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「大きな目標達成には時間がかかる」。これは本来、至極当たり前のことでしょう。しかし、楽にできるノウハウやタイパ重視の考え方が蔓延する現代において、つい忘れられがちな事実でもあります。

時短コンサルタントの滝川徹氏は、この事実を前提とした上で、充実した人生を送るには、身につけるべきスキルを見極め、しっかりと時間をかけて習得する必要があると説きます。一方、そこに時間と努力を「オールイン」するのではなく、たった1日30分を続けることで、人生のバランスを取りながら、無理なく地道にスキル習得を続けられるといいます。この超現実的な目標達成法、「10年思考」とは?

この記事では、「物事の先延ばし」を解決するための原理原則について、『10年思考でうまくいく――自己投資を実現するスキル戦略』(滝川徹・パンローリング株式会社)から再編集してお届けします。



■先延ばし解決の行動原則
1.行動単位を小さくする
これは、先延ばしにしている物事に混在する複数の「面倒くさい」をひとつずつに分割することだ。私自身が粗大ゴミを捨てるときに苦労した話だ。

言うまでもないが、粗大ゴミは燃えるゴミのように気軽に捨てられない。捨て方はわからないが、調べるのも面倒くさい。そう感じ、しばらく放置していた時期があった(私も、何もかも段取りよく進められる人間ではない)。

それなりの期間放置した後、私は動き出すために「行動単位を小さくする」を活用し、次のように行動を分割した。

(1)捨て方を調べる
(2)手順にしたがって捨てる

まず(1)を実行(検索)する。その結果、(a)事前申請(自治体にあらかじめ申請する)と、(b)コンビニなどで「有料粗大ごみ処理券」(処分品によって必要な手数料は異なる)のシールを買わなければいけないことがわかった。2つを一気に実行するのは面倒くさい。そう感じた私は、まず(a)事前申請だけを行い、別の日に(b)コンビニでシールを購入した。

あとは粗大ゴミにシールを貼り、申請日に指定された場所に出すだけ。つまり(b)を別の日に行い、無事ミッションをコンプリートした。あらためて私の手順(行動)をふりかえると、次のように整理できる。

〇「粗大ゴミ処分」の作業分解
(1)捨て方を調べる
(2)事前申請
(3)コンビニでシールを買う
(4)粗大ゴミにシールを貼る
(5)申請した日に粗大ゴミを捨てる

この話から伝えたいのは、私が粗大ゴミを捨てるというタスクを(1)〜(5)に分解し、ひとつずつこなしていった点だ。一気に全部やろうとすると面倒くさいと感じることでも「これならできそう」と思える単位に小さくすれば、実行できるようになる。

何かを実行しようとして「面倒くさい」と心理的ハードルを感じたら、まず行動単位を小さくしてみる。このことを心がけたい。

■2.習慣を作ることからはじめる
私は毎日、腕立て・腹筋・スクワットを25回ずつ行っている。この習慣は、1日1回からはじめた。1日1回なら、よほど体調が悪くない限り取り組める。そうしてまず、「毎日腕立てをする」という習慣作りからはじめた。1日1回など、アホらしいと感じるかもしれない。でもやってみてほしい。たとえ1回でも目標を達成すると、人は達成感を感じられるものだ。私はこれを「期待と結果の法則」と呼んでいる。

意外かもしれないが、達成感は達成した内容そのものではなく、設定した目標(期待)と結果の差で生まれる。

会社からボーナスを支給されるときを考えてみてほしい。100万円もらえると期待して50万円もらうのと20万円を期待して50万円もらうのとでは、金額は同じでも満足感は全く異なる。前者の場合は期待を下回っているので、不満に感じる。一方、後者は期待を上回っているので、嬉しく感じるはずだ。私たちの満足感は結果(50万円)そのものではなく、事前の期待と結果の差で決まることがわかる。

試しに何か習慣化したいことがあるなら、ものすごく小さな目標を立ててはじめてみてほしい。勉強する習慣を作りたいなら、机に座って1分間テキストを読むことを目標にしてみる。ランニングの習慣を作りたいなら、1分走ることを目標にしてみる。多少体調が悪くても、気分がのらなくても「これならできるだろう」。そう感じられるくらい低い目標を設定する。

そうしてまず、習慣を作ることからはじめよう。取り組む習慣さえ作れれば、心理的ハードルは下がる。

以前、ポッドキャストでおもしろい話を聞いた。ある男性が運動する習慣を作るために、「ジムに行って、運動せずにただ着替えて帰ってくる」ということを一定期間続けた結果、狙いどおりジムで運動する習慣を築けたという話だ。

私が腕立て1回からはじめて25回に増やしていったように、回数は少しずつ増やしていけばいい。まずは習慣を作ることからはじめる。このことを意識すれば、心理的ハードルは下げられる。

■3.取り組む時間を減らす
面倒くさい仕事を一気に終わらせようとすると、大抵の場合は取り組めずに終わる。心理的ハードルが上がってしまい、衝動の脳が「やりたくない」と感じるからだ。もし確実に実行したいなら、取り組む時間を減らすのが一番だ。

3時間かかるような作業でも、「30分だけ取り組めばいい」と思えば、取り組める確率は格段に上がる。そうして毎日30分取り組み、6日間(30分×6日=3時間)で終わらせる。もちろん30分でなくてもかまわない。私が小説を書き始めたころは30分も書けなかったように、ハードルが高いなら15分でもかまわない。5分でもOKだ。

大切なことは、とにかく着手すること。着手さえしてしまえば、心理的ハードルは下がっていく。そのために、取り組む時間を減らすことをよしとするのだ。どんなに着手困難な仕事でも、毎日5分でもやり続ければ、着手することにも慣れる。そうすれば10分、15分と取り組む時間を増やしていっても、取り組めるようになる。

取り組む時間は少しずつ増やしていけばいい。取り組む時間を減らせば、心理的ハードルは確実に下がる。

■4.終わらせようとしない
取り組むときに「終わらせようとしない」。これも心理的ハードルを下げるのに有効だ。私たちはつい「30分でここまでやろう」などと考えてしまうが、目標やノルマを自分に課すと、プレッシャーを感じて心理的ハードルが上がってしまう。これを防ぐために、あえて終わらせようとしないのも大切だ。

もし30分間勉強すると決めたなら、とにかく30分勉強に取り組めばそれでOK。そう考える。「この30分でテキストの何ページまで進めよう」とは考えない。極端に言えば、30分テキストを広げたまま、ぼーっとしていてもよい。これはイギリスの著名な作家、ニール・ゲイマンの手法だ。勉強しなくてもいいが、勉強以外は何もしてはいけない。そう自分に課すことで、手持ち無沙汰になって自然と勉強を始めることができる。心理的ハードルをグッと下げることができれば、着手できる確率は格段に高まる。

仕事でも要領は同じ。レポートを書くときも「今日中に終わらせよう」などと決めず、「30分、ただレポートを書くことに時間を使おう」。そう考える。そうすれば着手でき、仕事は進む。

忘れないでほしいのは、着手さえできれば勉強であれ仕事であれ、確実に進むということだ。「30分でここまでやろう」と決めたほうが、たしかに生産的かもしれない(そうとも限らないとは思う)。しかし、そもそも着手すらできなければ意味がない。着手さえできれば、少なくとも前進はする。だからこそ、最優先に考えるべきなのは心理的ハードルをいかに下げるか、なのだ。そのためには、とにかく自分にプレッシャーをかけないこと。そうすれば着手しやすくなる。


滝川徹 時短コンサルタント


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【プロフィール 滝川徹 時短コンサルタント】
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1982年東京生まれ。慶應義塾大学卒。国内トップの大手金融機関で毎日定時に帰る現役会社員。著書『ちょっとしたスキルがお金に変わる「副業講師」で月10万円無理なく稼ぐ方法』(日本実業出版社)、『気持ちが楽になる働き方』(金風舎)のほか、『細分化して片付ける30分仕事術』(パンローリング)は台湾で翻訳出版された。
長時間労働に悩んだことをきっかけに独学でタスク管理を習得。2014年に自身が所属する組織の残業を削減した取り組みで全国表彰、2016年には「残業ゼロ」の働き方を達成。その後は順天堂大学や創業手帳株式会社での講演・研修をはじめ、時間管理をテーマに講師として活動。国内最大級のスキルシェアプラットフォーム「ストアカ」の上位2%のトップ講師に選出される。Yahoo! ニュースへの執筆や、YouTubeで動画配信など幅広く活動中。




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