![]() まだまだモデルが少ないなかで「自分は管理職に向いていないのではないか」と悩む女性が少なくないと、NTTでのべ1000人の人材育成に携わってきた細木聡子氏は言います。 旧来の「男性的なリーダー像」に縛られ、管理職の仕事に価値を感じられず、孤独や行き詰まりを感じることが多い女性管理職が、仕事に自分らしさとやりがいを見出すにはどうすればいいのか? 氏の著書『女性管理職のためのしなやかマネジメント入門 〈信頼〉をつなぐ、チームビルディング』(NTT出版)から再構成してお届けします。 ■「自分には強みがない」という勘違い 一般社員であっても管理職であっても、一度は仕事に関するこんな考えにとりつかれてしまったことがあるのではないでしょうか。 「仕事に活かせる自分の強みって一体なんだろう」 「自分には管理職としての強みなんてないのかも」 しかし、これまで真面目に、そして誠実に仕事と向き合ってこられた方であれば、仕事で活かせる「自分の強み」は、必ずどこかに隠れているものです。 実は、優れたリーダーの共通点として、自らの強みと弱みを徹底的に認識していることが挙げられます。優れた部分だけではなく、マイナス部分にも目を向けることが大事で、そのためには自分の歴史を知る必要があります。 私自身も、初めて管理職になった現場で大きな挫折を味わった際に、あまりの落ち込みから「自分にはなにが向いていたのだろう」と、これまでの歩みを振り返らざるを得ませんでした。しかし、そこから開き直り、自分らしく振る舞える方法を探し始めたことが、大きな転機となったのです。 自分の過去を振り返ることは、単なるノスタルジーではありません。自分という人間がどのように人を活かし、活かされてきたかという原点を確認する作業でもあります。 例えば、中学時代の部活動で、怪我をきっかけに選手からマネージャーに転向した経験が、実は今の「支援型リーダーシップ」の原点になっていた、というような気づきが眠っているものなのです。似た話で、子どもの頃に好きだったものは本質的な部分を仕事に活かせると聞いたことがある方も多いと思います。 ■仕事で活かせる強みを見つけ出すためのステップ しかし、具体的にどうすれば自分の強みをみつけられるのでしょうか。これからご紹介する3つのステップに則って考えていくことで、自分自身の強みを確実に見つけることができますので、ぜひやってみてください。 (ステップ1)これまでの業務経験の棚卸し 最初のステップは、これまでの業務経験をすべて洗い出し、棚卸しをすることです。ここで大切なのは、会社に入ってからの経歴だけにとどまらず、学生時代の部活動やサークル、アルバイトでの経験まで含めて広く振り返ってみることです。 従事した期間が短かったとしても、気にせずキャリアのひとつに含めてみてください。とにかく、思いつく限りたくさん書き出してみる、という意識が重要です。 私の場合であれば、大学時代の家庭教師のアルバイトから始まり、エンジニアとしての保守業務、社内システムの開発、お客様向けのシステム構築、ビジネス開発、さらには技術系人材の人事や育成、研修コンテンツの制作など、多岐にわたる経験がありました。これに、約十年間の管理職としての経験や、ベンチャー企業での役員経験が加わります。 たとえ対価を得ていた仕事でなくても、例えば中小企業診断士として取り組んだ経営コンサルティングのような活動も、立派な経験として追加していきます。どんなに小さな経験であっても、まずはそれを表に出してみることが、自分自身の可能性を広げる第一歩となります。 (ステップ2)仕事で使えそうなビジネススキルの抽出 過去の業務経験を書き出せたら、次はそれらの経験を通じて身につけたビジネススキルの棚卸しです。ここでは、現在持っている資格はもちろん、これから取得しようと勉強中のもの、さらには過去に取得して有効期限が切れてしまったものまで、すべてをリストアップしていきます。 「ものすごいスキルでなければいけない」と身構える必要はありません。業務に従事し始めた当初と比べて、少しでも上達したと感じることや、以前よりもスムーズにこなせるようになった能力もどんどん含めていきましょう。 私の例で言えば、中小企業診断士の資格だけでなく、システム開発やプロジェクトマネジメントのスキル、人事・人材育成のノウハウ、さらには日々の業務で磨かれた調整力や分析力などが、仕事に使えるスキルとして挙げられます。 このように、自分が当たり前のようにこなしている業務の一つひとつを「スキル」として定義し直すことで、自分の中に眠っていた武器が可視化されていくはずです。 (ステップ3)自分の思考・行動特性の把握 最後に行うのが、自分自身の思考特性や行動特性の整理です。人事の専門的な指標などを参考にしながら、普段から自分が大切にしている価値観や、意識せずとも取っている行動のパターンを5〜6個、優先順位の高いものから選択してみましょう。 例えば、「柔軟な思考を持っている」「自律的に動くことを好む」「人の話をじっくり聴く傾向がある」「論理的に物事を考えるのが得意だ」といった項目です。私の場合であれば、「マンパワーの結集」や「コミュニケーションの充実」などが浮かびました。 これらは、いわば自分という人間の「OS」のようなものです。どのような場面で、どのような判断を下しやすいのか。その傾向を知ることは、周囲の人々をどのように巻き込み、チームを動かしていくかを考える上で重要な判断材料となります。 ■エッセンスの抽出で独自力を確立する 3つのステップですべてを出し切ったら、いよいよ仕上げの作業です。これまでに挙げた「経験」「スキル」「特性」の中から、能力の「エッセンス」を見つけ出していきます。エッセンスとして粒度を小さくして抽出することで、実際の仕事のどんな場面でその強みが活かせるのかが、より明確に見えてくるようになります。 例えば、「人事・育成業務に携わった経験」や「大企業での管理職経験」といった大きな項目から、「人の考えを察する力」「調整力」「柔らかい雰囲気」「向上心」「論理的思考力」「前向きな思考力」といった、より具体的な強みのキーワードを導き出していくのです。 こうして丁寧に考えていくことで、自分自身の仕事に活かせる強みが自然と浮き彫りになってくるでしょう。今はまだ霧の中にいるような感覚かもしれませんが、この作業を通じて「自分だけの武器」が明確になれば、それは管理職としての自信へつながります。 強みの発見は、現在の自分を知るためだけでなく、将来新しいキャリアに挑戦しようとする時にも大きな力を貸してくれるはずです。管理職という仕事は、自分以外の誰かになることではありません。自分が持っている強みを最大限に活かし、それをチームの力に変えていくことです。その確かな手応えを感じられた時、管理職としてのやりがいや喜びが待っていることでしょう。ぜひ、ポジティブな気持ちで、自分自身の可能性を信じてみてください。 細木聡子 株式会社リノパートナーズ 代表取締役/日工機材株式会社 顧問/中小企業診断士 【関連記事】 ■「ヒステリックな女性管理職」が生まれるにはワケがある (細木聡子 経営コンサルタント) https://sharescafe.net/63425361-20260820.html ■「あなたがいるとロクなことがない」50名のメンバーから総スカンの女性管理職が変われたある転機 (細木聡子 経営コンサルタント) https://sharescafe.net/63386112-20260802.html ■「体調不良なので在宅勤務します」は甘えなのか。会社を蝕むのは「休まない社員」だった (桐生由紀 社会保険労務士) https://sharescafe.net/63342248-20260715.html ■110万円の家賃を払う板野友美さんとヤクルト高橋奎二さんの判断が正しい理由。(中嶋よしふみ ファイナンシャルプランナー) https://sharescafe.net/62674731-20250930.html ■世帯年収1560万円の共働き夫婦は、9540万円の湾岸タワーマンションを買えるのか? その1・生活費は800万? (中嶋よしふみ ファイナンシャルプランナー) https://sharescafe.net/61186482-20240125.html ■プロフィール 細木聡子 株式会社リノパートナーズ 代表取締役/日工機材株式会社 顧問/中小企業診断士 ![]() 人の可能性を引き出すには、組織の関わりも重要だと実感し、独自の「しなやかマネジメント(TM)」を体系化する。「人には無限の可能性がある」という信念のもと、全ての人が自分らしく安心して成長できる社会づくりのために尽力している。 シェアーズカフェ・オンラインからのお知らせ ■シェアーズカフェ・オンラインは2014年から国内最大のポータルサイト・Yahoo!ニュースに掲載記事を配信しています ■シェアーズカフェ・オンラインは士業・専門家の書き手を募集しています。 ■シェアーズカフェ・オンラインは士業・専門家向けに執筆指導を行っています。 ■シェアーズカフェ・オンラインを運営するシェアーズカフェは住宅・保険・投資・家計管理・年金など、個人向けの相談・レッスンを提供しています。編集長で「保険を売らないFP」の中嶋が対応します。 |



