き手を募集しています。 ■シェアーズカフェ・オンラインは士業・専門家向けに執筆指導を行っています。 ■シェアーズカフェ・オンラインを運営するシェアーズカフェは住宅・保険・投資・家計管理・年金など、個人向けの相談・レッスンを提供しています。編集長で「保険を売らないFP」の中嶋が対応します。 |



