![]() 時短コンサルタントの滝川徹氏は、この事実を前提とした上で、充実した人生を送るには、身につけるべきスキルを見極め、しっかりと時間をかけて習得する必要があると説きます。一方、そこに時間と努力を「オールイン」するのではなく、たった1日30分を続けることで、人生のバランスを取りながら、無理なく地道にスキル習得を続けられるといいます。この超現実的な目標達成法、「10年思考」とは? この記事では、「物事の先延ばし」を解決する原理原則のなかで特に重要な「プロジェクト化」の具体的な方法について、『10年思考でうまくいく――自己投資を実現するスキル戦略』(滝川徹・パンローリング株式会社)から再編集してお届けします。 ■プロジェクト化 先延ばしを解決する原理原則のうち、特に重要なのが「プロジェクト化」だ。 プロジェクト化とは簡単に終わらない大きなタスクを、小さなタスクに細分化して管理する手法だ。これは仕事だけに限らない。そこで、私自身がYouTubeでの動画配信をはじめてみたいと思いついたときを例に、具体的に説明していこう。 (1)最初のステップ:思いつくままでいいので、やることを書き出す はじめての事柄に着手するときは、何をやればいいかわからないことも多いだろう。まずは想像できる範囲でいい。思いつくままでかまわないので、ざっくりと書き出していこう。YouTube配信について、私が最初にざっくり書いたことは次の通りだ。 ・動画を撮影する ・動画を編集する ・動画を公開する ・必要な機材を購入する ・YouTubeのチャンネルを開設する ・配信のやり方を解説している動画やウェブサイトを調べる どれも未経験者が思いつく基本的なことだ。だがやってみるとわかるが、こうしてざっくりと作業を書き出すだけでも心理的ハードルはグッと下がる。全体像がぼんやり見えることで、どんなことが必要か、どれくらい大変そうか。イメージできるようになるからだ。 人はこれからやろうとすることがどれくらい大変そうかわからないと、不安になって心理的ハードルが上がってしまう。「YouTubeをはじめる」という単語から想像できるのは、「素人には大変そう」というイメージだけだ。具体的にどれくらい大変なのかを、衝動の脳(考えるのではなく自動的・反射的に反応する脳の機能)は考えることができない。この場合、衝動の脳は「大変そう」とだけ感じ、心理的ハードルが上がってしまう。 そこで最初のステップとして作業を書き出し、タスクの全体像を見える化する。それによって一つひとつの作業がなんとなくでもイメージでき、実行可能と感じられる。すると衝動の脳も「これならできるかもしれない」と感じ、心理的ハードルが少し下がるのだ。 (2)次のステップ:「並び替える」 先程はとにかく思いつくままにやることを書き出した。ここではいざ実行するとしたら、どの順番で処理していくのがよいか。想像して、並び替える。 動画を撮影する前に必要な機材を揃えるのが先だと思えば「動画を撮影する」の前に「必要な機材を購入する」をもってこよう。配信のやり方を調べたら、まず最初にYouTubeのチャンネルを開設してしまおうと思えば、同じく順番を入れ替える。 (3)次のステップ:作業を細分化する 並び替えを完了したら、次はさらに各作業を細分化していく。 たとえば「配信のやり方を解説している動画やウェブサイトを調べる」であれば、事前に確認しておくべきポイントや注意点を学ぶべくAIを活用して人気のあるコンテンツをチェックする。 このように、各タスクを実際やるとしたら具体的に何をどのようにするのか。想像できる範囲でいいので、細分化していく。 こうしてさらに作業が具体的になると、衝動の脳は一つひとつの作業に注意を向けるようになり「これならできそう」とより強く感じるようになる。ここでもざっくりとでかまわない。 各作業を細分化すると、全体像がより鮮明になる。全体像がハッキリすればするほど、衝動の脳は「これならなんとかできそうだ」と安心し、心理的ハードルはさらに下がる。 ここまでくれば、プロジェクト化はほぼ完了と言っていい。全体像も見えているし、完璧ではないかもしれないが、作業毎に何をやるかも見えている。 残る問題は、どうやって実行していけばいいのか。それだけになる。 ■(4)次のステップ:上から実行していく (2)のステップで取り組む順番を入れ替え、(3)のステップで作業を細分化した。一番シンプルな方法は、上から順番に毎日30分ずつ取り組むことだ。 YouTubeのはじめ方をわかりやすく解説している動画やウェブサイトの記事をリサーチする。こういった作業はAIを活用するといい。人気のあるコンテンツのリストを挙げてくれるはずだ。とはいえ、どれが自分にとって参考になるかは自分で判断しなければならない。そこで、30分と見積もっていたリサーチ時間がもし10分で終わったら、残りの20分は次の作業(たとえば動画や記事のチェック)をする。もし30分で終わらなければ、翌日また続きからはじめる。 意識することは、ひとつずつ手をつけること。毎日30分間、プロジェクトを上から順番に進めていく。これだけでいい。 実行にあたっては、次のことも意識するとよい。 ・終わった作業には取消線を引く ・どこまでやったか忘れないように自分への引き継ぎをしておく ・(必要に応じ)さらに細分化する ・追加でやることを思いついたら加筆する それぞれを簡単に説明する。 ・取消線 一目でどこまで作業を完了したかを把握するためにやる。全体の進捗率を、直感的に把握できるようになる。プロジェクトに締め切りがある場合「もう少しペースを早めないと」などとペースの調整もできる。そのほかにも「ここまでやったんだ」という達成感も得られる。これはプロジェクトを完遂する推進力になる。 ・引き継ぎ これは、「あれ、昨日どこまでやったっけ?」とならないための工夫だ。作業を終えるときに、翌日の自分に向けて「ここから再開せよ」と引き継ぎをしておく。そうすると、翌日スムーズに作業を再開することができる。必要に応じ「次は〜する」など、具体的にメモを残すのもいい。こうした引き継ぎがないと、前回の自分がどこまで作業したのか。思い出さなければならなくなる。誰もが一度は経験があると思うが、これは意外と大変で極めて無駄だ。こうしたことにエネルギーを費やさないよう、引き継ぎをしっかりしておこう。 ・さらなる細分化 これは重要だ。たとえば「カメラを買うか検討する」という作業に取り組むタイミングで、さらに作業を細分化して「予算を決める」「購入するカメラを決める」と追記する。カメラの購入を検討するなら、まず予算を決め、そのうえでどんなカメラを買うか検討するだろう。こうした実際の手順を追記すると、さらに心理的ハードルが下がるからだ。作業単位が小さくなるほど、衝動の脳は「これならできそう」と感じて着手しやすくなる。 ・加筆 途中で「あっ、これもやらないといけないな」と思ったことを追加で書き出す。動画を撮影する前には、どんなテーマで動画を作るか。どんな構成で話をしていくか。事前に考える必要があるだろう。それに気づいたら「動画の内容を考える」を追加する。プロジェクトでは、こうして実際に取り組みはじめると、追加で必要となる作業が判明することも多い。追加で必要な作業が判明したら、その都度加筆したり、作業の順番を並び替える。 ここまでの話で大抵のプロジェクトは難なく片付けられるようになる。さらに応用編として次のようなやり方もある。 ■応用編 応用編として、(1)作業の見積時間(2)作業毎の期限を記載して見える化する方法がある。 見積時間とは、各作業にどれくらい時間がかかるか。感覚的に予想したものだ。「AIを活用して人気のあるコンテンツを調べる」に30分かかると思えば、見積時間は30分とする。あくまで想定で構わない。 こうして作業毎に見積時間を入力すると「■動画の内容を考える」の中に「動画のテーマを考える(30分)」「動画の構成を考える(30分)」「動画のサムネを作る(30分)」と3つのタスクがあり、少なくとも90分かかることもわかる。プロジェクト全体=動画を公開するのにどれくらい時間がかかるかもわかる。いずれも予想にすぎないが、こうして具体的にイメージできると人は安心できる。 さらに、作業毎に期限・日付を設定すると、いつまでにプロジェクトが終わりそうか。見通しが見え、より安心できる。作業毎に期限を設定しておけば、プロジェクトを進めるなかで予定通り進んでいるか、一目でわかる。予定より遅れているときはもう少しペースを早めなければいけないなど、判断・調整もしやすい。こうして期限を見える化すると、安心してプロジェクトを進めていけるようになる。 このような管理は、長期に渡るプロジェクトの場合は特に効果的だ。私自身もビジネスで、半年以上かかるプロジェクトに取り組むときに使うことも多い。長期のプロジェクトの場合、予定通り進行しているのか、このままのペースで予定通り終わるのか。把握・管理が重要となるからだ。一方で、そのほかの大抵のプロジェクトはここまで細かく管理する必要はない。 少なくとも私の場合、毎日上から順番に30分取り組む。これだけで、大抵のプロジェクトは期限内に終えることができている。細かく管理するとたしかに安心はできる。だが、手間もかかるのも事実だ。「応用編」の手法はあくまで例外。そう考えるようにしておくとよい。 滝川徹 時短コンサルタント 【関連記事】 ■「今日中に終わらせよう」が失敗の元?先延ばしを撃退する「あえて完了させない」仕事術 (滝川徹 時短コンサルタント) https://sharescafe.net/63444355-20260828.html ■数学の方程式を解くように「先延ばし」の中身を分解してすぐ着手する方法 (滝川徹 時短コンサルタント) https://sharescafe.net/63444307-20260828.html ■イチロー的な努力をマネするな。凡人が成功するための「1日30分」継続術 (滝川徹 時短コンサルタント) https://sharescafe.net/63440009-20260826.html ■110万円の家賃を払う板野友美さんとヤクルト高橋奎二さんの判断が正しい理由。(中嶋よしふみ ファイナンシャルプランナー) https://sharescafe.net/62674731-20250930.html ■世帯年収1560万円の共働き夫婦は、9540万円の湾岸タワーマンションを買えるのか? その1・生活費は800万? (中嶋よしふみ ファイナンシャルプランナー) https://sharescafe.net/61186482-20240125.html 【プロフィール 滝川徹 時短コンサルタント】 1982年東京生まれ。慶應義塾大学卒。国内トップの大手金融機関で毎日定時に帰る現役会社員。著書『ちょっとしたスキルがお金に変わる「副業講師」で月10万円無理なく稼ぐ方法』(日本実業出版社)、『気持ちが楽になる働き方』(金風舎)のほか、『細分化して片付ける30分仕事術』(パンローリング)は台湾で翻訳出版された。 長時間労働に悩んだことをきっかけに独学でタスク管理を習得。2014年に自身が所属する組織の残業を削減した取り組みで全国表彰、2016年には「残業ゼロ」の働き方を達成。その後は順天堂大学や創業手帳株式会社での講演・研修をはじめ、時間管理をテーマに講師として活動。国内最大級のスキルシェアプラットフォーム「ストアカ」の上位2%のトップ講師に選出される。Yahoo! ニュースへの執筆や、YouTubeで動画配信など幅広く活動中。 シェアーズカフェ・オンラインからのお知らせ ■シェアーズカフェ・オンラインは2014年から国内最大のポータルサイト・Yahoo!ニュースに掲載記事を配信しています ■シェアーズカフェ・オンラインは士業・専門家の書き手を募集しています。 ■シェアーズカフェ・オンラインは士業・専門家向けに執筆指導を行っています。 ■シェアーズカフェ・オンラインを運営するシェアーズカフェは住宅・保険・投資・家計管理・年金など、個人向けの相談・レッスンを提供しています。編集長で「保険を売らないFP」の中嶋が対応します。 |



